安眠妨害水族館的 2017年下半期CD大賞~後編~ | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

前編に引き続きお送りする、安眠妨害水族館的CD大賞。

残すところはトップ5ということで、聴き逃したCD、または見逃したレビューを思い出すきっかけになりましたら。

これが2017年最後の投稿になるのかと思うと、あっという間な気がしますね。

 

 

第5位

 

 

In incontinence / gibkiy gibkiy gibkiy

In incontinence In incontinence
3,240円
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詳細なレビューは<こちら

1曲目のイントロを聴いただけで、これは名盤なのだろうな、と直感できる衝動性。

一筋縄ではいかないマニアックさはそのままに、更に一歩向こうへ踏み込む決断をした印象です。

4人編成のバンドとして熟成したことにより、メロディへの意識が高まったのがポイント。

ピリピリと張り詰めたダークな世界観を堪能できる、誰が聴いても格好良いフルアルバムがここにある。

"名古屋系"と呼ばれるサウンドがベースになってはいますが、スクラップ&ビルドを繰り返す斬新なアプローチは、間違いなく未来を見ていました。

 

 

第4位

 

 

エムオロギー / MERRY

 

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異種格闘的な対バンイベントを精力的にこなし、他ジャンルとの親和性も高めつつあるMERRYでしたが、9thアルバムで見せたのは、ヴィジュアル系バンドとしての矜持。

エログロナンセンスな世界観と、王道の疾走サウンドを高いレベルで融合させ、いよいよ唯一無二のバンドスタイルが出来上がってきました。

もちろん、盗むところは盗んで、といった部分もあるのですが、それを自らのサウンドに落とし込むセンスも抜群。

アクの強い楽曲たちを見事にコントロールして、またも傑作を作り上げた。

CORE完全限定盤はライブ盤のボリュームも満点で、充実感が半端じゃありません。

 

 

第3位

 

 

弱肉教職/ラッコ

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3,240円
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同期を重ねたり、多弦ギター&ベースで重低音を強化したり、とにかく音の情報量を増やす傾向にある現代ロック。

それらへのアンチテーゼともとれる引き算の美学を教えてくれるのが、ラッコの1stフルアルバムでしょう。

デジタルに頼りすぎず、繊細なフレーズを紡ぎ合わせてダイナミックなアンサンブルを生み出すスタイルは、激しくもお洒落、新鮮味がある。

メッセージ性の強い歌詞、および表現力重視の歌唱との相性も良く、1曲1曲を短くまとめて流れを生み出しているのも奏功しています。

これだけ胸に響く作品でありながら、バンドとしては伸びしろを感じさせるのもワクワク感を高めてくれる。

期待を込めて、ベストスリーにランクインさせてみました。

 

 

第2位

 

 

ぼくらの残酷激情 / シェルミィ

 

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純粋な完成度で言えば、gibkiy gibkiy gibkiyやMERRYのほうが高いのだと思う。

ただ、これから大きくなってやろうとギラギラしているバンドの勢いは、それを凌駕することもある。

シェルミィの1stフルアルバムには、そんなポテンシャルを感じたのですよ。

曲の良さ、表現の上手さは、既にハイレベル。

メンヘラをテーマにしたバンドは食傷気味、という声も聞こえてくるようになった昨今ですが、彼らから放たれる痛み、叫びは付け焼刃ではないシンパシーがある。

あっという間に1stPress盤を完売させたというのも納得です。

 

 

第1位

 

 

社会に散った日 / ホタル

社会に散った日 社会に散った日
1,620円
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盲目フィルターが入ってくることは、百も承知。

とはいえ、本命バンドが13年ぶりに新曲を発表し、その内容が想像を超えていたのだから躍らせてほしい。

あくまで、このランキングは僕の主観なわけですから。

歌謡曲的なメロディや、シンプルだけど激情を駆り立てるアレンジはあの日のままに、胸に刺さる歌詞を、圧倒的な表現力をもって注ぎ込む。

これを聴いて何も感じない人はいないだろう、というほどにグッとくる3曲。

社会に散って、青春は終わってしまったけれど、それでも明日を待っている。

ホタル史上、最高傑作と呼べるであろうシングルです。

 

 

12月後半にリリースされたシングルが第1位。

抵抗がないわけではないのだけれど、先行盤が11月にリリースされて聴き込む時間があったことも踏まえ、瞬間的な評価ではないと判断しました。

メインストリームで活躍するバンドではありませんが、是非多くの人に聴いてもらいたい。

 

選外になった作品にも触れると、DIAURAの「VERSUS」は総合的に完成度が高かったです。

過去の作品に比べて、ガツンとくるインパクトに欠けたのかな、ということで他の作品を優先してしまったのですが、これが今期のベストというリスナーがいてもおかしくはないでしょう。

Angeloの「HETERODOX」に、 LIPHLICHの「CLUB FLEURET」なども、同じく。

この辺りはランキング常連ですし、最後まで迷ったのだけれど、直感的に勢いを重視したい気分だったので。

 

アクメやPOIDOLといった新進気鋭のバンドにも注目しています。

2018年は、若手バンドをもっと聴いていきたいですね。

これからシーンを作っていくバンドの開拓が出来なかったというのが、個人的な反省点。

おススメがあれば教えてください。

 

そんなわけで、2017年もお世話になりました。

来年も安眠妨害水族館は続けてまいりますので、お時間があるときに読んでいただき、あわよくばCDを手に取るきっかけになれば幸いです。