承認欲求/シド
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1. 承認欲求
2. Blood Vessel
3. 手
4. デアイ=キセキ
5. see through
6. ポジティブの魔法
7. 淡い足跡
8. Trick
9. 涙雨
10. 君色の朝
「NOMAD」以降、2年ぶりとなるシドのフルアルバム。
結成15周年を経て、新章に突入するという位置づけにもなりそうな作品です。
リードトラックとなる表題曲、「承認欲求」からのスタート。
ミディアム調のシンプルな演奏に、歌謡要素の強いメロディが突き刺さります。
なんとなく、このタイトルからは、捻りを効かせたアッパーチューンを想像していたのですが、想像を裏切られた形。
初期のレトロ感とは少し異なる質感ではあるものの、どことなく懐かしい味わいで、進化であり、原点でもある1曲と言えるのかもしれません。
この楽曲が象徴するように、サウンドのシンプル化と、歌詞のリアルタイム性が、本作の特徴ではないかと。
サウンドについては、音を重ねるのではなく、余計な音を削いで、一音一音の響きを強めるようなアプローチ。
昨今の情報量の多いEDMブームの真逆を進むかのように、4人でのサウンドを意識しています。
例えば、「ポジティブの魔法」ではアコースティック風に仕上げているし、疾走感のある「Trick」にしても、古き良きビートロックのストレートさを踏襲し、なんとも懐メロ風な聴き心地になっているから面白い。
リズムがすべて打ち込みで構築された「デアイ=キセキ」であっても、引き算の美学をベースに制作されていることが伺えました。
もうひとつの特徴である歌詞は、今、この瞬間に響くことだけを目的に書かれている気がするのですよね。
"令和"のはじまり、"イチゼロ年代"のおわり。
このタイミングでリリースされたことに意味を持たせようとしたのか、1年経ったら古くなってしまうような時代に左右されるワーディングも惜しみなく落とし込んだイメージ。
インパクトを出すために流行語を取り入れるという手法は「夏恋」などでも見られたやり方ですが、アルバム単位でとなると、普遍的な名曲を作ろうとする意識が強かった彼らの作品として、意外性がありました。
もう1曲ぐらい、ロック色が濃く出た楽曲があっても、というのも本音ですが、ホールツアーに向けて、新しいシドを示したのも事実。
これらをライブで成長させて、説得力を持たせることができるかが、腕の見せ所と言えるでしょう。
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kéɪn/yohiaco
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kéɪn
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詳細なレビューは<こちら>
同期を前提としたバンドサウンドから引き算をして再構築したシドと、アコースティックをベースにバンドアレンジへの展開を図ったyohiaco。
アプローチとしては真逆なのですが、チャレンジしている目線は近いところにあるのかと。
どこまでひとつのフレーズに力を持たせ、どこまで深みを持たせられるのか。
純粋に表現と向き合う意識の高まりが、シンプルなサウンドに彼らを行き着かせた気がするのですよね。
優しいサウンドの裏に隠した鋭い視点に気付いたとき、よりいっそう作品が好きになる。
玄人好みの1枚ではありますが、この渋さに一度ハマれば、きっとしばらく抜け出せません。
<過去のシドに関するレビュー>