月光 / LIQUID | 安眠妨害水族館

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月光/LIQUID

月光 (v.1.00) 月光 (v.1.00)
200円
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1. 月光(v.1.00)

 

仙台を拠点に、2017年に始動したLIQUID。

本作は、彼らにとって初の音源となる1st Digital Singleです。

 

ex-MiD DERACINEのVo.hibariさん、Gt.レムさん、silk duzz factoryのDr.Tadatoshi Yoshidaさんを中心に結成。

前任ベーシストの脱退に伴い、ex-LuinspearのBa.秋さんが加入して現編成に。

仙台ダークバンドのオールスターズ的な布陣となりました。

 

リリースされた「月光(v.1.00)」は、ミドル~スローテンポの退廃的な美しさを持つナンバー。

ピアノの音色からスタートし、徐々にバンドサウンドが完成していくのですが、その構成が実に巧妙で驚かされる。

淡々とした展開や、シンプルなアレンジによる、暗さ、冷たさ。

これをイメージさせておきながら、沸々と溢れ出すような情念が、Bメロぐらいからプレイに重なり出すのです。

 

この流れが、自然でもあり、不自然でもあり、絶妙だったとしか言いようがない。

当然ながら、流れをぶち壊すような転換はなく、スムースさは保っている。

一方で、さらっと聞き流してしまうようなものでもなく、ここから盛り上がるぞ、というのを直感的に伝えるギミックが細かく散りばめられているのですよ。

どちらかと言えばマニアックなテイストが強い楽曲なのだが、この工夫によってわかりやすく感情が揺さぶられる。

世界観に引き込むのが上手いなぁ、と。

 

V系バンドのセオリーとして、代表曲となることを期待されてトップバッターに送り込まれる音源化1発目に、これを持ってくるか。

当初はまさかと面喰ったのですが、ディープな作風が好きなリスナーの心をがっちり掴みつつ、案外、入り口は広いという気の利いた楽曲。

なるほど、メンバー的にコア層向けのダークナンバーを求められがちな彼らにとっては、これ以上ない選曲だったのかもしれません。

 

"v.1.00"とわざわざタイトルにつけていることから、今後、リテイクやリミックスが施されることが前提なのかしら。

レベルアップしたものがアルバムに収録、なんてことも想定されているのなら嬉しいのだけれど、もともと活動ペースは激しくないので、慌てずに待つとしましょうか。