Future! / 筋肉少女帯 | 安眠妨害水族館

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Future!/筋肉少女帯

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5,400円
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1. オーケントレイン

2. ディオネア・フューチャー

3. 人から箱男

4. サイコキラーズ・ラブ

5. ハニートラップの恋

6. 3歳の花嫁

7. エニグマ

8. 告白

9. 奇術師

10. わけあり物件

11. T2 (タチムカウver.2)

 

筋肉少女帯にとって2年ぶりとなるフルアルバム。

カヴァー、セルフカヴァーを含まない完全オリジナル盤としては、20年ぶりになるのだとか。

 

テーマは"未来"。

前作「おまけのいちにち(闘いの日々)」がノスタルジックな作風だったことを踏まえ、逆のベクトルに振り切れるコンセプトアルバムになったとのこと。

大槻ケンヂ氏による歌詞は一貫したメッセージが込められているのだけれど、やはりコミカルでシニカル。

前向きだけど、前向きすぎないオーケン節がハマっています。

 

序盤は本城さん、中盤は内田さん、終盤は橘高さんの楽曲が固まっており、それぞれ聴き心地が違っているのが特徴でしょう。

要するに、作曲者の趣味が前面に押し出されているということ。

アルバムとしてどうなの、という側面はあるのかもしれないが、このバラバラ感も筋少らしいと思ってしまう。

 

「オーケントレイン」からスタートする本城さんゾーンは、良い意味で安定感あり。

足元を固めて勢いに乗せると、濃密な内田さんゾーンへ。

特に、プログレ感満載の「エニグマ」が壮絶でした。

インストのようにも思えるけれど、オーケンさんの叫びや語りも前に出ていて、一般的なバンドであれば実験作と評されるナンバー。

これがリード曲になってMVが制作されているというナンセンスっぷりは、本作のインパクトを120%高めていると言えるのでは。

ナゴム節全開の「告白」も、古くからのリスナーはニヤリとしてしまうはず。

 

橘高メタルで締める終盤戦は、インスト曲である「奇術師」から。

ガラっと雰囲気が変わることもあり、このクッションは効いています。

耽美でテクニカルで、暑苦しさも持ち合わせた「わけあり物件」、「T2 (タチムカウver.2)」。

引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、最終的にはここに帰ってくるホーム感。

いかにも、ライブ映えしそうです。

 

こんなヘンテコないつも通り、他に探しても見つからない。

再結成から11年目。

活動停止となり、かつて迎えられなかった11年目のスタートへの意欲が音楽として残った形。

娘がいる身としては、カラっと明るいサウンドで歌い上げる「3歳の花嫁」が、たまらなく沁みました。