NOMAD/シド
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NOMAD(初回生産限定盤A)(DVD付)
3,900円
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1. NOMAD
2. XYZ
3. 硝子の瞳
4. スノウ
5. 躾
6. バタフライエフェクト
7. 低温
8. KILL TIME
9. 螺旋のユメ
10. 普通の奇跡
シドの３年半ぶりとなるフルアルバム。
通算では９枚目のオリジナル盤となりました。
Vo.マオさんやBa.明希さんのソロ活動もあって、久しぶりのアルバム作品となった本作。
その間にリリースされたシングルについては、ベスト盤に収録されたものは含まれておらず、再始動後のシドのサウンドを明確に示していると言えるでしょう。
ソロ活動で得たもののエッセンスはしっかり還元。
ただし、バンドとしてのバランスは崩さないように、メンバー全員が楽曲制作やアレンジに噛み込んでいて、誰かの色に偏るといった雰囲気はありません。
序盤は、比較的ロックテイストが強く、ノリやすく聴きやすい。
ゴリゴリ激しく、といった音楽性ではないものの、ただキャッチーに仕上げただけのポップチューンに留まっているわけがなく、特にアグレッシブな弦楽器隊のせめぎ合いには、目を見張るものがありました。
表題曲となる「NOMAD」が、安定感と意外性のどちらも持ち合わせた絶妙のバランス。
これでスタートすることで、グッとリスナーを引きつけますよね。
シングル「バタフライエフェクト」からが、少し空気が変わってくるところ。
続く「低温」については、問題作と言えるのかもしれません。
Dr.ゆうやさんの作曲なのに、ドラムレス。
エフェクトをかけたギターが退廃的な世界観を持ち込んで、これが本当にシドなのか？とドキドキしてしまうほど。
Gt.Shinjiさんがコンポーズした「KILL TIME」は、フュージョン的な１曲に仕上がっていて、これまでのアダルトでお洒落なジャズ風ナンバーから更に一歩進んで、技術的にもチャレンジしてきた印象です。
マオさんのボーカルがこなれた感じになっているのは、ソロ活動の成果だったりするのかな。
シングル「螺旋のユメ」、名バラード「普通の奇跡」と、締めに向けての王道っぷりは、さすがの貫禄。
ゴージャスなシンセもメジャーの強みをフルに活用しているといったところで、V系シーンでは呪詛されがちな"メジャー感がある"をマイナス要素にしないあたりが、実にシドらしいですな。
ボリューム的には、やや物足りなさがあるのだけれど、食い足りないぐらいが何度でも聴きたくなる中毒性に繋がっているのかと。
ゆうやさんが作曲する割合が増えたことで、ありそうでなかったラインの楽曲が多くなった。
ベテランの域に差し掛かる中で、今もなお新鮮味を放ち続けている事実は、やはり魅力的です。
こうして聴くと、気持ち良いぐらいにV系のセオリーや流行を無視していて、オリジナリティで勝負してきたバンドだったのだな、と改めて。
ライト層にも聴きやすい音楽性のため、そんな風に語られることが少ないバンドではありますが、彼らの唯一無二のポジション、再び評価してみてもいいのでは。
＜過去のシドに関するレビュー＞