シングルマザーの彼女と入籍をした。


これで、晴れて夫婦となった。




彼女の子どもと養子縁組した。


これで、晴れて親子となった。



そう、俺たちは、これで、本当の家族になったんだ。


これからは、「妻」と「子ども」と呼ぶことになるんだ。





あとは、いつから一緒に住むか?


これが残っていた。





入籍したころの俺は、

仕事の都合で3ヶ月ほどの出張をしていた。

出張といっても、

部屋を引き払って、

出張先で新たに借りて生活していたから、

転勤と言った方が正しいのかもしれない…。






1.入籍と同時に一緒に住むことになると、

  生活環境の変化と小学校の入学が重なる。

  

  そして、俺の出張が終わるタイミングで、転校になってしまう…。


2.俺の出張が終わってから一緒に住むことになると、
 
  子どもが小学校へ入学した後になってしまう…。

  

  そして、入学してから1ヵ月くらいで、すぐに転校になってしまう…。




俺の出張のタイミングが良くなかった…。


でも、どっちかを選ばなくちゃならない……。


俺は、妻と何度も相談して、2を選んだ。



子どもが生まれ育った慣れ親しんだ環境で、

小学校へ入学して、

すぐに転校することになってしまっても、

それ一度だけであれば………。

生活環境の変化が一度だけで済むことになる…。



子どものことを最優先に考えた結果、

俺たちはそれを選んだんだ。





あとは、出張から戻ったときの部屋探しだ。


戻る時期は決まっていたから、前もって探すことができた。




夫婦・親子という家族3人で住む部屋。

だけど、新婚生活になる。




何だかちょっと妙な感じだったけど、

知り合いの不動産屋さんに頼んで、

良い部屋を探してもらった。





小学校が近いこと。

大通りに面していなく、交通量が多くないところ。

買い物とかが便利なところ。


こんなかんじの条件で探した。





一般的な新婚夫婦の条件と違って、

シングルマザーとの結婚だったから、

当然、子どもがいるので、

子どもが中心の条件になった。


俺としても、自然にその条件で探そうと思っていた。





俺と妻は、休日を使って、部屋を見て回った。




何度も見て回った結果、

ようやく納得できる部屋を見つけた。






俺は、出張先からレンタカーに荷物を積み込んで、

一人で引っ越した。

つまり、先に俺の荷物だけ運んでおいたってわけだ。


妻と子どもは、業者を手配したから、荷物は全部業者が運んでくれる。

あとは、俺が妻の車を運転して、三人で引っ越した。





ついに三人で一緒に住むことになったんだ。

俺と妻と子ども、三人の生活が始まったんだ。





シングルマザーとの新婚生活が始まった。

夫婦の始まりで、親子の始まり。



そう、とうとう始まってしまったんだ………。

彼女の話によると、



彼女が離婚した理由は、元夫の浮気らしい…。


いわゆる「できちゃった結婚」らしい…。


だから、結婚生活は、ほとんど無かったらしい…。



出産後、すぐに別居したらしい…。


そのまま離婚したらしい…。



離婚してから、子どもには、ほとんど会わせていないらしい…。



養育費は、滞ることもありつつ、貰っていたらしい…。




このように、「彼女は、○○○○○らしい…。」ばかりだった…。




俺からは、彼女の過去を聞き出すことはしなかった。


「過去は関係ない。」と思っていたけど、

本当は、「聞きたくなかった。」だけなのかもしれない・・・。




シングルマザーと結婚するって、


本当にいろんなことがあるなぁって思った…。






俺は、彼女と結婚して、


彼女の子どもを養子縁組すると決めた。




両家へのあいさつも済んだ。



両家の顔合わせも済んだ。


結婚式場と日程も決まった。




あとは、「いつ入籍するか?」だった。





彼女の子どもが小学校へ入学する前に籍を入れる。



それは……




彼女の子どもの氏が、


小学校へ入学してから変わっちゃうと、

イジメとかの対象になってしまうんじゃないか?




と考えたからだ。




子どもと養子縁組をする。


彼女と入籍する。


これを同時にする必要があった。




遅くとも、3月には入籍をする。


ということで、3月の良い日を選んで入籍した。

もちろん、大安吉日だ。


彼女が色々と調べてくれて、


お互いの最良の日が重なる日を選んでくれたんだ。


つまり、最強で最良の大安吉日だ!





婚姻届……。




初めて見たけど、あの紙に署名することで、


やっぱり気が引き締まった。




養子縁組届……。




これも初めて見たけど、


(見たことある人の方が少ないだろう・・・。)


彼女曰く、



「結婚するから、婚姻届と一緒に出さなきゃならないのよ。」

と言われていたから、


両家の父親にも署名・捺印してもらってから提出した。




それまでも自分の子どものように思っていたけど、

あの紙に署名したことで、それを強く実感した。






これで、本当に夫婦となったんだ。


これで、本当に親子になったんだ。





俺は、養子縁組について、


まったく勉強もしないで、


彼女に言われるまま進めていたけど、

本当は、そうじゃない方法もあるということを、


後から知ったんだ……。





そう、そのころの俺は、


裁判所なんか全く縁がなかったから、

裁判所で氏の変更ができるなんて、


全く知らなかったんだ……。






つまり、養子縁組なんか急いでしなくても、


子どもの氏は、俺と同じにできたんだよね……。

彼女はシングルマザーだから子どもがいる。



その子どものことを考えると、


小学校へ入学する前に籍を入れてあげる必要があった。



だから、


「少し早いかもしれない…。」


と思いながらも、


彼女との結婚を決意したんだ。





彼女との結婚式、


その準備を進めていったけど、


その前にやらなきゃならないことがあった。





両家の顔合わせ。




これは、両家の実家と俺の転勤先の


中間距離の場所でやることにした。




相手は子連れの再婚になる。


仲人も立てないから、結納もやらなかった。




顔合わせは、ホテルのレストランで、


昼食をとる形式にした。





前日の夜、大雪が降ってしまい、


当日の電車のダイヤは大きく乱れていた…。




当日、俺の家族は、特急が運休となってしまい、


普通列車で来ることになってしまった…。

結局、少し遅れてしまった…。



俺も、新幹線が大幅に遅れ、


普通列車で行くことになった…。


俺は、ギリギリ間に合った。



彼女と彼女の家族は、


雪が積もる悪路の中、なんと車で来た……。

事故もなく、無事に着いて何よりだった。


ちなみに、彼女の家族は、時間に間に合った。





両家が揃い、ひと通りあいさつを済ませ、


会食が始まった。



彼女の子どもを含めた未成年者を除いて、


全員が酒を飲んだ。





誰も突っ込んだ話をすることもなく、


ぎこちない会話を交わしながら、

なんとか無事に顔合わせは済んだ。





俺の家族は、電車で帰って行った。

帰りの電車は復旧していた。



彼女の家族は、車で帰って行った。


明らかに飲酒運転で……。


俺がいくら止めても


全く聞く耳あらずだった…。





実は、この彼女の家族の行為は、


その後の彼女たちの考え方を把握するために、

とても参考になったんだけど、


このときの俺は、ただ呆れるだけだった……。




それにしても、両家の顔合わせで飲酒運転って…。

彼女との結婚を決めてから、すぐに式場を探し始めた。



相変わらず遠距離恋愛だったし、


俺の実家と彼女の実家も遠距離だったから、

結婚式をどこで挙げるのか?


これが問題だった…。





俺は、順調に出世していた。

給料も、同じ世代と比べれば、トップレベルにもらっていた。

いわゆる順風満帆と言われるような人生を送っていた。

エリートコースを歩んでいたと言えるのかもしれない。





彼女は、シングルマザー。





そのときの俺は、仕事だけを見れば成功していたし、


結婚相手がシングルマザーだったから、


俺の両親や友人は、


この結婚に賛成してくれなかったのだろう…。



「わざわざ、そんな条件の女性を選ばなくても良いじゃないか。」



そう言われたこともあった…。





だから、俺は、


結婚式を俺の実家のある故郷でやると決めたんだ。



親父やおふくろに、ある種、敬意を表したつもりだった。




俺は、地元で一番の式場となる、


皇族の御用達にもなっているホテルを選んだ。





実は、会社関係者のことを考えると、


招待するには場所的に不便だったから


少し気が引けたんだけど、

全てにおいて、


俺の両親の気持ちを優先に考えさせてもらった。





もちろん彼女には、


俺の地元で式を挙げることを話し、


彼女も賛成してくれた。





挙式は、相手がシングルマザーということもあったので、

バージンロードのチャペル式じゃなく、神前式にした。





式で使う音楽は、彼女に全て任せた。


衣装合わせも、順調に進めた。


そうして、ホテルのスタッフと、


何度も打ち合わせを重ねていった。



そう、結婚式に向けては、まずまず問題なく進んだんだ。

無事、俺の両親に、



シングルマザーの彼女と結婚するって挨拶が済んだから、



今度は、彼女の実家へ挨拶しに行くことになった。





ところが、前日に急な接待が入ってしまい、


明け方まで飲むハメになってしまった……。




翌朝、俺は、一睡もしないで電車に乗り込んだ。


乗り換えの駅で、手土産を買った。


これで、準備万端だ。



電車の中では、


あいさつの言葉を考えながら、


睡魔と闘っていた。




乗り過ごすことなく、彼女の待つ駅に到着したけど、


もはや眠気の限界に達していた…。



仮眠を取る時間はなかったから、


そのまま彼女の実家へ向かった。




ついに、彼女の両親へ、


結婚のあいさつをする時がきた。



彼女の両親とは、何度か会ったことがあったけど、


さすがに少し緊張してきた。




この日が来るまで、本当にいろいろあった…。



彼女の父親や母親とは、何度かもめたことがあった…。



印象的なことを一つだけ挙げると、



「娘と付き合うなら、一言あるべきだ。」


と彼女の両親に言われたことがあった…。



俺は、カチンときた。



俺からすれば、


バツイチで子連れの娘の親ともなれば、


そんな高飛車なことは言えないはずだと思っていた。



そんなことが何度もあった上での、


結婚のあいさつだったから、


「娘さんをください。」


とか


「結婚させて下さい。」


このセリフだけは、


どうしても言いたくなかった…。



そして、彼女の実家に着いた。



彼女の実家は・・・。



ふだんから片付いていないと感じさせるほどに、

とてもじゃないが、きれいとは言えない状態だった……。


猫などを飼っていることは聞いていたけど、


かなり臭った……。



ちなみに、俺は猫アレルギーだ。



事前に彼女は両親へ話していたらしく、


猫は隔離したようだった。



猫アレルギーの人ならわかると思うけど、


猫がいた部屋は、それだけで症状が出る…。


さっそく目がかゆくなり始めた……。



奥の部屋に通され、手土産を渡した。



俺は、彼女の両親に向かって話し始めた。



「娘さんと結婚します。今日は、その報告に来ました。」



彼女の父親は、


「よろしく頼むよ。」


と言った。



その後、雑談程度の会話をしたけど、


俺が寝ていないことを彼女が言ってくれて、

長々と居ることにはならずに帰ることができた。




気になったこといえば、



彼女の実家は、父親の威厳が感じられなかったこと。


完全に母親が管理している。


母親が支配している。



でも、婿養子になるわけじゃないから、


あまり深くは考えなかった…。





のちに、このことが大きな意味を持つことを、


そのときはまだ知る由もなかった……。



こうして、シングルマザーの彼女の


実家へのあいさつは無事に済んだ。