目標管理の成功事例
人事考課と連動した目標管理を導入していますが、なかなかうまく運用出来ません。うまく運用する良い方法はないでしょうか。
評価連動型目標管理をうまく運用するポイントは、各人の通常業務の内容(どのような仕事をどのレベルで実施することが求められているのか)を明確にするということです。
「どのような仕事をどのように行ってどのような成果が求められているのか」を事前に一覧表にしてしまえば、後はそれをどの水準まで行うか、経営目標との兼ね合いで水準が決まります。これが目標です。
この本来行う仕事(役割)を明確にしないで、評価連動型目標管理を導入しますと、自分の都合のいい目標を設定するようになり、目標管理が業績向上に対して逆効果になってしまします。
アカンタビリティの明確化
目標管理を実施している会社からよく出る質問が「スタッフ部門の目標が設定できない、難しい、あいまいになる」である。
これはスタッフ部門の役割が明確に認識されていなく、漠然と仕事をしている証拠である、と思われる。目標管理をしっかり運用するためには、各部門の役割を明確にする必要がある。
役割といっても、ただ単に職務記述書(職務分掌)などによって職務内容を示すだけではなく、「どういった成果が求められているか」を明確にするということである。最近の流行の言葉で言えばアカンタビリティ(成果責任)を明確にするということになる。
アカンタビリティは説明責任と訳される場合が多いが、組織においては「その役割分担のなかで生み出すべき説明可能な成果に対する責任」という意味で使われる。
例えば、プロ野球で同じ打者でも打順によって役割は違っている。2番打者は走者を進めることが求められ、犠打の数が評価の中心となる。4番打者は点数を入れること(走者をホームに還すこと)が求められ、打点の数が評価の中心となる。
同じように企業においても、同じ部長であっても営業部長と人事部長では役割や責任はそれぞれ異なっており、その役割や責任を成果の形で表したものがアカンタビリティということである。
ただ、ここで注意しなくてはいけないことは、「何をするか」ではなく「どういった成果が求められているか」を取り上げるということである。
アカンタビリティを明確にするためには、次の3つの質問を繰り返すことである。
1 あなたの役割は何をすることですか?
2 その役割を全うしたらどのようになりますか?
3 それはどうやって測定しますか?
そして、「今期の経営目標に貢献するために今期はどれだけやりますか?」が、今期の目標水準ということになる。
アカンタビリティは毎年変わるものではなく、ある程度恒常的なものであるから、最初にアカンタビリティを明確にしておけば、それを目標項目に後はその達成水準を経営目標にあわせて設定することで、目標設定が明確にできることとなる。
賃金表と定昇・ベア
それぞれの基本給項目に対して、賃金表を作成する必要があります。賃金表を作成するのは、賃金管理をあいまいではなく明瞭なかたちで行うためであり、公正な賃金管理には欠かせないものです。
賃金表がないと、社員が安心して仕事のできる環境とはいえませんし、企業にとっても、賃金管理を合理的に進めていくことができません。
賃金表を整備していない企業は、できるだけ早く、賃金表の整備が必要です。
よく昇給表で管理している企業がありますが、これもよくありません。
昇給表は「差額」を決めているだけであり、賃金総額を管理しているわけではありません。やはり、「絶対額」で示す賃金表が必要です。
また、賃金表があると、定昇とベアを分けて考えることができます。
定昇とは同じ賃金表での位置の移動による差額(昇給)をいいます。
たとえば、年齢給表で18歳の金額が1年たって19歳の金額に変更になった場合の、差額が定昇ということです。
ベアとは、賃金表の金額そのものを、引き上げることを言います。同じ18歳の年齢給であっても、ベアが実施されると、その分上乗せした金額になります。
定昇をするのかしないのか、するとすればどれくらいするのか、定昇の根拠を年齢や勤続による自動定昇にするのか、能力や業績による査定定昇にするのか、制度設計においては非常に重要になってきます。
また、ベアについても、どのような根拠で行うのか、ベースダウンもあるのか、なども決めておく必要があります。
定昇の意義
・ 社員の生計費の増加への対応
・ 社員の能力、経験や業績の向上に対する賃金面での配慮
・ 社員の労働意欲の維持・向上
・ 賃金の後払いを可能にする仕組みだった
ベアの意義
・ 物価上昇への対応
・ 他の企業の賃金改定と歩調を合わせるため
・ 初任給の上昇に対応
・ 企業の業績配分の手段
目標水準をどうするか
目標の水準は、「組織目標達成に貢献する水準(会社が求める水準)」ということと「本人が努力をすれば達成可能な水準であること。」が前提になる。
達成不可能な目標や簡単にクリアできるもの、また、達成しても組織目標に貢献しないものは、適切な目標水準とはいえない。
ココで問題になってくるのは、この「組織目標達成に貢献する水準(会社が求める水準)」と、「本人が努力をすれば達成可能な水準」とのギャップである。
この2つの水準が、同じであれば問題ないが、多くの場合、「組織目標達成に貢献する水準(会社が求める水準)」が高く、「本人が努力をすれば達成可能な」水準のほうが低い。
したがって、このギャップをどうするかということが大事になってくる。
目標管理のよい点は、このギャップが明確になることで、そのギャップを埋めるために、仕組みを変える、やり方を変える、改善する、など手を打つことができ、その結果、全体のレベルアップにつながるという点である。
ところが、ギャップが明確になっているにもかかわらず、何も手を打たないで、一方的に「組織目標達成に貢献する水準(会社が求める水準)」を部下に求め、部下の意欲を低下させて失敗するケースや、「本人が努力をすれば達成可能な水準」に迎合して、ギャップそのものを見えなくししまうケースが見受けられる。
いずれにしても、上司・経営者の手抜きであるが、せっかくの目標管理のよい点を活かさないで、結果的に「目標管理に嫌悪感」を抱かせることとなっている。
社長や役員が目標を決めるだけで、部下に責任を押し付けるような形になっていると、誰もその目標達成に必死にならないし、逆にしらけてしまい成果も出なくなってしまう。
まず、社長はじめ役員が目標を設定して、その達成のために、仕組みを変える、やり方を変えるなど必死になる。
そうすれば、社員も自分の目標達成に必死になり、成果も上がる。
業績連動賞与の付加価値基準
ホームページ「評価の疑問 」の「.これからの賞与 」の「いろいろな成果配分方式」で、付加価値基準がおすすめなのは、どういう理由からでしょうか。
成果に対する配分ということで、「企業の成果」という観点から見れば、営業利益がふさわしいと思います。
ただ、営業利益で考えた場合、役員報酬や減価償却など従業員の努力と関係しない項目も反映してしまいます。
その点、付加価値であれば従業員の努力がストレートに反映するので良いであろうという意味です。
それをもう一段階進めて、「付加価値額-社員管理可能経費」で基準を作るのがもっとよいと思います。
繰越された年次有給休暇の消化
当社の就業規則では、「繰越された年次有給休暇と、新しく付与された年次有給休暇がある場合、新しく付与されたものから順次消化していくものとする。」となっています。
これだと、翌年に残った分は消滅することになってしまいます。これって問題ありませんか。
そうですね。有給休暇の時効は2年ですから、おっしゃる通り翌年に残った前年の分は消滅します。
ご指摘の「翌年に持ち越した分と新しく付与された分とどちらを先に使うか」は、特に労働基準法では決まっていません。
その会社の決め事ですから、就業規則に決められた通りに行うということになります。
もし、不都合があるようでしたら、労使で話し合って変更されると良いと思います。
ちなみに、民法の「弁済の充当」に関する規程(下記)では、当該期間のものを先にするようになっているようです。(有給休暇とは違いますが、一応参考に)
民法489条1項1号の規定では、「総債務中、弁済期に在るものと弁済期に在らざるものとあるときは弁済期に在るものを先にす」
同2号で「総債務が弁済期に在るとき又は弁済期に在らざるときは債務者の為に弁済の利益多きものを先にす」
退職金の不利益変更
会社が退職金制度の改革をしようとしています。
会社負担分3割に対し、業績連動としようというものです。一定水準の業績であれば今までどおりですが、業績が悪いと最大3割カットされるという内容です。当然のことながら、全社員の同意を求めています。
社員にとって何らメリットがないようで同意を躊躇っています。 どのように考えるべきでしょうか?
ご相談の件、大変難しい内容ですね。
確かに、社員にとってはメリットがなく、既得権益が侵害されることになります。 ただ、既得権益も会社が存続していることが条件になります。
社員が強行に既得権益を主張することで、会社が存続しない、あるいは それが「足かせ」になって、機会損失が発生すると、労使ともに損になります。
その辺は、業界の動向、会社の業績などを考える必要があると思います。
業界的にも、会社的にも好調であれば、既得権益を主張してもよいと思いますが、厳しい環境であれば、譲歩した方がよいような気がします。
また、人件費に回せる金額はある程度決まっているわけですから 退職金の件で既得権益を確保したとしても、その他の人件費(賞与や昇給)でその分を減額するということも考えられます。
会社の説明の合理性と誠意により判断することになると思います。
以上、よろしくお願いします。
努力が報われない会社?
新事業の担当になって6年経ちます。その間、他の部署が業績を落とす中、私が担当する事業は売上も2.5倍になり、会社に貢献しています。
しかし、全く評価されずに他の部署と同じような低水準の賞与しか出ていません。
また、業務に必要な資格を取得しても、その講習費用・受験費が出るだけで、資格手当などは出ません。このような会社は、少しおかしいのではないでしょうか。
私も、新しい仕事で努力をし会社に貢献していらっしゃるわけですから、何らかの方法があってもよいと思いますが、会社にも色々事情があるのかもしれません。経営者に聞いてみたらどうでしょう。
賞与は、会社の業績、部門の業績、個人の業績を評価して配分を決めるのが一般的ですが、全体の業績が悪くて、賞与水準が低い場合は、あまり差をつけることはできません。
賞与にはまだまだ、生活給の一部と言う考えがあるからです。
全体の業績がよくて、賞与水準が高ければ、評価によるメリハリを大きくすることができます。
公的資格を持っているものに関して、資格給などで毎月の給与に上乗せすると言う考えは、今は段々少なくなっています。
建設関係では残っていますが、それ以外の業種では廃止の方向です。
資格を持っていることではなく、資格を持って仕事をすることが求められており、仕事をすることについては、賃金が支払われています。
講習費用等の便宜を図っているのであれば、よい会社だと思いますよ。
調整給の処理
新しい賃金制度への移行に伴い調整給が発生します。この調整給はその後どう考えればいいでしょうか。
賃金制度の変更により、賃金が急に増えたり、下がったりするということは、好ましくありません。
したがって、調整給により移行前の賃金総額と新制度移行後の賃金総額とを同じにします。(調整給を付加する以外の方法もありますが)
問題は、この調整給をどうするかといことですが、調整給の処理については、社内で「公平とは何か」という観点でよく検討し、慎重に対応する必要があります。
・ 既得権益をどこまで認めるか。ずっと調整給をつけるのか、いずれ廃止するのか。
・ 調整給を発生させないために本人はどのような努力をすればよいのか。また、その可能性はあるのか。
・ 廃止の期限はどれくらいにするのか。
・ 徐々に減額するのか、一度の減額するのか。
・ 全額廃止するのか、一部残すのか?
金額にもよりますが、目安として、3~5年間で全額廃止するのがよいでしょう。
調整給が付く人は年配者が多い場合があるので、その場合は定年までそのまま調整給を残しておくという方法も考えられます。
ただここで注意したいのは、いつまでも、過去の既得権益を引きずっていると、新しい制度がうまく機能しなくなる恐れがあるということです。
青天井の賃金
管理職の賃金について、職能資格制度を基本に、成績の良い人は、プラス3万円~ゼロ円を加算していますが、その結果、青天 井で賃金が上がって行きます。
成果主義賃金制度を導入して、管理者のモチベーションを上げながら、これ以上の人件費高騰を抑えて行きたいのですが?何かいい方法は?
成果主義賃金制度を導入することが、管理職のモチベーションを上げることにつながるかどうかは別にして、成績ごとに上乗せしていいらっしゃるのであれば、それが良いと思います。
あとは、その成績の整合性をどのように高めるかという点と、上乗せした賃金は、「洗い替え方式」で運用するようにすることです。
成績がその年(前年)良かったのであれば、その年(翌年)だけ、その成績に応じた金額を上乗せするようにして、その次の年は一旦その分をゼロにした上で、翌年の成績でまた上乗せ額を決めるようにすればいいのではないでしょうか。
人件費高騰を抑えていきたいのであれば、積み上げ式の賃金体系を止めて、洗い替え式の賃金体系に替える(少なくても管理職は)、あとは、積み上げ式であっても各等級毎の上限金額(上限号俸)を決めておき、昇格しないと、それ以上は上がらない仕組みにする、(非管理職)などが考えられます。(いまの職能資格制度を大幅に変えないで前提で考えれば)
以上、よろしくお願いします。