二次元コンプレックス / マイドラゴン | 安眠妨害水族館

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二次元コンプレックス/マイドラゴン

 

1. 二次元コンプレックス

2. 夕焼け番長

3. 男と女のタクティクス

 

己龍の"先輩バンド"という設定で登場したマイドラゴン。

本作は、2011年に発表された1stシングルです。

 

Vo.ダンディー麻呂、Gt.チャリティー三城、Gt.ビューティー多摩、Ba.パンティー卑猥、Dr.プリティー寿々の5人組。

定期的にシングルをリリースしていたこともあり、ナイトメアと仙台貨物の関係性のように安定した活動を行うかに思われましたが、2017年にラストライブを行って解散となってしまいました。

おふざけ色が強く、和風コテを貫く本バンドとは似ても似つかない作風。

かなり聴く人は選びそうなのですけれど、普段では採用されないであろうアプローチを楽しめるという意味では、貴重だったのかもしれません。

 

3種類同時での発売となった本作。

TYPE Aでは、付属するDVDに業界初となる3Dでのダンス映像が収録。

TYPE BとCでは、それぞれ異なる配布曲が追加される仕様です。

 

表題曲である「二次元コンプレックス」は、ダンスビートが特徴であるデジタルチューン。

同期の割合が大きくて、メンバーは歌や掛け合いに混ざってくることで主張している印象です。

それぞれ、わざとキャラを作ったような歌う方をしているために聴きにくさはあるのですが、メロディワーク自体はキャッチーさが際立っているのではないかと。

こちら側の才能もあるのだけれど、おふざけのオブラートに包んで照れ隠ししているイメージかな。

出だしの拍子抜けなファルセットから、リスナーを良くも悪くも引き付けており、インパクトを出すだけの勝負であれば満点でしょう。

 

全タイプ共通のカップリングである「夕焼け番長」も、方向性は同様。

同期をまぶしたデジタルポップ的な楽曲に、キャラありきのポップな歌メロを乗せるスタイルで、ひとつひとつが濃い。

実際の楽曲構成以上にカオティックに聞こえてしまうから面白いものですよ。

 

TYPE Cに収録された「男と女のタクティクス」は、やろうとしている方向性はマイドラゴンなのだけれど、メロディラインには確実に己龍が残っていますね。

艶っぽい歌声で歌われる、ダークなメロディライン。

企画の初期にできた楽曲だからこその住み分けの甘さが、かえって魅力になった形か。

TYPE Bに入っている「カオス~もはや意味不明~」も、そのうち聴いてみたいと思わせるタイトルで、興味を持たせる工夫はあらゆるところに散りばめられているな、と。

 
どこまでいってもネタ色が濃く、己龍の音楽性を期待しているリスナーにはおススメできない。
ただし、アルバムを残すことなく解散した彼らだからこそ、シングルの重みが変わってきているというのも事実です。
彼らのスタンスを理解しつつ、なお耳にしてみたいということであれば、お好きなタイプを1枚手に取ってみてはいかがでしょうか。