僕らの病名は「人間」でした。/mama.
1. 僕らの病名は「人間」でした。
3ヵ月連続での配信リリースとなる「3つの錠剤」シリーズの第一弾。
"精神安定剤"として発表された「僕らの病名は「人間」でした。」は、正統派の疾走チューン。
"ピー"という心電図が止まった音から、間髪入れずにテンションの高いバンドサウンドへ雪崩れ込むと、そのまま勢いを維持して突っ走っていきます。
サビでは、ほどよく歌謡色を強調。
スピード感は失わないままに、盛り上げどころを明確にしており、コンパクトな中に構成の上手さを感じずにはいられません。
こういう音楽性が聴きたければ、V系シーンに留まるしかない。
これぞV系、と言わんばかりの王道的な楽曲は、そんなリスナーのニーズにガチっとハマる内容なのかと。
もちろん、王道すぎても飽きが早いという難しさもあるのですが、彼らの場合は、息を吐く暇も与えない性急な展開と、読めないタイミングで挿入される"ピー"音が、良い具合にダークさを演出。
ソリッドなサウンドも、衝動性を表現しているようで、前のめりな印象を与えることが奏功している気もしますね。
歌詞については、トレンドであるメンヘラ系を踏襲してはいるものの、着眼点の良さを活かして独自の切り口で昇華。
流行の中にあっても埋もれない、目に留まりやすいワーディングを選んでいるため、差異化に繋がっていました。
バリエーション豊かな音楽性を誇るmama.ですが、厭世的な歌詞と、ハードな音像という基本軸が見えてきたといったところ。
連続リリースの第一弾で、早くも正攻法を見せてきただけに、第二弾、第三弾でどのようなアプローチを見せてくれるのか。
どうしたって期待が高まるというものでしょう。
<過去のmama.に関するレビュー>