lightless ~鈍い、闇。~/emmurée
lightless ~鈍い闇~
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1. lightless ~鈍い、闇。~
ライブ会場で無料配布されていたemmureeのシングル。
2017年のクリスマス、配信での取扱が開始されました。
収録された「lightless ~鈍い、闇。~」は、彼らにしてはキャッチーさのある疾走チューン。
ダークではあるのだけれど、じめじめとした陰鬱な感覚ではなく、闇を吐き出すかのような攻撃性も見せている。
幽閉された世界に誘うための導入剤として、抜群な効果を発揮しそうですね。
初期の楽曲と比較すれば、とっつきやすくなったのかもしれない。
しかし、それは大衆化、没個性化という意味に非ず、極端に暗い楽曲を演奏しなくても、emmureeのサウンドを表現できる土台が出来上がったということ。
その証拠に、さらっと聴いただけでも、これはemmureeの音だ、とわかるのだもの。
メロディだけを聴いたら、確かにとても耳に馴染む。
ところが、バランスを崩しかねないノイジーなギターは、楽曲が進むにつれて強烈に存在感を増してくるし、ベースにしても、ドラムにしても、徐々に激しさを求め出すのですよ。
終盤は、まったく別の楽曲とも思えるほどカオティックなサウンドに辿り着いており、崩壊の美学を体現。
これをキャッチーな楽曲、で済ませてしまうなんてもったいない。
2016年にリリースされた「Red. 」が、どちらかと言えば原点回帰の色を帯びていたことを勘案しても、音楽性の振れ幅として、ここまでコントロールできるようになったと解釈するのが妥当でしょう。
心なしか、音の作り方にも少し変化が見られるかな。
ミックスやマスタリングでの匙加減の違いということかもしれませんが、よりエッジが効いている印象。
本作はロックナンバーだけに、これがばっちりハマったな、と。
暗黒に満ちた部屋の壁を少しずつ削っていった結果、少しスペースが広がった。
そうしたら、未だに真っ暗な部分もあるけれど、ほんのり明るい部分もできた。
例えるならば、そんな感じ。
それにしても、emmureeが配信リリースなんてね。
時代が移り変わっているのを、改めて実感します。
<過去のemmureeに関するレビュー>
EMMURE´E
【acute sense】
真っ赤な林檎
灯陰
灰色