9/6


15:00

この旅の主目的、久しぶりにドイツの先生と会う日。


少しお年を召された感はあったが、相変わらずエネルギッシュで素晴らしくあたたかい…。

お話しメインで、ピアノは少し聞いていただくくらいと思ったが、弾き始めると昔と変わらぬ素晴らしいレッスンに。もう自分は全く生徒をとっていないし、現場から離れているから、と言っていたのが信じられない。

楽譜に書いてあることを言っているだけなのに、瑞々しく、詩的で…自分は見ているようで何も見ていなかった。ただひたすら音楽への愛を感じる時間。



自分の道を進んでいって、果たしてこんな世界が見えるのだろうか…不安もあるが、どこまでも先があるということに対する幸せも大きい。


18:30

私が留学していた頃から、大学の伴奏員として働く同門の先輩と会う。あたたかく、強い。

再会、またいずれ演奏会しようと話して、お別れ。


今日でドレスデン滞在も終わりか…まあ、また考えはまとめよう。ありがとう、ドレスデン。

9/5


疲れはピークに来ている感じもある。まだまだここからしんどい日程を組んでるというのに先が思いやられる。


10:00

留学中から特別なお土産のためにいつもお世話になっていた、近所の日本人経営のワインケラー、DWG Handel さんに。

相変わらずワイン愛の溢れる素敵なマスター、最高。



11:00

住んでいた寮の1階のカフェに。

入った途端マスターが、

「久しぶりじゃないか、随分来なかったな」

と。なんとあたたかいことか…最高のアイアーシェッケ(ケーキ)に自然と口角が上がる。






13:30

お土産のバウムクーヘンとコーヒーを買い、ひと休みしてドレスデンの美術館、アルテマイスターに。素晴らしい作品のみならず、厳かな空間を堪能。

もし、一室一作の美術館があったら面白いな、とふと感じた。色々な作品がある中の、となるとどうしても集中がそがれるし、光の反射も全ての作品に良い配置にはできない。まあ、そういうこだわりは自分で所有しないとできないか。


美術と音楽の相違についても考える。細かい話は旅行記には書かないが、演奏の創造性というものをもう少しポジティブに考えることは、自分の精神にも良いのかもしれない、など。


17:00

音大の元守衛さんと会う。とても有能な方で、面倒な練習室取りも彼女にかかればあっという間だった。学生思いで能力も高かった彼女がいま音大にいないことが残念でならない。

つたないドイツ語で一所懸命話す。楽しい時間はあっという間。


19:00

昨日と同じコンサートに。今回は空席が多いためか安い値段で前から2列目に。近すぎると、団員の細かな機微が分かるので面白いのだが、非常に疲れるし、音響はさほど良くない。昨日とは別の聞き方をして楽しむ。

今回の演目のヴィオラのソリスト、タメスティは2公演ともに凄まじかった。これしかない、という音楽のラインを完璧に進んでいたように思う。

シュターツカペレはいつもそうだが、異常にフレーズが長く取れる。精神力とイメージ力だろうか…今回のアルプス交響曲なんて、50分1フレーズだったんじゃないかな笑

終演間際には時差ボケによる凶悪な睡魔に襲われる。渡航してのコンサートにはこんな危険もあった…がヨーロッパに行くときに時差ボケになることは今までなかった。これは歳かな…参った参った…。

夢のような2日間のコンサートはおしまい。全ては心に響いている。目指すものを忘れず進むのみ。





9/4


1日ドレスデン各所を回る。



















夜は私にとって最大級のイベント、シュターツカペレのアルプス交響曲を聴く。

真に偉大だ。それに尽きる。

そういえばこれを定期的に聞くことで、雷に打たれ、身を正し、在らん限りの力で芸術に立ち向かっていたのだった。


この演奏を聴くまで、街に昨日までいたかのように親密さを感じ、感慨に耽るよりは日常に歩み入るような感覚であった。記憶しているものは案外簡単に思い出せるし、感覚も戻るのであれば、その記憶、感覚がどういうものかよく思い、感じれば呼び覚ますことは直接の刺激なしに可能と思っていた。


しかし、このような演奏を聴いた後の感覚はどうか…確かに記憶にはあるが、より生々しく、身体の芯に響いている。きっとこれが芸術の力なのだ。人が予測できるものを軽々と超越し、心を打つ。これをやるんだ、とはっきり心の中心から声が響いている。


9/3


10:00

またもライプチヒ、ニコライ教会のミサに参加。トーマス教会の合唱団が来ていて、三位一体から13週後ということでそれに応じたバッハのカンタータも聴けた(昨日聞いたのと同じ)

ミサでは皆が簡単な歌を歌う部分がある。これがまた、たまらない。


12:00 ライプチヒ

13:30 ドレスデン


いよいよである。

どれだけの感動があるかと思ったが、じわじわとした感慨の方が近い。昨日までここにいたかのような、不思議な感触。

音大近くのホテル着、素晴らしく快適。

音大は随分と快適になった感もあるが、やはり何も変わらない重厚感。あぁ、ここでどれだけ学んだことか…記憶の中に沈んでいたものが次々と蘇り、膨らんでいく。自分の魂はここにあるんだろう。






元門下部屋の名前プレートを見て、先生の名前がないことを確認。時は動いている。


19:00

ゼンパーオーパーでボエームを。

何度も見た演目だが、何度見ても感動がある。次見れるのはいつになるのやら…全てを吸収した、はず。とにかくこの旅を忘れずにいたい…。




21:30

留学時の仲間、現在ドレスデンで指導者、演奏者として活動中の友と再会。東京で会うよりも久々な感じがないのもまた一興…

9/2


07:00

フロントに危険区域からの脱出方法を聞くが、やはり朝は問題ないとのこと。念の為大通り側を推奨された。

それより何より、やはり懸念していたDB(ドイツ鉄道)が欠便。まぁあるわな、正直期待してました、と気楽に構える。


08:00

ようやくDBの窓口が開く。席の予約までしていたのに、それは新しい列車では取り直せないとのこと。まぁいいですよはい…


08:40 ハンブルク

11:30 ライプチヒ

ザクセン到着。もう、駅に降り立った瞬間から懐かしさに包まれる。何回来たことやらなあ…駅のBratwurst(パンに挟んだソーセージ)を早速頬張る。ここのホテルは問題なし、安心して街に身を任せる。





15:00

荷物を預け、いざトーマス教会へ。



あぁ、ここも何度来たことやら。

カンタータを聴く。私は無学なので、宗教的な行事としての意味はわからない。ただ、この空間に身を置くことは音楽家として必ず必要なことだといつも感じる。決して忘れぬよう、全身で吸収する。


17:00

今度はニコライ教会でオルガンのコンサートに。これは偶然見つけたので僥倖僥倖…。

明るい音色と、プログラム、演奏者、教会内の色が良く合っていて、とてもポジティブな空間に。



21:30

素晴らしい時間を過ごしているが流石に疲れはたまっている。余韻に浸りながらしばし休息。

偶然ライプチヒに滞在していた、大学の同級生、ザクセン留学仲間、大学の非常勤でも同僚の友人と会う。留学中何度も訪れた酒場。不思議なもので、ドイツで会う方が違和感なく、自然に会話ができる感覚がある。

日欧各地で演奏、指導と忙しい毎日を送る彼。音楽へのぶれない愛を持ちながら、積極的にポジティブに仕事を続ける姿勢にいつも瞠目する。私とは根本的な性格が真逆だが、音楽に対する意見が程よく一致し、とても心地よい。

私ももう少し積極的に明るくいよう、と今回も思った次第。また演奏を聴くのが心から楽しみだ。



やはりザクセンはいい…心地よい酔いに身を任せつつ明日のドレスデンに想いを馳せる。