Ugly duckling / KEEL | 安眠妨害水族館

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Ugly duckling/KEEL
 

1. SWANS
2. クラッカー
3. LEM

2016年7月16日の単独公演にてリリースされたKEELの会場盤EP。
その後、通販での取り扱いも開始しています。

ジャケットのアートワークは、これまでの作品からガラっと変わって。
しかしながら、性急なリズムに、艶やかなメロディ。
これがKEELのサウンドだ、と言わんばかりの3曲が収録されており、彼らの音楽性まで大幅に変わっているということはなさそうです。

メイントラックは「SWANS」。
作品タイトルが"醜いアヒルの子"であることを踏まえると、この曲名はテーマ性を感じずにはいられない。
スタートと同時にツタツタと疾走するドラムが衝撃的で、その勢いのままサビまで駆け抜けていきます。
サビ終わりから間奏への切り替わりでダンサブルになったり、その後テンポを落としたり、と凝った構成になっていながら、一息で聴くことができるスピード感がとにかく気持ち良い。
「SWANS」というタイトルからは想像していなかったタイプの楽曲だったなぁ。

「クラッカー」、「LEM」は、ライブ盤としてリリースされた「Float of R'lyeh」にて先行的に発表されていた形。
スタジオ録音としては初の音源化となるのですが、ライブ感はそのまま維持されており、「SWANS」からの流れを更に加速させるイメージでしょうか。

「クラッカー」は、3分に満たない短さ。
シャウトでの掛け合いもある激しさが印象的です。
頭がクラクラしてくるような同じフレーズが繰り返されるので、気が付けば中毒になっていそう。ハードに振り切れているも、サビでは艶やかなボーカルも聴かせてくれるあたり、ryoさんの幅の広さをうかがえますよね。

最後まで激しくスピーディーに。
それを締めくくるのが「LEM」。
この楽曲は、メロディアスさも強く意識されているのかな。
浮遊感のあるファルセットを駆使しながら、ダークなギターサウンドの中を泳ぎ進むよう。
ボーカルラインの裏に、小さく同じフレーズの叫びを重ねる演出もツボでした。

まるで生き急ぐかのようにテンポの速い楽曲のみで構成されたEP盤。
9月にミニアルバム「Raison d'être et de sang」のリリースも発表されているのだが、本作は、その先行シングル的な位置づけにもなるのだろうか。
この勢いのままアルバムに突っ込むこともできそうだし、ここで振り切った分バラエティを広げてもおかしくないし、かえって読めなくなった気がしないでもない。

もっとも、それは想像する余地が増えて楽しみが増えたということ。
まずはこの「Ugly duckling」を聴き込んで、彼らの衝動と向き合っておきたいところです。

<過去のKEELに関するレビュー>
Float of R'lyeh
R'lyeh
Cthulhu