えんそくの大予言 / えんそく | 安眠妨害水族館

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えんそくの大予言/えんそく

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1. 宇宙大天使土曜日
2. 朱色1号
3. U.F.Oが来るまで
4. イン・ザ・マリオワールド
5. 最後のえんそく

Dr.稔さんがえんそくから帰宅。
4人組となったえんそくのFORCE MINI ALBUMです。

惡の秘密結社による大戦争を経て、 過去の自分たちを変えるべく過去にタイムスリップしていくといったコンセプトを持つ本作。
ご承知のとおり、4thとFORCEを掛けているのだと思われるが、LAST MINI ALBUMとしてリリースされた「えんそくの思い出」がミニアルバムとしては4枚目だったはず。
タイムスリップにより、これが4作目ということに塗り替えてしまった、ということなのだろうか。

過去の作品の中でも、ストレートな作風に仕上がったと思います。
前作「惡童のススメ」から、素直な構成の楽曲が増えてきてはいましたが、更に聴きやすさを追求しているような。
足し算だけでなく、引き算により新鮮さを出すアプローチ。
ストレートとは言え、アレンジは練られていますので、まったく退屈することなく、最後まであっという間に聴ききることができますね。

ギラギラとしたシンセと、パンキッシュなノリ。
大勢でのコーラスで盛り上げる「宇宙大天使土曜日」で幕を開け、お洒落で渋い「朱色1号」に。
映像を浮かべやすい歌詞ではないのだけれど、なんとなく共感できるようで、背景を知りたくなる独特の世界観。
これこそ、ぶぅさんの描く世界設定の醍醐味である。

サイケなダンスサウンドと、切ないメロディのバランスが絶妙な「U.F.Oが来るまで」は、個人的にはとても好み。
Gt.Joeさんが作曲に絡むことにより、アヴァンギャルド性が増した気がします。
パっと聴いた感じではスタイリッシュなのだが、よくよく聴き込んでいくと、なんだかんだ、えんそくらしい複雑性を持っている。
タイトルに注目してしまう「イン・ザ・マリオワールド」は、Ba.ミドさんがコンポーズしたナンバー。
イントロから青春パンク感全開で、本作において彼らが出そうとしているパッションが詰まった1曲と言えるでしょう。

意味深なのが、ラストに収録された「最後のえんそく」。
ライブの定番曲ではあるが、このタイミングで再収録したことには、何か理由があるのかな。
ドラムのクレジットが、脱退してしまった稔さんであることからもわかるとおり、演奏面に手を加えた印象はあまりない。
ただし、途中で入る台詞の部分が、稔さんの帰宅を示唆する内容に変更されており、えんそくが4人になっても続いていくという意志を改めて宣言したように見えました。
タイムスリップして、"最後のえんそく"としてリリースした楽曲を改めて収録したからこそ、本作は、5thではなくて、4thと置いたということなのかもしれませんな。

東阪それぞれで12か月連続ワンマンというチャレンジを行っている彼ら。
ライブでの盛り上がりが想像できる内容に仕上がったのも、その辺の意識によるものだったりするのでしょうか。
間違いなく勝負の年となる2015年度の一発目。
景気よく新たなコンセプトのスタートを切ってくれました。

<過去のえんそくに関するレビュー>
惡童のススメ
えんそくの思い出
魔冬のマルコム
This is a pan.