POLYCHROME/GOTCHAROCKA
1. HYPER NEXT WORLD
2. ASIAN NIGHT
3. HUMAN BOARD GAME
4. CREATORS
5. Baccarat
6. 白いDIA
7. MONOCHROME
8. PRAYER
9. グエリラ
10. 天秤
11. OUT OF SERVICE
12. Chirality
13. Suddenly
14. I♡JJTGR
前作「SCREAMY」から、実に３年５ヵ月ぶりにリリースされた、GOTCHAROCKAの4thフルアルバム。
通常盤には「I♡JJTGR」がボーナストラックとして収録され、全14曲の大ボリュームとなっています。
先行シングルとなっていた「Chirality」に加え、２枚のミニアルバム「Baccarat」、「グエリラ」の表題曲も収録。
この３曲を軸に、更に進化したGOTCHAROCKA流のポップロックが本作には詰め込まれていました。
常に中心にあるのは、シャウト等のギミックに頼らなくても、大きな武器となっているVo.樹威さんの歌声。
ある程度のバラエティ性は用意されているものの、キャッチーに、メロディアスに、という点が徹底されているため、結果的に、真摯に良い楽曲を送り出すことに特化した作品と言えるでしょうか。
サウンドについては、シンプルに引き締まった印象。
彼らと言えば、遊び心を過剰なまでに盛り込んだパーティーチューンも特徴だったのですが、全員で前に出るスタイルから、どこを主張するかを整理して、地味ではないけれどごちゃごちゃもしていない、絶妙なバランスを生み出すことに成功しています。
上モノもしっかり使っているけれど、曲によってはシックで大人びた雰囲気を作り出し、お洒落さを感じさせる。
ガツガツしていないからといって、華やかさが薄れてしまったわけでもない。
駆け引きのテクニックが上達したことによって、持ち味のメロディの良さが、ますます引き立つようになりました。
リードトラックとなるのは「HYPER NEXT WORLD」。
GOTCHAROCKAを象徴する楽曲だな、と思うほどに、ロックとポップの美味しいところ取りをしたナンバーなのですが、メッセージ性の強い歌詞が重なったことで、開けたサビでの説得力が強まった気がします。
そこから続く、タイトル通りアジアンテイストを打ち出した「ASIAN NIGHT」や、打ち込みを活かしてスタイリッシュさに磨きをかけた「CREATORS」、切ない哀愁を帯びた歌謡曲ベースの「白いDIA」に、スリリングなビートとリズム感重視の歌詞が新鮮だった「MONOCHROME」。
一言にキャッチーなポップロックといっても、これだけアプローチ方法はあるのだな、と感心してしまうラインナップで、前半戦だけでも満足度の高い内容に仕上がっているのかと。
後半戦は、オーディエンスとの掛け合いが気持ちよさそうな「PRAYER」、更にライブ映えが意識された「OUT OF SERVICE」など、意図的にピークを作り出そうとする意図も見受けられますね。
この辺りは、ライブでコール＆レスポンスが出来るようになって、はじめて真価を発揮する楽曲たちだろうな、と思いつつ、想像力を掻き立てます。
本編ラストは、バラードナンバー「Suddenly」。
盛り上げるだけ盛り上げておいて、突き放すかのように圧倒的な歌唱力で感情の渦に巻き込んでしまうのだから、インパクトは絶大でした。
多くは語らず、ニュアンスだけで喪失感を表現する歌詞も、たまりません。
余韻に包まれたいところで届けられるのは、ボーナストラック「I♡JJTGR」。
まさかの80年代アイドル風のポップチューンで、ギャップ理論をくすぐってくるのも彼ららしい。
バンギャルあるある的な歌詞に、あえてダサい煽りを加えたナンセンスさも、魅力に変えてしまうキャラクターの強さよ。
ラジオ番組風の寸劇が前後に挿入されているのだけれど、こういうギミックも、なんだか懐かしいですな。
歌唱力とツインギターのコンビネーションが、とにかくハイレベル。
メジャー感も相応にあり、激しい楽曲やスピード感のあるナンバーを期待しすぎてしまうと、マイルドに聴こえてしまうきらいはあるのかもしれませんが、それでもクオリティは高いと言わざるを得ないでしょう。
ポップであることと、格好良いバンドであることは両立する。
それをはっきりと示してくれた１枚です。
＜過去のGOTCHAROCKAに関するレビュー＞
Royale
Crisis
Poisonous berry
Virginity
Hydrag