背徳症候群/ARcaDia
1. 背徳症候群
ARcaDiaによる、ライブの予約特典として配布されたデモCD。
20年ほど前に、広島を拠点に活動していたバンドが、2020年になって奇跡の復活。
Vo.緋璃 -Akari-、Gt.奏楽 -Sora-、Gt.裕 -Heero-、Ba.嗟嘆 -Satan-、Dr.螺慰 -Rai-という編成での再始動となり、メンバー的にはほぼ一新された印象ではありますが、収録された「背徳症候群」は、現役時のギタリストであった想さんが作曲したもの。
あの頃のメンバーの想いも一緒に背負って、というメッセージが読み取れます。
広島という地域性が良く出た、90年代後半の名古屋系サウンドを独自に解釈した音楽性。
退廃の美を綴る甘美的な歌詞に、平坦でドロドロとしたメロディ。
更にはウネウネとした不気味なリフと、キメを多用するリズムまで用意されていて、どうしたってあの頃を感じずにはいられません。
キャッチーさには欠け、むしろマニアックなはずのサウンドなのに聴きやすい気がしてしまうのは、楽曲構成が懐かしさを想起させるから、というのも一因でしょう。
一方で、ギターの音色は現代的なソリッドさをもたらしていたりと、自然体でのブラッシュアップにも成功。
語りやシャウトを織り交ぜて、ダークな世界観を演出する緋璃 -Akari-さんの歌声は、安定感の中に艶やかさを見出しており、間違いなく今を戦う武器のひとつとなっていました。
一部、Twitterのアカウントにてプレゼント企画の景品とされたものを除けば、地方のライブでの特典として配布されたのみ。
入手難易度は相応に高くなったと言えるのですが、復活に期待感を抱かせる1枚です。
それにしても、"アルカディア"というバンド、シーンに多いですね。
ARcaDia、ArcAdiA、ArcDeaRにAlc<α>dia。
いずれにしても、表記にこだわりを見せるのがこのバンド名の特徴なのかしら。