ロシアンルーレットからの生還者/雀羅
1. 路地裏ジプシー
2. スラムの月曜
3. 普遍タル故ニ…
2002年にリリースされた、雀羅のシングル。
Vo.明透遊さんの脱退が発表された、当時の雀羅。
新ヴォーカリストに砦さんを迎えて、制作期間も踏まえればほぼシームレスという中でリリースされたのが本作でした。
コンポーザーは不動で、ヴィジュアルイメージも大きく変えてはいない。
それでも、やはりフロントマンの変化という影響は大きいようで、描く世界観は、少し変わってきたのかな、といったところです。
まず、タイトルなどからうかがえるスタンスでしょう。
それまでの彼らは、和を意識した不気味でおどろおどろしいギミックを多く用いていたのですが、時代感としては現代に寄って、どちらかと言えば異国情緒を取り入れようとしていた印象。
ザラザラとしたサウンドに乗せて、シビアな現状を訴えるドキュメント作品のような色合いなのです。
そして、それを発する砦さんのヴォーカルスタイルは、明透遊さんとはまったく異なる個性を持っていた。
高音で掠れるハスキーな歌声で、繊細さよりも荒々しさで表現するタイプ。
心の準備が出来ていないリスナーからすれば、戸惑いはやむなし、といったところなのですが、振り返って聴いてみれば、世界観のマイナーチェンジにより、上手くチューニングしていたのかもしれないですね。
Gt.神結さんが紡ぐフレーズにより、確立してきた雀羅らしさも残っている。
頭の中で、明透遊さんに歌わせてみると、なんとなく和の要素が足されて聴こえる気がするから面白いのですよ。
彼らの世界観は、サウンドよりも、フロントマンによる表現によって成り立つ部分が大きかったのだな、と。
ところで、3曲目の「普遍タル故ニ…」。
伝説的なバンドの楽曲に見間違えたのは僕だけではないはず。
オマージュの意図があったのかどうか、今になって気になってきます。
<過去の雀羅に関するレビュー>
参ニ混ジワル十戒~飼イ殺シ浪漫剤
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