第一次世界大戦の戦争責任をドイツの軍国主義とするのも、第二次世界大戦がファシズムによってもたらされたとするのも、
戦勝国にとって都合の良くつくられた『物語』に過ぎません。

ファシズムイタリアドイツ などで政権を獲得したのも、大衆がそれを支持したからであり、
その点に於いては、枢軸国の意思決定に関わるプロセスもまた、手続き上は 民主主義 だったと言えなくもありません。

そもそも、2度の世界大戦が起きた原因が、世界の富を英米をはじめとする 帝国主義諸国 が排他的に独占してきたことが原因であることは以前にも説明したとおり であり、
彼らが行ってきた 侵略行為植民地 からの 無理想な 経済的搾取 もまた、彼らの 民主主義 の理屈によって承認され、御墨付が与えられてきたわけであります。

少なくとも、戦後日本に於いて信仰されている『自由主義・民主主義が平和的である』というロジックは成立しないのです。

元来、それらは非常に 排他的かつ好戦的なイデオロギー であるのは間違いなく、
その信奉者は、あたかも 民主主義の価値観を伝道すれば、世界が平和になる かのように声高高に主張しておりますが、実際に それが歴史的に証明されたことはありません。


身近な例として、日韓関係は 韓国が民主化してからの方が軍事政権だった頃よりも ややこしくなっているように、民主主義国家同士であっても近隣諸国との間に抱えている外交問題から開放されるなんてことはなく、
逆に、政権が大衆の支持を繋ぎ止めたいがために、ポピュリズム に迎合し、それが新たな問題を引き起こすことすらあるわけです。

国際法や条約といった「国家間の約束事」よりも民意の方が重大事 というならば、いつまでたっても紛争が解決することはありませんよね?

民主主義が至上価値たり得ない理由は、そこにあります。

敗戦の屈辱から目を背けたいがために、進駐軍によってもたらされた価値観に迎合する『反省』では、
戦争が起きる原因について考察されることはなく、日本国民として何の教訓も得ることはできませんでした。

そもそも、民主主義が平和をもたらすという前提そのものが間違い であり、欺瞞以外のなにものでもないからです。

米国の庇護の下で経済活動のみに専念していた日本 は、表面だけ見れば平和的であり、物資的にも豊かではありましたが、
国内の米軍基地からは爆撃機が飛び立って、アメリカの戦争に積極的に協力してきた欺瞞に満ちた平和でありました。


米国が偏見に基づいて『非民主的な独裁体制』とみなした国に軍事介入し、彼らから誇りを奪い、彼らの財産を破壊し、新たに欧米的な価値観を押し付ける。

そして、結局失敗して手が付けられなくなる。

過去の日本における成功体験がアメリカにそうさせているのだとすれば、
私は日本人として、日本が未だに 先の大戦にに負けたまま であることを 非常に恥ずかしく思うのです。






この文章を書いた当時の韓国は 文在寅政権 でありました。


泳三 以降の 韓国の 文民政権 は、国内問題の矛盾を「反日ポピュリズム」で溜飲を下げる傾向にあり、

日韓関係 は、民意に左右されずに合理的な政権運営を行ってきた 朴正煕盧泰愚 迄の 軍事政権 だった頃よりも複雑化するようになりました。


亡命先の日本で KCIA(※大韓民国中央情報部) の工作員に拉致された際に、日本政府に命を救われた経験のある 金大中 はともかく、

盧武鉉文在寅 のような 親北左派 の大統領は、日本に対して対決的な姿勢を崩そうとしませんでした。


これは、国民大衆の「民意」に左右される民主主義の欠点 であると言えますし、

近代的な 主権国家 として国際社会に参入した経験が浅く、民主主義が発展途上にある地域 に於いては、民主化は、期待どおりの成果を上げられるとは限らないのです。



 


イスラエル と ハマス との 大規模衝突 や、アフガニスタン での タリバン政権 の復権。


「ジャスミン革命」「アラブの春」と呼ばれる政変が起きた チュニジア や リビア も、フセイン政権 が崩壊した後の イラク と同様に、独裁者 によって押さえ付けられていた イスラム原理主義 が力を盛り返して政情が不安定になり、


エジプト では、ムバラク 退陣後に ムスリム同胞団 出身の ムルシー大統領 による失政が続き、エジプト国民の不満を背景に シーシ将軍 がムルシー大統領を 弾劾(※事実上のクーデター) し、現在まで大統領の座に就いています。


中近東 で起こった「政変」を、メディアは「民主化」「SNS革命」と称賛したものの、

実際には、独裁政権 の 治安機関 によって インターネット が監視され、大衆の アクセス も規制されていた地域で Facebook などの SNS が果たした役割は限定的でありました。


カタール の 衛星テレビ局「アルジャジーラ」による影響が強く、

カタール政府 は、2012年時点で タリバン の 対外連絡事務所 を設置したり、ムスリム同胞団 などの イスラム主義 組織を支援しており、トルコイラン との関係からも 湾岸地域 の アラブ諸国 のなかで外交的に孤立しがちな国であります。




漫画家・思想家 の 小林よしのり氏 は、日本の民主主義を「学級民主主義」と揶揄していますが、
予てより、戦後民主主義 に対して冷めた見方をしてきた私にとっては、得心のいく表現でありました。

「民主主義」を普遍的かつ至上の価値観であると信仰する左翼 に感じ続けてきた欺瞞。

西欧の 啓蒙思想 をつまみ食いした勘違いをひけらかして、小学校の学級委員長レベルの事しか言わないので、まるで危機感がないのです。

随分と、呑気なものですね(笑)。