パノラマ/Carpe diem
1. 暁
2. 回転木馬
3. 眠れる森
4. 絶望塗れ
5. 泡沫
2015年に活動を休止したカルペディエムが、2017年、バンド名を英語表記に戻して再始動。
新体制での第一弾となるミニアルバムです。
ex-カラビンカのDr.Junさんが正式加入。
活動休止前にベーシストとして在籍していたHeroさんは参加しておらず、結局フルメンバーは揃っていないのですが、何はともあれ、再びCarpe diemの音楽が聴けるというのは嬉しいこと。
Gt.Naoさんの巧みなギタープレイと、Vo.Chroさんの艶やかな歌声が、あのまま埋もれてしまうのはもったいないですから。
さて、2年ぶりのリリースとなる本作。
収録された5曲は、すべて違った雰囲気を持っています。
ポップさを押し出したロッカバラード「暁」、幻想的でダークなシンセが初期ラルクを彷彿とさせる「回転木馬」、退廃的な世界観にじっとりと歌声が絡みつく「眠れる森」、本作中もっともハードでメロディアス、疾走感がある「絶望塗れ」、淡々とした序盤から、壮大な終盤へと広がりを見せる「泡沫」。
ゆるやかな楽曲と、駆け抜ける楽曲が交互に押し寄せる構成で、はっきりとした場面転換のよう。
実際にそんな意図があったのかはわかりませんけれど、次へ次へとストーリーが繋がっていくドラマ性を感じずにはいられないのだ。
もともと音楽性の幅は広く、一辺倒にならないように手数を増やしていた彼ら。
ミニアルバムという媒体でそれをやることで、かえってコンセプチュアルに聴こえるから面白いな、と。
最後の「泡沫」で、Carpe diemワールドを出し切ったのが大きいのかと思われますが、実際の収録曲数以上に充実感を与えてくれますね。
最後に残る波音は、なんとも意味深でした。
大きな路線変更はなく、安定感あり。
その点、復活作としてのインパクトは弱いのかもしれないのだが、この時代に再び、世界観重視の歌モノで勝負を挑んできた姿勢を買いたいところ。
まずは、復活の狼煙をあげたということでしょう。
ひとりでも多くの、どこか懐かしい空気感を好むリスナーの耳に届いてくれることを願うばかりです。
<過去のCarpe diem(カルペディエム)に関するレビュー>