【復讐の太陽】@高田馬場AREA(2020.11.7) | 安眠妨害水族館

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"会場限定シングル「壊れた太陽」 発売単独公演【復讐の太陽】"に行ってきました。

 

当初、4月のライブで発売されるはずだった会場限定シングル。

コロナ禍により延期になり、そのまま機会を失っていた状態でしたが、ようやく日の目を見ることとなります。

世間の目としても賛否両論がある中、入場数の制限があり、立ち位置が決められ、声も出せないという完全に元通りとはいかないライブ。

チケット代も単価が上がってしまうということもあってか、コロナ前の客足にはまだまだ程遠いといったところですが、出来るところからまず一歩というスタンスが、彼ららしいなと。

 

スタートは、その表題曲「壊れた太陽」。

一旦のラストシングルだった「手」のカップリングとして収録された楽曲の、リアレンジヴァージョン。

当時としても、ほとんどライブでも演奏されていなかっただけに、これが2020年に復活してくるというのが面白いものです。

シンプルなロックンロールだからこそ、これまでの鬱憤を晴らすかのようなステージングが映える映える。

1曲目に据えることで、楽曲のポテンシャルを引き出したと感心した瞬間でしたよ。

 

過去の楽曲と、復活後のアルバム「事件」とが混在するセットリストは、安定感の中に新鮮さが生まれた感覚。

「渇きと歓楽街」からの「 西口改札ラプソディ―」、「花時雨」からの「未練」が、すんなり繋がっているうえ、双方の魅力を引き立て合う化学反応まで起こしていたので、この組み合わせが定番に食い込んでくるようになると熱いですね。

女性詞が固まっていたこともあり、Vo.慎一郎さんの女優さながらの表現力、艶やかさで、序盤からディープに迫っていました。

 

また、サポートキーボードに、IOLITE -アイオライト-、Lament.の悠歌-youka-さんが参加。

その影響か、復活前の楽曲には大幅にアレンジが変わったものもあり、例えば「西口改札ラプソディ―」は横ノリのダンス感が増していたし、「未練」も前の曲から繋がるように入り口のサビがカットされ、新たな語りが挿入される構成に。

11月になってようやく開催された2020年の初ライブ、出し惜しみなくリニューアルをしたホタルをぶつけてきます。

 

この日は、声を出してのコール&レスポンス等も出来ないため、メインパートは世界観に没入するナンバーを中心に。

「ニニ六」、「影になったレイラ」、「サクラチル」のコンボで会場の空気をピンと張り詰めると、「素晴らしき日々」を挟んで、「野良犬の詩」、「死にたがりと天」とメッセージ性の強い楽曲を、激情とともに心に届ける演奏と歌唱。

珍しく、慎一郎さんは歌詞が曖昧になる部分もあったのだけれど、予定調和ではなく、感情のギアをフルで回していたからこそでしょう。

生だから直接的に伝わる、"生きる"ことへの執着。

特に「サクラチル」のラストシーンで、"死にたくない"と呟いた後で言葉に詰まる場面は、この日でもっともグッときたタイミングでした。

 

「怪人二十面相」からは、あえて盛り上がる楽曲を立て続けに。

オーディエンス側からの歓声はないものの、十分に魅せる立ち振る舞い。

"イベントでも客を取りに行けるセトリ"と、Gt.杏太さんが言い切ったのも納得の凄みを感じさせてくれます。

このレギュレーションで「Mr.ファットマン」をやり切る度胸と、それを成立させた実力を再確認。

ある意味、この時期しか見ることができない貴重なホタルのライブだったと言えるのでは。

 

アンコールのラインナップは想定内と言えば想定内なのだけれど、「たからもの。」でのお約束のお祭り騒ぎを省略したことで、やはり雰囲気には違いが出てきます。

聴かせる「たからもの。」もアリなのだな、と。

心に残るライブとは、客数でも演奏時間の長さでもない。

MCのアットホーム感はいつもよりも薄かったり、久しぶりだからこその緊張感もビシビシ感じましたが、本質である曲の中に、ライブの価値を見出すことが出来たのは大きかったですね。

 

なお、12月の単独公演にて、再録ミニアルバムの第一弾のリリースが決定したとのアナウンスも。

既存曲のいくつかでアレンジ変更が行われていたのは、このレコーディングがあったからというのもありそうです。

新曲も1曲収録されるようで、こちらも楽しみ。

ライブの年にするという宣言を実現できなかった不完全燃焼はあるのでしょうが、動けない期間中も、レコーディングで前に進んでいたのはありがたい限り。

そんなサプライズも相まって、リスナーとしても、得るものが大きいライブでした。

 

1. 壊れた太陽

2. 渇きと歓楽街

3. 西口改札ラプソディ―

4. 花時雨

5. 未練

6. ニニ六

7. 影になったレイラ

8. サクラチル

9. 素晴らしき日々

10. 野良犬の詩

11. 死にたがりと天

12. 怪人二十面相

13. 切り裂きジャック

14. Mr.ファットマン

15. 社会に散った日

 

en1. あなたへ

en2. たからもの。

en3. 四季