- 秋風の狂詩曲(ラプソディー)/Raphael
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- 1. 秋風の狂詩曲
- 2. 不滅花
- 3. 秋風の狂詩曲(インストゥルメンタル)
- 4. 不滅花(インストゥルメンタル)
Gt.華月さんの急逝により、事実上のラストシングルになってしまったRaphaelのシングル。
当時まだ19歳、いくらなんでも若すぎました。
「癒しの天使」がコンセプトだとしても、本当に天使にならなくたって・・・
彼らの魅力は、メタルをベースにした激しい楽曲と、YUKIさんの高い歌唱力。
そして、10代だからこそ書ける、10代という時期の心理を痛々しく綴ったリアリティのある歌詞でした。
大人から見たら子供だましのような歌詞でも、子供から見たら、ここまで自分の心内を抉った歌詞はなかったという内容で、まさに「大人はわかってくれない」部分での共感という点で、彼らにしかできない音楽をやっていたのだな、と思います。
だからこそ、大人になったラファエルも見てみたかったんですが、それは永遠に叶わなくなってしまいましたね。
「秋風の狂詩曲」は、新境地というべき、ケルト的な音を取り入れたミディアムテンポの切ない歌モノ。
それまでは、激しく、激情的なアレンジで鋭く抉る曲が多かったのですが、これは落ち着いた、優しいメロディの曲に仕上がっています。
ヴィジュアル系で、こんなに心地よい音楽が聴けるなんてと、これからの展開に期待感が高まったナンバーでした。
そして、カップリングの「不滅花」。
もう、偶然にしても、最後の曲がこの曲なんて、余計切ないじゃないですか。
これも、メロディアスで歌を活かした疾走感のある楽曲ですが、ボーカルがとても優しく伸びやかで、それまでの衝動をパッケージしたような荒々しさはなく、ひとつ上のフィールドに進んだような、そんな印象がありました。
曲自体は、随分前にできていたものだったとは記憶していますが、この楽曲の本領を発揮できる段階に達したからこそのレコーディングだったのだろうな、と。
良さはそのままに、動と静の使い分けができるようになっています。
なお、「秋風の狂詩曲」は、その前のシングル、「evergreen」と対になるような歌詞があったり(「読書家の彼女」と、「今日も一人 読書のフリ」)、曲をまたいだ世界観の構築にもチャレンジしていたのかな。
これらをまとめたオリジナル・アルバムが聴きたかった、というのは、間違いなく先を見据えた構想があったから。
彼らと同時に、曲の中の主人公が成長していく様を見ていきたかったです。
歌唱力も、演奏力も、10代のレベルとは思えないほどのクオリティは持っていたバンド。
ぜひとも、10代のうちに聴いておいてほしいCDです。