Louis~艶血のラヴィアンローズ~ / KAMIJO | 安眠妨害水族館

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Louis ~艶血のラヴィアンローズ~ 【通常盤】/KAMIJO
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1. Louis~艶血のラヴィアンローズ~
2. Grazioso
3. 幻想トリアノン
4.Louis~艶血のラヴィアンローズ~[Instrumental]
5.Grazioso[Instrumental]
6.幻想トリアノン[Instrumental]

LAREINE、Versaillesと、一貫して耽美な世界を渡り歩いたKAMIJOさんの1stシングル。
MVに、MALICE MIZER、Moi dix MoisのMana様が出演したことでも、話題を集めました。

内容の違うDVDの付いた2タイプの初回盤、そして、ボーナストラック「幻想トリアノン」と、収録曲のインストバージョンが追加収録された通常盤の、計3タイプでのリリース。
LAREINE時代に、実質的なソロ作品は出しているものの、一応、本作にてソロデビューということになるのか。
タイトルも、ヴィジュアルも、相変わらずといったところ。
描く世界観は、バンドでも、ソロでも、ブレずに徹底されています。

表題曲の「Louis~艶血のラヴィアンローズ~」は、シンフォニックでクラシカルな要素が強く、いつにも増してオペラティック。
ずっしりと重さを意識したようなサウンド。
それに絡まるオーケストラが荘厳に鳴り響き、これぞKAMIJO節ですね。
Versaillesの延長線上としても聴けるのだけれど、フックとなるメロディやシンセのフレーズには、LAREINE時代のインパクト重視のポップさも戻ってきたような。

歌い方は、低さ、太さを意識して。
甘ったるさを抑えて、ガツガツ攻める演奏に負けぬように声を張る手法は、メタルバンドに在籍したことで得た技術。
最後のオペラ風ファルセットのやりすぎ感など、まだまだスキルが高いとは言えませんが、個性、カリスマ性は抜群。
サビのメロディアスさには、懐かしさすらあります。
Versaillesでの経験を、本来のヴィジュアルポップの土俵で活かした結果、これだけ格好良い楽曲が出来上がったということでしょう。

「Grazioso」は、ソロだからこそ、今までと違うアプローチを試みたとのこと。
ワルツ調で、静かに進行していく、アクセント的ナンバー。
2分程度しかない短さで、演劇のために作成された舞台音楽といったイメージです。
序章、もしくは、場面転換に使われていそう。

通常盤に収録された「幻想トリアノン」では、再びバンドサウンドに帰ってきて、タイトル通り、幻想的なロックバラードを展開していきます。
「Louis~艶血のラヴィアンローズ~」は、メタル要素も残したアレンジに仕上げていたのだけれど、こちらは曲調が曲調なだけに、よりLAREINEに近い。
間奏で、シンフォニックなパートや、重低音を意識したフレーズも見られるのですが、基本的には、シンセの印象が強まったでしょうか。
メロディに、もっとインパクトがあればな。

なんだかんだで、KAMIJOさんの楽曲が好きなら、安心して聴ける作品。
ガツンとくるのは、表題曲のみではあるのだけれど、彼の世界観が、まさかシングル一枚で完結するはずがないわけで、続編もあるのだろうと期待してしまいます。
今時、ここまで正しい意味でのヴィジュアル系を貫ける、KAMIJOさんの気高い意志に乾杯。