5次元よりの使者(M盤) /えんそく
5次元よりの使者(M盤)
2,182円
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1. 5次元ドア-M-
2. 嫌なコトことからは逃げちゃえ!
3. 飛び出すメガネ
4. 瞬間、母。
5. メメメント・メメモリィ
M盤とF盤の同時リリースとなる、えんそくの「5次元よりの使者」。
よくある2タイプ同時リリースかと思いきや、内容が異なるミニアルバムとフルアルバムという驚きの仕様でした。
5thミニアルバムと、5thフルアルバムに、タイトルは"5次元"と5づくしで攻めてきた彼ら。
ついでに、5月5日にDr.SINさんの加入が発表され、再び5人編成になるなど、偶然も運命と捉えてコンセプトに取り入れてしまうあたりが、実にえんそくらしいな、と。
こんなことを思いつくセンス、それを実行してしまう実行力、何よりそれを高いクオリティで完成させるバンドとしての地力。
どこをとっても、オンリーワンを地で行くバンドである。
さて、こちらの"M盤"は、ミニアルバムとして構築された楽曲群。
とにかく、密度が濃いナンバーが取り揃えられています。
流れやバランスを考えなければいけないフルアルバムと比較して、ある程度勢いで押し切ってしまうことができるのが、ミニアルバムのメリット。
この辺に、ミニアルバム2枚ではなく、フルアルバムとミニアルバムに分けた理由が如実に表れていると言えるでしょう。
唯一両タイプに収録されている「5次元ドア」を導入にして、熱量の高いアッパーチューンを詰め込んだ。
わちゃわちゃしたイントロから徐々に洗練されていく、ソリッドなサビが印象的な「嫌なコトことからは逃げちゃえ!」に、芝居めいた語りや、掛け合い風のコーラスワークが演出として効いている「飛び出すメガネ」。
「瞬間、母。」では、サイバーなデジタルサウンドとヘヴィーなバンドサウンドを組み合わせてテンションを高め、キャッチーでポップな「メメメント・メメモリィ」が盛り上がり切ったところでクロージング。
バランス無視で、個の強い楽曲をこれでもかと畳み込んできます。
そして、強引なだけで終わらせない"中二病"という統一軸。
ひとつひとつの物語が、本当に中学二年生がのめり込みそうな妄想に構成されていて、掘り下げればいくらでも深読みできそうな設定と、ネタ化・メタ化を恐れず徹底してそれを表現してやろうという心意気には、否が応にも惹かれてしまう。
全曲シングルカットできそうな勢いで、たった5曲とは思えない充実度がありました。
ごちゃごちゃに見えるけれど、すべてが計算づくにも見える。
もしかしたら、今の段階では気付いていないだけで、とんでもない仕掛けが隠されているのかも。
この曲とこの曲は、実はリンクしているのかもしれないぞ。
そんな風に、どちらも揃えて、中二病的にあれこれ考察してこそ、本作の真の楽しみ方だったりして。
企画性を考慮しなくても、素直におススメできる1枚。
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