Ending -1999072319991201- / Raphael | 安眠妨害水族館

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Ending -1999072319991201-/Raphael

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1. 花咲く命ある限り
2.  「・・・」~或る季節の鎮魂歌~
3.  promise
4. Cadenza
5. さくら
6. 小夜曲~悲愴~
7. ピーターパン症候群
8. ハックルベリーの恋
9. Holy mission
10. 吟遊詩の涙
11. 僕と「僕」
12. タッチ

再レコーディングアルバム三部作の第二弾。
インディーズ時代の楽曲で構成された第一弾「Never -1997040719990429-」に対して、本作はメジャーデビュー後の楽曲を中心に構成されています。

前作は、大幅にアレンジが加えられたナンバーが多かったイメージ。
若い頃のアレンジということで手直しの余地があったのか、オリジナルを新たな解釈で作り直すことに意味を見出していたのか、良くも悪くも変化を感じ取ることができたアルバムでした。

一方で、この「Ending -1999072319991201-」については、思った以上に素直に再録したな、という印象を受けました。
ハードな楽曲は、より強靭に。
メロディアスな楽曲は、より表情豊かに。
オリジナルの正統進化といったアレンジに仕上げており、これはこれで興味深い内容と言えるでしょうね。

背景を推測するならば、本作の収録曲は1stアルバム「mind soap」からのナンバーが大半。
既にアルバムの中で役割を与えられた楽曲たちであり、既存曲を作り変えて足りないピースを埋めていく、という作業は必要なかったとも言えます。
シングルである「花咲く命ある限り」、「promise」を軸として、激しく、叙情的で、クラシカルなRaphaelのサウンドを展開。
カントリー調の「ハックルベリーの恋」や、異国情緒漂うミディアムナンバー「吟遊詩の涙」など、アクセント的な楽曲もあり、下手にいじらなくても、バランスは保たれているのだ。

その中で注目したいのは「Cadenza」であろう。
カップリングとして収録されていた経緯もあり、どうしても地味な存在に留まっていたこの曲。
タイプ的に重なる楽曲もいくつかあって、あまり語られる機会は与えられていませんでした。
ところが、この作品においては、しっとり系の歌モノとしてリメイク。
衝動性がそのまま詰め込まれたような作品の中では、この大人びた雰囲気と美しいメロディは抜群の存在感を放っており、ここにきて開花したという感動がありました。

逆に「タッチ」では、遊び心なのか、凝りすぎた結果なのか、どうも歌い方がクドくなりすぎており、最初のバージョンのほうが良かったかなぁ。
YUKIさんの歌唱力が圧倒的なのは言うまでもないのですが、衝動で押し切ってしまう勢いがスキルを勝ることもあるのだな、と改めて思い知らされます。

ちなみに、ゲストミュージシャンとしてナイトメアのGt.咲人さんや、ベルのGt.夢人さんも参加。
前作から引き続きYUKIさん自らもギターを奏でており、華月さんとの再演を果たしております。
リスペクトの心は共通していても、アプローチが異なるから面白いものだ。

こうなってくると、第三弾はどうなるか、想像がつかなくなってくる。
未収録の楽曲も残り少なくなってきているし、現在のRaphaelでの新曲や、華月さんが組んでいたサイドプロジェクトからの楽曲も飛び出してきたら…なんて期待も捨て切れません。
おそらくRaphaelとして最後のスタジオ音源となるだけに、どんな力作に仕上がってくるか、今から楽しみで仕方ないですよ。

<過去のRaphael(-Starring 華月-)に関するレビュー>
Never -1997040719990429-
天使の檜舞台
eternal wish~届かぬ君へ~
秋風の狂詩曲
Evergreen
mind soap
タッチ
夢より素敵な
Sick~XXX患者のカルテ~