Tierra/L'Arc~en~Ciel
Tierra
2,692円
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1. In the Air
2. All Dead
3. Blame
4. Wind of Gold
5. Blurry Eyes
6. Inner Core
7. 眠りによせて
8. 風の行方
9. 瞳に映るもの
10. White Feathers
1994年にリリースされた、L'Arc~en~Cielの記念すべきメジャーデビューアルバム。
ビデオシングル「眠りによせて」、後にリカットシングルとなる「Blurry Eyes」を含む、全10曲を収録しています。
"白系"と呼ばれるサブジャンルの源流であり、最高峰。
なんといっても、本作の特徴は、"静"の観点から幻想的、神秘的な世界観を描くという切り口にあるでしょう。
メジャー1発目は勢いを持って、というセオリーを無視して、「In the Air」や「風の行方」、「White Feathers」といったミディアムナンバーがリードトラックを張っている異質さ。
純粋で穢れのない少年性と、メランコリックで大人びた表情とが交錯するナイーブさ。
色に例えるならば、白以外に存在しないと言い切れるほどの統一感。
どれもが衝撃的なオリジナリティであり、いわゆる"初期ラルク"という言葉が意味する音楽性が、まさにここにあるのですよ。
アレンジセンスも特徴的で、あらゆるところに異国情緒を感じます。
端的に言えば、「Wind of Gold」ではラテン調のリズムが使われていたり、「眠りによせて」にはボサノヴァ風のアプローチもあり。
それに伴って、アコースティックギターやパーカッションはもちろんのこと、複数の民族楽器を巧みに取り入れて、あの幻想的な世界観を作り上げているのですよね。
レコーディングに長い時間をかけたとのことですが、むやみに詰め込んだという感はなく、端正に、上品に、そして丁寧に音を整理して、1枚のアルバムを作り上げた印象。
「瞳に映るもの」のようなシンプルな音使いの楽曲であっても深みを感じるのは、その緻密なアレンジのたまものと言えるでしょう。
Ba.tetsuさんによる歌うようなベースラインも、この段階でほぼ完成されているな。
1曲目の「In the Air」から、ベースのフレーズでスタート。
これにより、ラルクのベースラインは動き回るものだ、と前もって意識づけすることに成功しており、バンドの個性として昇華させていたのです。
当時としてはチャレンジ要素が強く、洗練されていない部分だってあったはずなのに、結果的にシーンにおけるスタンダードにしてしまったという事実。
このような点でも、彼らのモンスターバンドっぷりを認識できるのでは。
美しさと狂気は紙一重と言わんばかりに、スリリングな展開にドキドキさせられる「All Dead」。
大きく2つのメロディ構成だけで、なんともドラマティックな楽曲に仕立て上げてしまった「Blame」。
sakuraさんが作曲を手掛け、語りや笑い声などのギミックがダークさを演出する「Inner Core」。
エキゾチックな異国情緒と、哀愁を帯びたメロディが切なく絡まる「風の行方」。
そして、8分弱の壮大なバラード、「White Feathers」と、1曲ずつでも長々と語ることができるほどの粒の大きさも魅力的。
どこを切り取っても、色褪せずに白く輝き続けているのです。
発売から四半世紀以上経っているにも関わらず、後続の追随を許さない孤高の名作。
hydeさんの歌いっぷりも堂々としたもので、良い意味で若さを感じさせません。
これを聴かずに、"白系とは何か"は語れない、歴史を動かした1枚。
<過去のL'Arc~en~Cielに関するレビュー>
BUTTERFLY
P'UNK IS NOT DEAD(P'UNK~EN~CIEL)
DUNE 10th Anniversary Edition
SMILE
The Best of L'Arc~en~Ciel c/w
ray
HEART
True