Tierra / L'Arc~en~Ciel | 安眠妨害水族館

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Tierra/L'Arc~en~Ciel

Tierra Tierra
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1. In the Air

2. All Dead

3. Blame

4. Wind of Gold

5. Blurry Eyes

6. Inner Core

7. 眠りによせて

8. 風の行方

9. 瞳に映るもの

10. White Feathers

 

1994年にリリースされた、L'Arc~en~Cielの記念すべきメジャーデビューアルバム。

ビデオシングル「眠りによせて」、後にリカットシングルとなる「Blurry Eyes」を含む、全10曲を収録しています。

 

"白系"と呼ばれるサブジャンルの源流であり、最高峰。

なんといっても、本作の特徴は、"静"の観点から幻想的、神秘的な世界観を描くという切り口にあるでしょう。

メジャー1発目は勢いを持って、というセオリーを無視して、「In the Air」や「風の行方」、「White Feathers」といったミディアムナンバーがリードトラックを張っている異質さ。

純粋で穢れのない少年性と、メランコリックで大人びた表情とが交錯するナイーブさ。

色に例えるならば、白以外に存在しないと言い切れるほどの統一感。

どれもが衝撃的なオリジナリティであり、いわゆる"初期ラルク"という言葉が意味する音楽性が、まさにここにあるのですよ。

 

アレンジセンスも特徴的で、あらゆるところに異国情緒を感じます。

端的に言えば、「Wind of Gold」ではラテン調のリズムが使われていたり、「眠りによせて」にはボサノヴァ風のアプローチもあり。

それに伴って、アコースティックギターやパーカッションはもちろんのこと、複数の民族楽器を巧みに取り入れて、あの幻想的な世界観を作り上げているのですよね。

レコーディングに長い時間をかけたとのことですが、むやみに詰め込んだという感はなく、端正に、上品に、そして丁寧に音を整理して、1枚のアルバムを作り上げた印象。

「瞳に映るもの」のようなシンプルな音使いの楽曲であっても深みを感じるのは、その緻密なアレンジのたまものと言えるでしょう。

 

Ba.tetsuさんによる歌うようなベースラインも、この段階でほぼ完成されているな。

1曲目の「In the Air」から、ベースのフレーズでスタート。

これにより、ラルクのベースラインは動き回るものだ、と前もって意識づけすることに成功しており、バンドの個性として昇華させていたのです。

当時としてはチャレンジ要素が強く、洗練されていない部分だってあったはずなのに、結果的にシーンにおけるスタンダードにしてしまったという事実。

このような点でも、彼らのモンスターバンドっぷりを認識できるのでは。

 

美しさと狂気は紙一重と言わんばかりに、スリリングな展開にドキドキさせられる「All Dead」。

大きく2つのメロディ構成だけで、なんともドラマティックな楽曲に仕立て上げてしまった「Blame」。

sakuraさんが作曲を手掛け、語りや笑い声などのギミックがダークさを演出する「Inner Core」。

エキゾチックな異国情緒と、哀愁を帯びたメロディが切なく絡まる「風の行方」。

そして、8分弱の壮大なバラード、「White Feathers」と、1曲ずつでも長々と語ることができるほどの粒の大きさも魅力的。

どこを切り取っても、色褪せずに白く輝き続けているのです。

 

発売から四半世紀以上経っているにも関わらず、後続の追随を許さない孤高の名作。

hydeさんの歌いっぷりも堂々としたもので、良い意味で若さを感じさせません。

これを聴かずに、"白系とは何か"は語れない、歴史を動かした1枚。

 

<過去のL'Arc~en~Cielに関するレビュー>

25th L'Anniversary LIVE

Don’t be Afraid

BUTTERFLY
P'UNK IS NOT DEAD(P'UNK~EN~CIEL)
DUNE 10th Anniversary Edition
SMILE
The Best of L'Arc~en~Ciel c/w
ray
HEART
True