櫻の樹の下には/ヘルタースケルター
1. 櫻の樹の下には
2. アマヤドリ
ヘルタースケルターの会場限定シングル。
2019年2月、初となる単独公演開催のタイミングでリリースされました。
表題曲を含む、2曲を収録。
どちらも、作詞がVo.朝比奈悠さん、作曲がGt.御笠ねるさんという黄金コンビによる楽曲となっています。
ただし、これまでに打ち出してきたヘルタースケルターのスタイルからは異色と呼べる内容だったのが、「櫻の樹の下には」。
"猟奇的な愛情"をテーマに綴られた、ある種の問題作。
"愛しい人を殺して桜の木の下に埋める"というヴィジュアル系としては古典的とも言える設定を、彼らのサウンドで昇華しようとしているのです。
レトロな雰囲気を残すことにもこだわりつつ、このテーマを表現するために攻撃性も求めるアプローチ。
結果的に、シドの「妄想日記」で確立されたレトロ+ハードの方程式の範囲内になってしまったのは惜しいところですが、このような設定でも、美しい言葉選びをしている朝比奈さんの歌詞が、個性を生み出していると言えるでしょうか。
叙情的なストーリー展開を得意とする彼らの枠組みに、しっかり当てはめてドラマティックに仕上げているのですよね。
カップリングの「アマヤドリ」は、切なさが強調されたお洒落ナンバー。
淡々と進行していきながら、ラストシーンにおける実に感情的なギターソロで泣かしにかかる構成がたまらない。
コンパクトにまとまっているからこそ、この長めのアウトロが効いていました。
鍵盤によるアクセントもハマっていて、今後、隠れた名曲と言われそうな楽曲です。
歌モノバンドとして、王道から外れそうな楽曲を会場限定に、という選択は妥当なのかな。
とはいえ、こういう楽曲があることでライブの流れが作れる側面もあるでしょうし、その意味では大切な1曲。
個人的には、カップリング曲もツボだったので、手元に置いておいて損はないと思える作品です。
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play/シド
play
5,000円
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詳細なレビューは<こちら>
表題曲からのイメージで「妄想日記」を持ってきても良かったのだけれど、それではあまりに芸がないということで。
「アマヤドリ」についても同じくシドの作品で例えるならば、「play」あたりの質感に似ている気がするのですよね。
レトロな雰囲気をほんのり取り入れつつ、お洒落なポップスに振り切って。
シドが先陣を切って、昭和歌謡系とお洒落ポップスを結び付けたことによって、V系シーンにおける"レトロ"の幅は広がりました。
ヘルタースケルターには、そこから更に踏み込んで、新たなレトロの形を見つけてもらいたいと期待しています。
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