人 事考課と処遇2
人事考課の目的は、「人が活き活きと仕事をして、組織として高い業績を上げるようにする」ことだと思う。
そのためのひとつの手段として、人事考課により「メリハリのある処遇」を行うということ必要があるといわれるが、「メリハリのある処遇」が、「人が活き活きと仕事をして、組織としての高い業績をあげること」に結びつくのであろうか。
また、「メリハリのある処遇」に耐えうる公正な評価ができるのであろうか。
どちらも、非常に難しいのではないだろうか。
金銭による「アメとムチ」は長続きしないのではないかという懸念の他に、
公正処遇を実現するために
① 処遇に連動するから、過度の「公平・公正」な評価が求められる。
② 過度の「公平・公正」が求められるので、複雑な仕組みと細かな基準が必要になる。
③ その複雑な仕組みを運用するための教育や訓練が必要になる。
④ 制度の維持・運営に労力を使い果たし、制度の目的を見失ってしまう。
⑤ 結局、複雑な仕組みと細かな基準が制度をわかりにくくし、単なる処遇決定の仕組みになってしまう。
⑥ 不満はあるが、仕組みがよくわからないので、そのままになってしまう。
⑦ 面接で無理やり納得させるという会社もあるが、さらに面接に対する時間的・精神的負担が増加し、その内容によってさらに不満が大きくなる。
という問題が出てくる。
逆に、人事考課と処遇(賃金や賞与)は切り離すと次のようなメリットが出てくる。
① 過度に「公平・公正」にこだわらないシンプルな制度となる。
② シンプルな制度なのでわかりやすく、浸透しやすい。
③ お金に連動しないから、評価者の感情などが影響せず、ルール通り、基準通りに評価できる。
④ お金に連動しないから、評価される人も素直に評価結果を受け入れることができる。
⑤ 面接が上司部下との有効なコミュニケーションの場となる。
⑥ 個人の思惑に影響させず、組織目標に連動した目標設定ができる。
⑦ 評価することは、社員の「今の状態」を知ることとなり、それに基づいて政策を立てて実施することができる。すなわち「より適正な配置」「より有効な活用」などが可能となる。
⑧ 評価基準は組織が求める行動や能力の期待像を示しており、これを公開することで、社員にあるべき姿を表明することとなる。社員の行動を変え、能力の向上を促す。
人事考課は能力活用や能力開発、目標の共有化や職場のコミュニケーション強化のために行うものと考え、報酬決定の根拠は人事考課以外のもので考えるのがよいのではないだろうか。
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人事考課と処遇1
1.人事考課と処遇は別物
人事考課と「処遇のため評価区分」と区別して考えることが必要である。
人事考課は、部下の仕事ぶりや仕事の結果を考課し、よいところは認めて、さらに仕事に活用するようにし、いけない点は指導して、よい仕事をするように仕向けていくために行うものであり、処遇とは関係なく、管理監督者が当然行うべきことである。
処遇のための評価区分とは、人事考課した結果を点数化し総合点を出して、その点数により、処遇上の評価段階を決める、ということである。
2.本末転倒
「人材育成と会社の業績を上げるために人事考課を行い、その結果を処遇に活用する。」ということであり、「処遇に活用するために人事考課を行う」ことではないということをしっかり認識することが必要である。
3.失敗しないために
人事考課と「処遇のための評価区分」を切り離して考えることで、管理ツールである人事考課が機能するのであり、「処遇のための人事考課」を行っている限り、人事考課は機能しないことになる。人事考課は「処遇を決める点数付け」ではないということを、しっかり認識すべきである。
4.目的は何?
人事制度は「社員を成長させ業績を向上させる仕組み」である。
ただ単に賃金や賞与を決めるためだけのものではない。
社員が生き生きとやる気をもって働けるような人事制度をつくり、運用していくことが、大切である。
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能力考課は難しい
私は製造業の大規模企業に勤める者です。 過去のQ&Aでもこの質問が幾つかあったようですが、私も「能力評価に関しては絶対評価は難しい」という風に思ってしまっております。理由は、色々ありますが、例えば、
・ 評価基準が抽象的にならざるを得ない。
・ 絶対主義で能力評価しようと思えば、基準を詳細に、曖昧さを排除して作る必要がある。
・ 一方、能力は外からは見えず主観的に判断されるものであるから、実際にはこれにより評価を行うための能力基準は作成不可能に近い
などです。考課者に受け入れられる絶対評価基準(能力に関する)をどのように作り、運用するべきなのか、ご教示賜りたい。(人事担当者)
おっしゃるとおり、能力評価は、相対評価、絶対評価に限らず、非常に難しいですね。 能力というのは、直接眼に見れるものではないですし、基準の作成も大変難しいです。 ですから、最近は能力評価をやめて、目に見える行動を評価するように変える企業が増えていています。
そうは言っても、現実に能力評価があるわけですから、何とかしなくてはいけません。
能力評価が難しいといっても、知識や技能のような修得能力は比較的簡単です。
基準作成も、等級ごとに求められる知識と技能を列挙すればできます。 基準ができますから、もちろん、絶対評価で行うことになります。
問題は、判断力や企画力などの習熟能力です。
これらの等級ごとの基準を作成しようとしても、「言葉遊び」になってしまい、 現実的な基準が作成できません。 したがって、等級にふさわしい課業を明確にして、等級相当の課業を行っている場合における、トラブル処理や改善内容によって、習熟能力を判定するという 代替法で行うようするのが妥当かと思います。 (等級相当の仕事をしているとは限らないとか、能力を判断できる事象がないとかいろいろ問題があります)
ひとつの方法として、 習熟能力の等級別の基準作成は、非常に難しいので、等級ごとに作成しないで 最高レベルの基準を作成し、その最高レベルに対して、どのくらい近づいているかを評価すると言う方法があります。これですと、基準はひとつだけなので何とか作れます。
評価をすると、当然高い等級の人は高得点に、低い等級の人は低い点数になるでしょうから、その辺を勘案して、3等級は30点でB、4等級は35点でBというように等級ごとに基準を変えるようにすればよいでしょう。
いずれにしましても、能力評価は難しいです。 ですが、この能力考課が年功を司っているのです。 同じ仕事をしている限りは、能力は下がらない、 昨年と同じか伸びる、わけですから、社員にとっては、よい評価項目と言えるのではないでしょうか。
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絶対評価に疑問
私は、総務部で人事制度の改善、運用をしている立場にある者です。「絶対考課」についてお尋ねします。 日本人は、生まれたときから相対考課の中で育ってきています。いくら人事制度は絶対考課で!と指導しても、考課者の中には、「まるで新興宗教のお念仏みたいに、絶対考課、絶対考課と叫ぶな!」、「相対考課で仕組みを作ることが日本人にはあっている。 なんとからならないか?」という意見を持つ者が多数おります。
自分も絶対考課の基準を作りながら、疑問を持つ毎日です。もっと日本にあった、そして時代にあった人事制度はないものでしょうか?
ご質問にお答えします。
1 絶対評価について
社員同士比較して優劣をつけることがよいことかどうか? それぞれ条件もちがうわけで納得性があるかどうか、疑問があります。 育成のためには絶対考課が必要です。人事考課は職務遂行能力の分析評価であり、言い換えれば「職務遂行能力の健康診断」です。
基準に対して劣っているかどうか、勝っている点はどこかを判断して、今後の仕事に活かしていくためであり、今後の行動を改善するためのものでもあります。
例えば、実際の健康診断で「あなた○○さんより健康です」といわれて何か役に立ちますでしょうか。育成のためと考えれば、やはり、絶対考課で行う必要があります。処遇だけでいいのであれば、相対考課で行うこともできますが、組織力を必要とする企業ではチームワークが保てないので難しいようです。
2 時代にあった人事制度
何のために人事制度があるのかを明確にする必要があります。差をつけるためか、育成のためか、業績向上のためか? その目的に応じて、考えていけばよいと思います。
お話によると、それなりの制度があるようですので それをしっかり運用していけばよいと思います。その人事制度の目的を各管理者にしっかり理解させることが必要です。
社員の方がいまだに相対考課がいいなどといっているということは、今の人事制度の目的をよく理解していない証拠だと思います。目的を理解しないで、運用しようとしてもうまくいきません。
担当部門の方はよくご理解していらっしゃると思いますが 実際に運用の中心となる管理者が理解していないと、うまくいきません。
管理者はもちろん、社員の方が良く理解できる人事制度が良い人事制度ではないでしょうか。
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人事考課の調整
人事考課の結果、各部門でバラツキがあります。技術系、事務系等部門間で平均点に差があり、全社一括で評価した場合に妥当かどうか疑問が残ります。このような場合、どうやって部門間格差を是正するのでしょうか。
ご相談にお答えします。
人事考課の調整は、「評価基準の明確化」や「考課者訓練」など事前に行う「事前調整」をしっかり実施すべきであり、考課後の「事後調整」は、理屈上は意味がないものです。
しかし、実際は、評価基準の不明確や考課力不足のため、甘辛やバラツキが生じ、処遇に活用するとき、事後調整せざるを得ない場合が見受けられます。この場合、次善の策として次のような方法で調整を行います。
1.数学的手法で行う
・ 各集団の平均値を求め、全体の平均点との差を個人の点数にプラスマイナスする。
・ 各集団の平均値を求め、目標平均点60点との差を個人の点数にプラスマイナスする。
・ 各個人の偏差値を求め、その点数で使う。
2.人物比較法
・ 事前に等級ごとに標準人物を選定し、その標準者と各集団から3~4人選定し人を比較して、甘辛度をチェックする。特に問題なければ、その集団からの考課結果を認める。問題ある場合は、その集団全員のチェックを行い再評価する。
・ あるいは、総合評価の区切り点の前後の人に関して、標準者と比較して調整する。
3.事後調整における留意点・・・調整結果のフィードバック
・ 事後調整を行った場合は必ずその結果を考課者にフィードバックすることが必要である。
・ これは、部下の質問に対して説明するためであり、上司として当然知っておく事柄である。
・ また、今後の考課の改善のためにも調整結果をフィードバックすべきである。
・ 特に「あまい」管理者には厳重に注意する必要がある。あまくなる原因は「期待水準の低さ」と「部下へのゴマすり」が考えられるが、管理能力の低い上司ほど期待水準が低くなり、リーダーシップのない管理者ほど部下にゴマをするようになってくる。
したがって、人事考課の「甘い」管理者は管理者失格であることをしっかり認識させるべきである。
以上、よろしくお願いします。
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フィードバック面接の仕方
年功序列の賃金制度ですが、昨年末頃から人事考課制度を導入し、第1回の考課結果を面接にて個々に報告しました。1名だけ結果に対して異議の申し立てをして来ました。 本人に理由を言っても感情的になり、話が成立しません。皆さんはどの様に結果理由を本人に伝えているのでしょうか?(Nさん)
人事考課のフィードバック面接についてですね。
人事考課のフィードバック面接は、直属上司(1次考課者)が、過去半年間の仕事振り(行動や結果)に関して どこがよかった、悪かったかを確認し、今後の改善点や育成ポイントを話し合う場です。
事前に考課基準を公開してあり、事実に基づいた考課をしていれば 納得しないなどということはありえません。
もしそのようなことがあるとすれば、
1 事前に考課基準や、考課ルールが公開されていない
2 事実に基づいた人事考課がされていない
3 考課ルールに基づいた人事考課がされていない
等が考えられます。
今後の対策として、
1 考課基準、考課ルールを明確にする。
2 考課者訓練等で考課の仕方をしっかり勉強する。
3 被考課者訓練にて、考課される側も勉強する。
が考えられます。
蛇足ですが、この人事考課のフィードバック面接の中で 処遇上の話をする必要はありません。
「~~だからボーナスが多い」とか「昇給が少ない」などの話をする必要はありません。
このような話をすると、感情的になり意味のない(逆効果の)面接になってしまいます。
育成につなげるための面接であり、処遇の事前通告の場ではないということを、面接する側もされる側も認識する必要があります。
面接の流れについては、「評価の疑問」ホームページ版をご覧ください。
http://www.sabcd.com/
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試用期間中の解雇
中途採用者を3ヶ月間の試用期間を設けて採用しました。そろそろ試用期間が終了するのですが、上司への対応の仕方が少し悪く、取引先の担当者とも交友関係がありそうで、本採用を見合わせようと思っています。その場合の注意点はなんでしょうか?
試用期間とは、採用時には社員として的確かどうか全てを見抜けないため、一定期間を設け、その期間中に働き振りを観察して、最終的に社員として雇用するかどうかを判断する期間です。
最高裁は、試用期間中の解雇について次のように述べています。
「試用期間中の解雇は、解約権を留保した趣旨から、採用時には分からなかったが試用期間中の勤務状態から判断して、その者を引き続き雇用しておくのが適当でないと判断することが試用期間を設定した趣旨・目的に照らし、客観的に相当である場合にのみ許される」 (三菱樹脂事件1973.12)
試用期間中の社員の解雇は、本採用後の解雇よりも広い範囲の解雇の自由が認められていますが、一旦採用しているわけですから、何でも簡単に解雇できるわけではなく、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものです。
試用期間中だからといった理由や、客観的な合理性を有しないような解雇理由(気に入らない、正確が暗い・・・)は無効であると考えられます。
また、雇用開始14日以内に解雇する場合は、即時解雇してもいいことになっています。
雇用開始後14日を超えれば、30日前の解雇予告や予告手当の支払いが必要になってきます。(ただし、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合は不要。)
今回の場合は、本人に「本採用できない理由」を説明し納得してもらった上で、予告手当を支払うのがよいのではないでしょうか。
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賃下げはできますか?
社員50人ほどの工場を経営していますが、業績の悪化が続き、賃金の引き下げを検討しております。合法的に賃下げはできるのでしょうか?(ある経営者Pさんからの質問)
雇用契約も「契約」ですから、契約の中身である賃金などの労働条件を変更するには、原則として、使用者・労働者双方の同意が必要です。したがって、労働者の同意のない一方的変更は無効となりま。逆にいえば、双方が合意すればよいということでもあります。
賃下げや減給には次のようなものがあります。
1 減給処分
就業規則上の懲戒規定による減給処分
一回の減給額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならず、かつ、一賃金支払期における総額がその期における賃金総額の十分の一を超えてはならない
2 返上
管理職従業員などが本人の意思により賃金の一部を返上する措置(本人の真意であればOK) 合意によると見なし合法
3 役職交代による手当減額
役職手当が支給されており、役職が変わった場合、当然それに見合った手当に変更される。手当が引き下がることもあれば、役職を外れた場合は0になる。 使用者の配属権限に帰することであり、合法
4 職務給の減額
職務給を採用している場合、職務が変わり職務給も変更になることは当然のことであり、職務給が引き下がることは当然ある。
5 年俸制
年俸制はもともと、労働者の業績等に応じ、交渉の結果として賃金の減額がありうることを予定している制度であり、年俸制の根拠規定がある以上は、賃金減額は当然ありうる。 合法
6 職能給の減給
基本的に職能給の減給はない。
合意による減給ルールがある場合はOK。 合理的ルールがあれば合法
7 制度見直しによる減給
仕事内容が変わらなく、制度が変わったという理由、あるいは新制度での格付けが変わったという理由で賃金を引き下げることは違法との判例あり。合意があればOK。 合意がなければ違法
8 年齢による賃金カット
一定年齢以上は00%カットというような賃金カットは労働者の合意があればOK。通常、定年延長等の代替にて合意している。使用者の一方的な賃金カットは違法との判例あり。 合意がなければ違法
9 業績不振による賃金カット
業績不振で整理解雇を防ぐための賃金カットについては、労働者の合意が得やすい。また、就業規則不利益変更の合理性に該当するケースが多い。 手続きを踏めば合法
今回の場合は上記の9に該当しますが、会社の状況をよく説明し、雇用の確保のために、「いたしかたがない」ということを納得してもらうことが必要です。
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会社の都合でクビ
先日、社長から「業績不振で会社をやめてくれ、1か月分の給与を払うから」といわれました。言われるとおり、会社をやめないとといけないのでしょうか?(27歳Tさん)
退職や解雇については慎重に考える必要があります。まず、退職。解雇について整理してみましょう。
1.自主退職
労働者からの一方的な雇用契約の解約
2.定年退職
雇用契約の消滅 就業規則等に規定されたとおり。
3.合意退職
労働者と使用者が合意の上での雇用契約の解約。
・奨励退職
使用者からの退職奨励を労働者が受け入れた場合
・希望退職
使用者が退職者を募り、それを希望した場合
4.解雇
使用者からの一方的な雇用契約の解約。30日前の予告(または予告手当)が必要。
・普通解雇
勤務態度不良や能力の著しい低下などによる解雇
(それ相応の理由が必要、解雇権の乱用はだめ)
・整理解雇
工場の閉鎖、事業縮小などによる解雇
5.懲戒解雇
使用者からの一方的な雇用契約の解約
解雇予告も予告手当の支払いもなく、退職金も支給されないのが一般的。
Tさんの場合は、上記3の合意退職(奨励退職)に当てはまると思われます。1か月分の給与を払うというのは、合意を得るための条件であって、「1か月分(30日の予告手当分)払うから、会社の都合で即解雇」というわけにはいきません。
したがって、Tさんが合意すれば退職になりますし、合意しなければ退職にはなりません。
よく経営者の中に予告手当を払えばいつでも解雇できると思っている人がいますが、この予告手当は解雇するための最低条件であり、それだけで解雇できるものではありません。
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