kéɪn/yohiaco
![]() |
kéɪn
3,240円
Amazon |
1. 空色ボタン
2. 月光
3. 稜線
4. 衝動
5. 君惑うニュアンス
6. 二次元上のパーフェクト
7. yes i do
8. 凍りゆく世界
9. Happy?
10. ゆらゆらゆれてる
11. ララ・ララ
Eins:VierのVo.山田浩文、Gt.中村佳嗣によるユニット、yohiaco。
本作は、3年ぶりにリリースされる2ndアルバムです。
アコースティックギターとボーカルのみのシンプルな編成。
それが彼らのライブでのスタイルなのですが、本作では、同期やエレキギターも取り入れているのがポイントでしょう。
そもそも自由な音楽を、ということでのアコースティックスタイル。
そうでなくてはいけない、という決まり事を捨てた結果、彼らの出自でもあるバンドらしいアレンジも含まれているのは興味深いですね。
初期の楽曲から最近の楽曲まで幅広く入っているとのことで、軸はあるものの、バラエティにも富んでいる。
1曲目の「空色ボタン」は、軽快で爽やか。
彼らのポップセンスが映える楽曲に仕上がっているのですが、リードトラックとなった「稜線」は、ゆったりと漂うような世界観重視のナンバー。
キャッチーではないけれど、年齢を重ねたからこその深みが感じられて、なるほど、大きなパワーを持った楽曲だな、と。
浩文さんの特徴ある歌声も、今では説得力と包容力に溢れていて、これなしで成立しないほどの武器となりました。
「君惑うニュアンス」や「二次元上のパーフェクト」は、カホンとベースが入ったことによって、バンドサウンドに慣れた耳にも聴きやすいのでは。
11曲のボリュームとなると、アコギ一本では単調になってしまう懸念もあっただけに、ライブの再現に拘らなかったことは素直に評価したい。
アクセントとして効いていますよ。
むしろ、このアレンジを聴いたことによって、"ライブではどのように料理しているのだろう"と気になってくるため、導線として機能している部分もあったりしたりして。
個人的には、「凍りゆく世界」が好みです。
序盤はシンプルで、やわらかくストリングスが入っているも、基本はアコースティックギターとボーカルのみ。
後半には、シンセやエレキギターが主張を強めて盛り上げていくという、ベタではあるがたまらない構成。
どこかレトロな質感を持った「Happy?」も捨てがたいですな。
ゼロ年代のV系バンドがやっていそうな雰囲気で、これがyohiacoから飛び出すと、大人びた渋い楽曲になるのが面白い。
コテコテのヴィジュアル系リスナーに刺さるかどうかは未知数ですが、Eins:Vierのふたりが、メロディを大事に音楽を継続している事実。
彼らのメロディラインが好きであれば、聴いて損はないと断言できるクオリティです。
「ゆらゆらゆれてる」から「ララ・ララ」の大団円まで、様々な感情を揺さぶり、心に訴えかける1枚。