DIAMOND / 12012 | 安眠妨害水族館

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DIAMOND/12012

 

1. Mr.liar

2. The Moon

3. Screen Out

4. Last Time

5. Shine

6. Empire Of The Lagoon

7. 24hours

8. Dispute

9. サイクロン

10. Once Again

11. Secret Festival

12. ダイアモンド

13. Dream Arch

 

2007年にリリースされた12012のメジャー1stフルアルバム。

発売日を12月12日に設定したのは、バンド名にちなんだ狙いだったのでしょうか。

 

メジャーデビューによる環境の変化がどのぐらい作用しているのかは想像するしかありませんが、音楽性の変化があったのは事実。

インディーズ時代の閉鎖的でナイーブな世界観と、重苦しいダウナーなサウンドから、解放感すらある外に向けたメッセージと、聴きやすさを意識したポップなメロディへ。

これまでに見られなかったアプローチも、要所要所で登場してきます。

 

ただし、これは本人たちに言わせてみれば、もともと持っていた要素をはじめて表面化させたもの、とのこと。

ストレートなメッセージソングに、優しいバラード、ラフなロックに、キャッチーなポップチューン。

音楽的なバラエティ性は一気に広がった印象で、ここまで器用なバンドだったのか、と驚かされました。

 

もったいなかったのは、リスナーの心の準備を、12012のポテンシャルが大きく上回っていたこと。

本来であれば、それ自体はまったくネックにはなり得ないのだけれど、これまでがっちりとイメージを構築してきた彼らだけに、変わってしまったことへのショックが先立っていたリスナーも多かったのでは。

もっと小出しに、インパクトの出る形で、それぞれの引き出しを解放していけば良かったのかもしれませんが、出し惜しみせずに自分たちのベストを出すという気概と、メジャーシーンのスピード感が、結果としては裏目に出てしまったと言えるのかもしれません。

 

とはいえ、リリースから13年。

客観的に聴ける距離感となった今だからこそ、そのクオリティの高さを再評価することもできるわけで。

代表曲となった「サイクロン」を筆頭に、光の見える世界への感情表現を解禁したことで、縦にも横にも世界を広げた中に、ぎゅっと濃密に作り込んだサウンドワークは、アルバムとしての統一感をもたらしている。

前作「PLAY DOLLs」から踏襲したシリアスさ、ミステリアスさも、要素としてまったく感じ取れないわけでもなく、メジャーデビューからの短期間で、よくぞ、ここまで破壊と再構築の先にある集大成的な作品を作り上げることができたな、と感心せずにはいられないのですよ。

 

なお、通常盤にのみ収録のボーナストラック「Dream Arch」は、Vo.宮脇渉さんとGt.須賀勇介さんによるアコースティックナンバー。

これもまた、新機軸となるチャレンジの一環で、彼らからすれば、攻めの一手となるのだろう。

ポップな雰囲気に変貌すると、守りに走って売れ線を狙ったと捉えてしまいがちな世の中ですが、必ずしもそうではないよ、と示しているような1枚。

6人での再始動を発表した12012、次はどういう手段で攻め込んできてくれるのか、楽しみが募ります。

 

<過去の12012に関するレビュー>

CUNNING KILLER

12012
SEVEN
PLAY DOLLs
Increasingly