賃金抑制の手段と考えている経営者
人事考課を賃金抑制のツールと考えている経営者。
基準やルールはどうであれ、人事考課を行って、処遇に連動するような仕組みを導入すれば、最後の点数を調整することにより合法的に賞与や昇給を抑えることが出来ると考えている。
人事考課は社員を成長させ、業績を上げるための仕組みである。賃金抑制の仕組みではない。
意欲を低下させる人事考課
新しく制度を導入するためには、かなりのエネルギー(人、金、時間など)が必要である。
せっかくエネルギーを使って人事考課を導入したのに、ルールも基準も明確でなく、「納得性のない評価」が行われ、その結果、「不信感」が増長され、働く人たちの意欲が低下してしまったら、全く意味のないことになってしまう。
人事考課を行うなら基準やルールを明確にしてしっかり行うこと、中途半端が一番いけない。
ほめ言葉の効果
「ほめられると伸びる」とうことを実証した実験がある。
アメリカの心理学者E.B.ハーロックが、小学生5年生に1日15分連続5日間加算作業をさせ、次のような結果を得た。
・ 賞賛グループ(成績の良し悪しにかかわらずほめられた生徒のグループ)は5日間、成績が向上した。
・ 叱責グループ(成績の良し悪しにかかわらず叱責され、非難された生徒のグループ)は3日間成績が向上したが、後は停滞した。
・ 無視グループ(賞賛も叱責も与えられない生徒のグループ)は、成績がほとんど向上しなかった。
ただし、児童心理学者のハイム・G・ジノットは「子供はほめられすぎると負担を感じ、その賞賛に値しないことが露呈することを恐れ、不安になる」と言っているので、注意が必要である。ただ、ほめればいいというものではない。
そのハイム・G・ジノットは「親は人格をほめるのではなく、達成したことをほめるべきである」とも述べている。なるほど。
メール返信の効果
仕事でメールを使うことが、すごく多くなってきている。そのメールのやり取りをしている時、感じることがある。
コチラから、メールで連絡した時、必ずメールを受け取ったというメールをすぐに返信してくれる人と、受け取ったままの連絡がない人がいるということである。
用件については、後日であっても、メールを確かに受け取ったという連絡があるとこちらも安心する。連絡がないと心配になって、電話で確認したりするが、そうすると平然と「届いてます」と返答がくる。
私が心配性なのかなという気もするが、冷静に思い出してみると、連絡をいつもくれる人はやっぱり役職が上であったり、仕事ができる人に多い。
やっぱりクイックレスポンスは大事だと思う。
職務満足の効果
V.H.ヴルームの「仕事とモチベーション」によると、アンケート調査の結果
・ 職務満足と離職は一貫して負の関係がある。
・ 職務満足と欠勤はやや一貫性を欠くが負の関係がある。
・ 職務満足と職務業績の間には、単純な関係は存在しない。
という結論を出している。
即ち、満足していないと退職や欠勤が発生するが、満足しているからといって、業績が上がるものではない
ということである。
そういえば、ハーズバーグの動機付け衛生理論でも同じようなことをいっていたような気がする。
人事考課の必要性
色々な考え方があるだろうが、私は次のように考える。人事考課は必要である。人材の活用と育成のために必要である。しかし、人事考課を直接的に金銭に連動することは好ましくない。
人事考課の結果を賃金(昇給)や賞与などと直接的に大きく連動させると、「モチベーションが下がる。」「職場風土が悪くなる。」「会社への信頼感(将来への安心感)がなくなる。」ことになってしまう。
人事考課で業績を上げるというと、「金銭をエサにやる気を出させる」とイメージする場合があるが、そういうことではない。「成果の出る仕事の進め方を見つけて指導する」また、「それを考課基準に入れることによって実行するように仕向ける」そして、その結果として業績を上げるということである。
「期待像を明確にした上で、育成する、改善する」また、「より成果が出るように仕事の与え方を考える」ための人事考課は必要であるが、「報酬決定の人事考課は必要ない」と考える。
まして、報酬決定のための個人の能力や成果の評価制度を作るとなると大変な労力が必要となるであろう(それでもできるかどうかわからない)、さらに、それを通常の仕事をしながら運用するとなる大変な負担となって、逆に成果が上がらなくなってしまうだろう。
私は報酬決定と人事考課を切り離して考えることをお勧めする。
すぐ修正したくなる人事担当
点数の分布が偏るとすぐ修正したくなる人事担当がいる。
人事考課の導入当初、説明会などで「人事考課は育成のために行う」「絶対考課で行う」と言っておきながら、いざ評価結果がまとまると「点数が偏っている」「あそこの部署は甘い」などと言って、処遇のために無理やり点数を修正して、自分たちの思惑にあった分布に修正してしまう人事担当。
日頃の仕事ぶりを見ていない人事担当が、自分たちの思惑で修正してしまうことが一番の問題と言える。出た結果を修正するのではなく、事前に正しく評価できるようにルールや基準を明確にし、教育することが人事担当の役目である。
人事制度の作成で最初にすること
今年中に人事評価制度を作成しないとならないのですが、自社で作成するとして、シンプルで皆が納得するような制度を作るには、何と何をしたらいいでしょうか。
評価制度と賃金制度との関連付けも、どのように考えたらいいのでしょうか。
資料を見ても、総論は書いてあるのですが、具体的にどうしたらいいのかがわかりません。
ご教示いただければ幸いです。
人事評価制度を作成されるということでが、簡単に考えるといいと思います。
1.賃金制度の整備
まず、賃金制度の整備、あるいは、当社の考えの明確化が必要でしょう。何によって賃金が決まるのかを明確にする必要があります。年齢なのか、勤続なのか、能力なのか、職務内容なのか、成果なのか、・・・ あるいはそれら複数の合計なのか?
もし、年齢で決まるのであれば、何歳はいくら、もし、勤続が必要であれば、勤続何年でいくら、もし、能力で決まるのであれば、どのような能力があればいくら という風に、1対1の対応で金額が決まるように考えます。
それらを勘案して、総合的にいくらというのはあまりよくありません。
2.評価制度
賃金決定要素が決まったら、その測定方法を考えます。年齢や勤続は明確に測定できますが、能力や成果はすぐには測定できません。
当社で求める能力はどのようなものであり、どう測定するのか当社で言う成果とは何であり、どう測定するのかを考えます。測定方法がないのに、「能力給だ」「成果給だ」といっても、意味ありません。そうなると、その賃金制度にあった評価制度が必要になります。誰が何を評価するのか、その基準は何かを決める必要が出てきます。
成果向上型人事制度の作り方(HP版) で、詳しく説明しておりますので、参考にしてください。
「人事制度(特に賃金制度)を作る、変える」という事は相当のエネルギーを必要とします。それ相応の覚悟を持って取り組む必要があります。 がんばってください。
3.私の意見
能力主義や成果主義のように、能力や成果で決まる賃金制度は、評価がうまく行かなければ機能しません。評価に依存する賃金制度になってしまします。
評価によって賃金を決めるという考え方ですと、評価の整合性が大きく求められ、そのための基準作りや訓練が必要です。それでもなかなかうまく行かないのが実情です。
評価に依存しない賃金にした方がよいと思います。職務や役割によって賃金が決まるという考え方です。職務価値や役割の大きさを決めておき、その職務や役割に対して賃金を支払う考え方です。これですと評価は関係しません。
(もちろん誰にどの職務を与えるかは、これまでの能力や成果などの評価によりますが)
誰であろうとその職務を担当する以上は、その職務に見合った賃金を支払うという考えです。
与えた職務に対してしっかり行ったかどうかは、成果や行動などで評価しますが、これは賃金でなくて、「職務の与え方」や「昇格・昇進」等で反映するようにするのがよいと思います。
以上、参考にしてください。
上司たるもの親も同然だと思っている上司
人事考課は仕事上の行動や成果・能力を評価することなのに、仕事に関係ない私生活のことまで評価に反映してしまう上司。
「飲み屋に借金がある」とか「夜遊びが過ぎる」とか、仕事に関係ないことまで評価に反映する。中には、「今度結婚したから評価を上げよう」とか「子供が出来たからご祝儀に評価を甘くする」というケースもある。
人事考課を導入すると、何でもかんでも人事考課と結び付けて考える管理者もいる。全く人事考課の目的や意味がわかっていないと言える。人事考課は単に昇給や賞与を決める点数で付けではない。
「出る」15か条
学校に貼ってあるそうです。娘が教えてくれました。
「出る」 15か条
一、 食べ過ぎると腹が出る。
二、 飲みすぎると本音が出る。
三、 好物には自然と手が出る。
四、 見栄を張ると足が出る。
五、 困った時は顔に出る。
六、 議論が白熱すると自我が出る。
七、 絶好調だと欲が出る。
八、 人が幸せだとねたみが出る。
九、 喜びも悲しみも涙が出る。
十、 物忘れが続くと口惜しさが出る。
十一、 思い通りに行かないと歯痒さが出る。
十二、 不幸が続くと弱気が出る。
十三、 うんと苦しむと知恵が出る。
十四、 少し苦しむと愚痴が出る。
十五、 明日を信じれば希望が出る。
特に13・14は、ホントに「その通り」だと思う。