いちばん好きな場所/シド
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いちばん好きな場所(初回生産限定盤)(DVD付)
2,250円
Amazon |
1. VOICE
2. reverb
3. その未来へ
4. ラバーソール
5. いちばん好きな場所
結成15周年を迎えるシド。
本作は、キャリア初となるミニアルバムです。
過去のライブハウスツアーのタイトルにもなっていた「いちばん好きな場所」。
まさか、本作へと繋がる伏線になっていたとは。
タイトルを見ただけで、どのようなメッセージが込められているかが浮かび上がってくるようですね。
大きく分ければ2タイプの楽曲で構成されており、「VOICE」、「reverb」、「ラバーソール」のライブハウスでシンプルに盛り上がれるナンバーと、「その未来へ」、「いちばん好きな場所」のファンに向けたと受け取れるバラード。
とにかくストレートに等身大のシドをぶつけてきたというイメージで、ミニアルバムという形態を選んだのは、その純度を高めたかったからでしょう。
どうしてもバランスをとるために飛び道具を入れたり、チャレンジ的な楽曲を加える必要があるフルアルバムでは、こんなにド直球では突っ込めないもの。
「VOICE」は、彼らには珍しいほどにギターが主張。
タッピング奏法により、テロテロピロピロと繰り広げられるリフは、インパクト絶大です。
景気よくスタートしたところに続くのは、少しダークさも纏ったハードロック、「reverb」。
ダンサブルなアレンジも取り入れ、アダルティに仕上げているのがシドらしい。
歌モノである「その未来へ」は、オーディエンスとのシンガロングを見据えているようなパートもあり。
バラードでもライブを意識しているというのが、本作の特徴なのですよ。
しんみりしすぎないようにポップセンスを発揮する「ラバーソール」を挟むと、ラストは表題曲「いちばん好きな場所」。
あえてシンプルに、ストレートに書いたと思われる歌詞は、シドの15年の活動のどこかで寄り添ってきたファンであれば、グッとくるはず。
彼らほどの規模になれば、音楽性やメイクに衣装、メディア露出など、バンドの在り方について求めるものがファンの中でも差が出てくるものなのだけれど、それらをすべて包み込み、残さず連れて行こうとする決意の前には、立ち塞がる壁はないも同然なのだな、と。
ある種の記念碑的な作品なので、初期の代名詞であった哀愁歌謡路線の楽曲が1曲ぐらいあっても良かったとも思いますが、戦略的に理詰めで制作するのも、本作のコンセプトとは違っている気がする。
そのようなアプローチは、次のフルアルバムにでも持ってきてもらうとして、ここは素直に彼らのステージに想いを馳せるべきでしょうか。
シドのライブに行きたくなる1枚。
<過去のシドに関するレビュー>