鳴き止まぬ赤 / 雀羅 | 安眠妨害水族館

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鳴き止まぬ赤/雀羅

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1. スリィフラット
2. 螺旋
3. 沙羅ト可憐

雀羅が2002年にリリースしたシングル。
Vo.砦さんが加入してからは2枚目の作品となります。

本作は、過去の楽曲をリリース当時のメンバーで再録するという内容。
表記の変更はありますが、タイトルは踏襲した形です。
ただし、オリジナルの発表時期は明透遊さんが在籍時であるため、歌詞は書き換えられていますね。

細くハイトーンな明透遊さんの歌声から、ハスキーで男らしい砦さんの歌声へ。
フロントマンのチェンジは、どうやったって当初は違和感や強引さが出てしまうものですが、ここまでイメージの異なるボーカリストを連れてくるというのも珍しかった。
結果としては、そのギャップを埋めるインパクトを残せないまま解散に至ってしまい、雀羅は明透遊在籍時までしか聴いていない、というリスナーが多いのも事実でしょう。

一方で、少し距離があるところから振り返れば、違いがあればあるほど面白いというのも確かなのですよ。
10年以上経っているからこそ、フラットに聴くこともできるようになった。
改めて聴いてみると、当時は気付くことができなかった発見も多くあるものですな。

砦さんは、ハスキーで激しさに強みを持つボーカリスト。
そもそも疑問があった選曲ですが、砦さんが歌うことを前提にセレクトするなら、確かにこれが妥当だと思えてくる。
弱々しかったシャウトも安定し、背景を知らせずにどちらが格好良いかを尋ねれば、こちらを選ぶリスナーも多いのではないかと。
それでも、もっと広く知られている代表曲もリテイクしてほしかったというのは本音ではあるが、作品としてのクオリティは決して低くはないのです。

個性を取るか、スキルを取るか、という点では難しいところ。
タイプが異なるボーカリストだから仕方ないのだけれど、明透遊在籍時の代表曲に、砦さんの得意分野があれば、結果は違ったのかもしれないなぁ。

もっとも、10年以上前の作品であり、中古で安価で手に入る昨今。
どちらも聴いて比較してみるという楽しみ方もアリかもしれません。

<過去の雀羅に関するレビュー>
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