1.This is a pan.
渋谷O-WESTでのワンマンライブ、『さよなら旧人類~やっぱりボクラは青かった~』にて配布されたCD。
特段、曲名が記入されていないため、正式なタイトルは不明。
代表曲である、「This is a pen.」の再録バージョン、ではあるのですが、歌っている歌詞は、「pen」ではなく、「pan」になっているので、「This is a pan.」なのかな。
「真剣にふざける」というモットーのもとに活動しているバンドなので、ネタ色も強いのですが、音楽の質も相応に高くて、侮れないバンド。
「This is a pen.」を封印するという趣旨で行われたワンマンライブで、「This is a pen.」ではない、「This is a pan.」を配布するあたり、遊び心があるというか、捻くれているというか、アイディアはとても面白い。
歌詞は、途中で入る語りやラップの部分を除いては、基本的に「This is a pan.」のみ(後半、そうでない単語も混じってきますが)。
曲を知らない人にとっては、こう書いてしまうと、同じフレーズをひたすら繰り返しているだけというイメージを持たれてしまうかもしれません。
しかし、そうではないのです。
Aメロの雰囲気を持たせた出だし、Bメロでハードな掛け合いがはじまり、サビでは、少しリズムが落ち着いて、メロディアスになる・・・という、それなりに凝った構成になっている。
だけど、それら全部を「This is a pan.」で歌いきってしまう度胸たるや、尊敬にすら値します。
ちなみに、この「pan」は、主食としての「パン」を意味しているようで、途中でパンは英語で「bread」だろ!というセルフ突っ込み&逆ギレもかましています。
これを聴くだけで、ライブが楽しいんだろうなぁ、と想像できる作品になっているかと。
そんなわけで、インパクトはとてつもなく大きく、そちらが感想の主体になってしまうのはやむを得ない部分でもあるのですが、演奏もおろそかになっていないのは評価したい。
むしろ、ハードな演奏で、展開が多い曲もしっかり弾きこなしています。
オケだけ聴いてみれば、ハードな要素が強い、硬派なバンドという印象になるでしょうね。
演奏のクオリティは高いのに、おふざけが多いバンドとしては、藍華柳~Aikaryu~を思い出しました。
音楽性的にも遠くはないかな。
ネタのクオリティを維持したまま、演奏力をアピールしていけば、ライブが楽しいお洒落系バンドとも、ラウド・メタルを主軸とする硬派バンドとも差異化、区別化が図れる。
ニッチなところで、上手く知名度を増してきているバンドですね。
リリースペースも安定しているので、今後どのように注目されていくか見守ってみたいところです。