未練橋/美良政次
未練橋
1,300円
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1. 未練橋
2. 愛したけどサヨナラ
3. 未練橋 (カラオケ)
4. 愛したけどサヨナラ (カラオケ)
5. 情熱の華
Moi dix Mois等で活動中のボーカリスト、Sethさんがソロデビュー。
ヴィジュアル系演歌歌手・美良政次として1stシングルをリリースしました。
最上川司さんのブレイクにより、ひとつのサブジャンルとして確立しつつあるヴィジュアル系演歌。
黒崎ジョン氏をプロデューサーに迎えて制作された本作は、"さよなら三部作"とのこと。
ボーナストラックの「情熱の華」を含め、別れをテーマにした3曲+カラオケバージョンを収録しています。
方向性としては、ド演歌ではなく、ムード歌謡寄りでしょうか。
先駆者で例えるなら、最上川司さんよりも、花見桜こうきさんに近いイメージ。
歌唱法についても、演歌特有のコブシなどはあまり見られず、ミドルトーンのビブラートが特徴的なSethさん本来の歌声ですね。
本格派を期待しすぎるとV系色が強く感じてしまうのかと思われますが、もともと歌唱力は安定していますので、歌謡曲と捉えればハマっていると言えます。
「未練橋」は、切なく歌い上げるバラード。
表題曲ということで、もっとも演歌的なナンバーに仕上がっています。
言葉を詰め込んで盛り上げていくサビは耳馴染みが良く、このメロディアスさはとっつきやすいのでは。
「愛したけどサヨナラ」は、70年代歌謡曲チックなノリの良さがありました。
掛け合いができそうなサビは軽いタッチなのだけれど、時代感も踏まえた哀愁が漂っていて、なんともレトロな雰囲気に。
静から動に切り替えて、幅の広さを示していきます。
その中間をとったのが、ボーナストラック扱いの「情熱の華」。
いかにも演歌の導入っぽい語りと、覚えやすいメロディはインパクトがあって、本編に入れてもおかしくない完成度ですよ。
予想していたほど、どっぷり演歌というわけでもないのだな、というのが率直な感想。
昭和的、日本的な歌謡音楽をまとめて"演歌"としているようで、少し極端な哀愁歌謡系バンドのひとつと見ても、そんなに違和感はないかもしれません。
ただし、話題作りだけのためにヴィジュアル系演歌歌手と名乗っているというわけでもなさそう。
若者に馴染みのないジャンルの橋渡しになれるよう、敢えてわかりやすい曲調を揃えてみたと考えられなくもないのです。
演歌から入るリスナー層にどう映るかは未知数ですが、V系サイドから入っていこうとする層にとっては、このぐらい聴きやすければ次も聴いてみよう、という意識も働くはず。
市場の拡大へのきっかけとなれるかどうか、注目を集める1枚。