Sang -Another Story- / KAMIJO&初音ミク | 安眠妨害水族館

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Sang -Another Story-/KAMIJO&初音ミク

 

1. Sang-Another Story-

2. 私たちは戦う、昨日までの自分と

3. Sang-Another Story-[Instrumental]

4. 私たちは戦う、昨日までの自分と[Instrumental]

 

期間限定デュオ、KAMIJO&初音ミクのシングル。

同時リリースとなるKAMIJOさんのアルバム「Sang」の番外編として発表されました。

 

ただでさえ、ヴィジュアル系とボーカロイドというジャパニーズ・サブカルチャーを代表するコラボレーション。

そこに、「ローゼンメイデン」のPEACH-PITさんがメインヴィジュアルを書き下ろし、衣装はMana様がプロデュースするMoi-meme-Moitieが提供したというのだから、クール・ジャパン全部盛りといったところでしょう。

3D印刷が施された特殊ジャケットも、ヴァーチャル世界のライブシーンを想起させる演出効果となっており、視覚にもこだわるKAMIJOさんらしい工夫が随所に見られます。

 

死者を蘇らせて、血液で発電する制度がある世界。

電気の歌姫、初音ミクは眠りから目覚め、歌っているという設定のようで。

表題曲である「Sang-Another Story-」は、KAMIJO節全開のお耽美疾走チューン。

王道だからこそ、女声ボーカルで歌い上げられることに、最初は少し違和感があったというのが本音ですかね。

 

一方で、慣れてくれば発見も多い。

たとえば、KAMIJOさんの歌唱法の変化により、LAREINEとVersaillesでは音楽性の変化を感じずにはいられなかったのだけれど、こうして第三者の声で歌われることで、根本的なメロディセンスは変わっていないのだな、と改めて気づかされました。

デュエット風に掛け合ったり、KAMIJOさんがコーラスにまわってハモったり、と普段では聴くことができないチャレンジもいくつか。

まさか、こんな興味深いコラボレーションを聴ける日が来るとはな。

 

カップリングの「私たちは戦う、昨日までの自分と」は、ミステリアスで荘厳なイントロからスタートするナンバー。

粛々とシリアスに進行していきますが、サビになると華やかさを纏ってキャッチーに開けるのが、実に彼らしい。

この曲のボーカルは、初音ミクのみ。

なのにこんなにもKAMIJOさんの存在を感じてしまうのだから、面白いものですよ。

 

なお、「Sang」には、"歌"と"血"の二つの意味があるとのことで、まさにボーカロイドとシンクロしているな、と。

調声にややぎこちない部分はあるものの、ワクワクが上回っているという企画モノの神髄。

番外編という位置づけだけれど、「Sang」の濃厚なストーリーにのめり込むための導入剤として聴いても良いかもしれません。

 

<過去のKAMIJOに関するレビュー>

Royal Blood ~Revival Best~

Heart
闇夜のライオン
Moulin Rouge
Symphony of The Vampire
Louis~艶血のラヴィアンローズ~