Chasing Shadow/凛 -the end of corruption world-
1. 凛
2. Memento-Mori
3. Beyond The Veil
4. Missing Melody
5. Sincerely
6. Call Back
7. Forbidden
8. Memento-Mori~Scene of curtain fall...~
9. Cross Pageant ~Live Version~
10. Chaotic Resistance ~Live Version~
11. Misery is Nothing ~Live Version~
12. Dedicate to Graveyard ~Live Version~
13. for lapis… ~Demo Version~
四半世紀もの間、ヴィジュアルシーンを牽引してきたKISAKIさんが率いる凛 -the end of corruption world-。
解散から5年経ったというタイミングで、アナザーベストアルバムが発表されました。
解散時にリリースされたMEMORIAL BOX「the end of corruption world」にて未収録となっていた楽曲をリマスタリングして収録。
第二期の単独音源としては、初のフルアルバムとなります。
第一期でも単独ベストアルバムをリリースしていたため、純粋に第二期のベストアルバムという形のリリース形態もあり得たのかと思いますが、メモリアルボックスとの被りをなくして、網羅性を優先させたのは良心的と言えるのだろうか。
結果、ライブ音源や未発表曲のデモテイクも収録されることになり、既にオリジナル作品を手にしていたファンにとっても、購入への精神的なハードルを下げることになったのでは。
そもそも一度ベスト盤の選外になっている楽曲たち。
それなのに、なかなかどうして王道的な疾走チューンが中心で、強い熱量を感じます。
メモリアルボックスでは第一期でのテイクが採用されたため、象徴的なナンバーである「凛」がここに持ってこれたのも、大きかったですね。
もっとも、それ以降の曲順については、なかなか苦慮したようで。
バランサー的な楽曲がほとんど残っていないし、「Memento-Mori」をSE用にアレンジした「Memento-Mori~Scene of curtain fall...~」もどこかに放り込まなければいけない。
一応、スタジオテイクからライブテイクへ切り替わる繋ぎという整理にしたのでしょうが、「Cross Pageant ~Live Version~」の導入が既にその役割を果たしているので、少し蛇足に見えてしまったかな。
ただし、ライブ音源については演出込みで"フェスセトリ"的な流れになっているので、とてもドラマティック。
形式上は1枚だけど、「Memento-Mori~Scene of curtain fall...~」でクローズするスタジオベスト盤と、それ以降のライブベスト盤の2つのミニアルバムが収録されていると捉えれば、強引さがいくらか和らぐかもしれません。
未発表曲である「for lapis…」は、最低限の音数で構築されたミディアムナンバー。
シンプルな演奏が、白系的な浮遊感を生んでいました。
どのレベルの完成度なのかは不明ですが、コテコテなアレンジの楽曲が多い本作。
この段階でドロップすることになったのが、かえって差異化に繋がったのかと。
アナザーベストと言っても、邪道な楽曲は存在せず。
いつの時代もヴィジュアル系ど真ん中を貫く安心感は、やはりKISAKIさんのバンドに共通する強みなのだよな。
現在はDavidで活躍中のVo.SUIさんの歌声も、耽美的なメロディアスチューンにしっかりハマる。
なんだかんだ、聴いたら満足してしまう普遍性に、改めて感心させられる1枚です。
<過去の凛 -the end of corruption world-に関するレビュー>