しばりやトーマスの斜陽産業・続 -30ページ目

規模のデカい同窓会『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』

 スーパー戦隊28作目『特捜戦隊デカレンジャー』の放送20周年を記念したVシネクスト作品。この手の周年作品は約1時間の上映時間で公開規模が限定、後に販売されるソフトリリースがメイン。最近の戦隊シリーズやライダー映画は興行成績に苦しみ、番外編的なこの『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』も興行ベストテンに入っていない。

 それでもつくられる理由は演者側からの持ち込み企画だから。

 

 制作の大きなきっかけとなったのはキャストの二人、デカブレイク役の吉田友一とデカピンク役の菊地美香が高知県に移住しており、町おこしの一環としてロケを誘致、デカレンジャーのプロデューサーだった塚田英明が参加し、東映へのプレゼンが通った結果、実現。デカグリーン役の伊藤陽佑もアソシエイトプロデューサーとして参加することで元のキャストが集結。この手の企画は「同窓会」とか言われるが、規模のデカい同窓会ではある。

 

 同様の経緯を辿って制作された『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th Anniversary』もそうだが、この手の周年企画が完成するのは奇跡に近い。まず、役者が現役で、連絡が取れる関係であること。そして不祥事を起こしてないこと。噂では登場人物の一人が不祥事を起こしたことで台本も上がっていたのにお蔵入りになった作品があるという・・・

 

 ロケ誘致の話を聞いても映画は有能なプロデューサーがいないと作られないということがよくわかる。高知県でのロケを生かした物語の展開(少々強引にタイアップ協力が紹介されるプロダクト・プレイスメントには苦笑するが)もよく、20年という長期間を経て壊れないキャラクター同士の関係や新世代のキャラクターの継承にもつながる奥行のある展開は30周年もやれそうな雰囲気を感じさせる。

 

 ホント、不祥事ダメ絶対

 

 

 

 

 

 

 

デカいマグカップ『ライド・オン』

 ジャッキー・チェン50周年記念の『ライド・オン』は香港映画界伝説のスタントマンをジャッキーが演じる映画。

 ルオ(ジャッキー)は香港映画界にその名をとどろかせるスタントマン。怪我を理由に引退したため今はエキストラや撮影所でアルバイトで食いつなぎ、愛馬のチートンともにひっそりと暮らしている。

 そんなルオの元に馬の博物館を運営する大場主のホーがルオの友人でありチートンの持ち主であったワン社長との債務トラブルでチートンが差し押さえられることに。ホーからは大金を払ってもよいので馬を譲ってくれと持ち掛けられるが、家族同然の愛馬を手放したくない。しかし借金取りに追われるほど苦しい生活を送っているルオは裁判を続ける金もなく困り果てたルオは長い間不仲で離ればなれになっている娘のシャオバオ(リウ・ハオツン)が大学の法学部に通っていることを思い出し、頼み込むが仕事一筋で家庭を顧みず、母親の葬儀にすら遅れてきた父を未だに許しておらず久しぶりの再会も喧嘩別れに。だが弟子からの依頼で現場に復帰する姿を見たシャオバオは交際相手の若き弁護士ルーを紹介する。

 

 劇中に「ルオがかつてやった仕事」としてジャッキー作品の『プロジェクトA』『ポリス・ストーリー』『サンダーアーム/龍虎兄弟』『レッドブロンクス』果ては『デッドヒート』の映像がインサートされ、ジャッキーファン感涙に咽び泣く。半分自伝みたいなもんだね。

「昔はこんなにすごかったんだけど、今ではただのジジイさ」

 と言いながら全盛期とまではいかなくても、それらに匹敵する大アクションを披露する70歳のジャッキー。こりゃすげえ!さらに愛馬チートンがジャッキーに負けず劣らずの立ち回りを披露するので驚き。映画見る前はもう年であまり動けないジャッキーの負担を減らすために馬を使ってるのかと思ったが、こっちのほうが大変だよ。

 香港映画界のスター、ジャッキーに敬意を表する映画なので周りを固める役者はジャッキーと共演経験のあるユー・ロングァンやアンディ・ウォン、ジャッキー映画を数多く手がけたスタンリー・トン監督がゲスト出演して花を添える。

 さらにジャッキーに代わる中国映画界きってのアクションスター、ウー・ジンが弟子役としてキャストされていたり、娘役は中国映画界きっての若手女優、リウ・ハオツン。彼女はチャン・イーモウ監督作でデビューした次世代のスターだ。一部ではイーモウ監督のお気に入りのイーモウ・ガールと言われていて嫌われてるらしいけど(要するにチャン・ツィイーと同じってこと)ヒロインとしてはとにかく可愛いし最高だ。

 

 で、この映画「ジャッキーと愛馬の友情モノ」「父と娘が和解するまでの家族愛」「老いたスタントマンがボロボロの体をおして再び命がけの大アクションに挑戦する復活モノ」「借金取りを立ち直らせようとする再生の物語」とテーマが多すぎる上に全部中途半端になっていて散漫な印象。馬を結局取られちゃう話なんていらなかったんじゃない?

 

 貧乏暮らしをしているんだというジャッキーが木造とはいえ結構デカい家に住んでいて(そもそも馬に飼葉食わせてるし)、物凄くデカいマグカップでお茶を飲んでた。アメリカ人が使ってそうなやつ。本当に貧乏暮らしなの??

「肉体を酷使するアクションこそ本物なんだ!」といってCGを拒否するようなこと言うんだけど、明らかにCGの場面があったりしてどっちやねん!途中で観覧車の上から落下するアクションがあるんだけど、エンドロールのNG集でダブル使ってたのがわかったし。昔からやる気のない映画にはダブルつかってたけどさ!

 

 危険なシーンはCGを使う現在ではジャッキーのような命がけのアクションに挑む必要もない。「時代は変わった」ことはジャッキーにもわかっているんだ、という映画だったわ。それでも老体に鞭打ってアクションするジャッキーは素晴らしいし、一作限りで引退を撤回して再びジャッキーの吹き替えをやった石丸博也さんも素晴らしい。「何にだって限界があるんだ」ということを教えてくれた『ライド・オン』時代の終わりを見逃すな。

 

 

 

 

 

このイカれた世界にようこそ『マッドマックス:フュリオサ』

 マッドマックス・サーガの開幕となる『マッドマックス:フュリオサ』は前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚でありイモータン・ジョーが支配するシタデルの大隊長フュリオサが如何にしてこの立場につき、ジョーの妻たちを連れ脱走するまでの過程が描かれる。 

 

 少女時代のフュリオサは崩壊した世界の中でも実りのある「緑の地」に家族や仲間たちとひっそりと暮らしていたが、狂気のバイカー集団、バイカー・ホードに捕まってしまう。

 少女といってもマッドマックス世界なのでむくつけき男たちに捉われてメソメソ泣いたりはしない。隙を見て男たちをナイフで切りつけたり、バイクのホースを嚙み切って(!)動かなくしたりと後の大隊長の姿が想像できそうな野生味少女。その後ろを母親のメリー(チャーリー・フレイザー)がバイクで尾行する。娘を取り戻すのと同時に「緑の地」の所在を誰にも知られてはならないからだ。母ちゃんもライフルでバイカーをぶち殺す凄腕だ。

 

 一昼夜にわたる追跡の果てにフュリオサはバイカー・ホードの頭目ディメンタス(クリス・ヘムズワース)に面通しされる。緑の地を知った彼は略奪の準備を始めるが、夜に乗じて侵入したメリーがフュリオサを救出。

 メリーは追手から娘を助けるために「振り返らず走れ」と命じるが銃声を聞いて戻ってしまう。フュリオサが見たものはディメンタスにむごたらしく処刑される母の姿だった。

 ディメンタスの失われた息子の代わりにされたフュリオサはバイカー・ホードの一員にされる。旅に出た集団はシタデル(砦)を支配する悪漢イモータン・ジョー(ラッキー・ヒューム)に挑戦し、シタデルを渡すよう迫るがジョーの手駒である命知らずのウォー・ボーイズの「俺を見ろ!」特攻の前に撤退を余儀なくされるがジョーの支配地である石油精製所ガスタウンを狡猾な手段で手に入れる。ディメンタスはビジネスの取引としてフュリオサをジョーに引き渡すことになる。ジョーの元でフュリオサは工場で働く地位を手に入れ、母の仇ディメンタスへの復讐の機会をうかがうのだった。

 

 

 少女時代→ビジネスの取引につかわれる という前半の弱弱しい定番の「守られるヒロイン」の立場から一転、武器やら車両やらをつくる工場で働く地位を手に入れたフュリオサは男も顔負けの大活躍で燃料を運ぶウォー・タンクを乗り回し、襲撃者を容赦なくぶちのめす。傷つけられたところで屁でもねえと啖呵を切り、脱出するために片腕まで切り落とす!「戦う女」の勇ましさを目に焼き付けろといわんばかり。シャーリーズ・セロンに代わりフュリオサを演じたアニャ・テイラー・ジョイは今まで演じてきたイメージを覆す八面六臂の大活躍。

 彼女同様、これまでのイメージを覆すのがディメンタス役のクリス・ヘムズワースで、彼は出演する度に体をデカくしたり、激やせしたりしてきたが、今回はイカれたチンピラ集団のボスという知能指数の低そうな暴れん坊を好演。別にカリスマ性があるとかではなく、本当になんでボスになれたのかもよくわからない。ものすごくわかりやすそうな性格をしていて、最初は流れのジプシー集団を率いているからバイクに乗ってるが、ジョーのガスタウンやバレットファームを奪って地に腰を落ち着けると『ベン・ハー』みたいなチャリオットや、バカでかいモンスタートラックに乗って「俺は皇帝だ!」とかやるの。わかりやすい!

 

 対抗するイモータン・ジョーも前作では「荒野のカリスマ」ぶっていたが、今回はディメンタスの見え見えの作戦に平気で引っかかったりしてこいつら・・・タダのアホなのでは?と思わせる描写がいっぱい。ディメンタスは勢いでガスタウン、バレットファームと支配地を広げるけど、維持したり部下を統率する能力が欠けているので全部失ってるし(まだジョーの手下たちがすぐれているのがわかる)。

 

 全体的に崩壊した世界の男たちはバカばっかり!といった具合で、必然的にフュリオサのカッコよさが目立つように。そもそもマッドマックス・サーガの主役はフュリオサだもんな。前作のタイトルの原題『Mad Max: Fury Road』「怒りの道」って意味だけどありゃ「フュリオサの道」とも読めるので本当の主人公はフュリオサなんだよな。だから男がダサくてバカばかりなのは仕方がない。

 クライマックスにジョーとディメンタスが全面戦争になる場面で車のないフュリオサに「まだこいつがあるぜ!」と出してくるのが三輪しかない四輪車で、こいつをどう使って突撃するんだ!?とワクワクしてたら移動するのに使っただけでジョーの息子スクロータスのクランキー・ブラックを奪いとって突撃していた。じゃああの車はなんだったんだよ!?そのクランキー・ブラックも銛を打ち出す装備があるのに最後まで使われなかった(なんで)

 

 イカれた男とイカれた車、そしてイカれた世界を二度も提供してくれたジョージ・ミラー御大、あんた最高にイカれてるぜ!

 

 

 

 

 

 

このシリーズに終わりはない『猿の惑星 キングダム』

 古典SF映画『猿の惑星』をリブートしたシリーズの最終作『猿の惑星: 聖戦記』(2017)から300年後の世界を舞台にした新作『猿の惑星 キングダム』は前作で人間と猿は壮絶な戦いの果てに互いを殺しあい、復讐に取り憑かれた猿たちのリーダー、シーザーは新天地にたどり着き息を引き取る。猿たちはシーザーの教えを語り継ぎ、人と争わず平和に暮らしていた。

 鷲をあやつるイーグル族のノアは集落に人間の女が入り込んでいるのを見つける。成人の儀式に必要な卵を割ってしまったため、一人集落を出るのだが、その間に獰猛なリーダー、プロキシマス・シーザーに率いられた猿の帝国軍に集落は襲われ、ノアの父は死に、母親や仲間たちは囚われの身となる。

 仲間を救う旅に出るノアは老オランウータンのルカと出会う。ルカは伝説のシーザーの遺産(レガシー)の知識を語り継いでいた。まだ猿と人が共存していた時代の教えを。

 人間の女は密にノアの後をつけており、ラカは女にノヴァという名前をつけ旅に同行させる。絶滅したとされた人間が群れをつくって生きていることを知るノアたちだが、その群れもプロキシマスの軍に襲われる。帝国の目的はノヴァを連れ去ること。彼女は退化して言葉も離せなくなった人間の中で数少ない言葉と知能を持っていた。

 プロキシマスは猿を労働力として使う自分の王国(猿の惑星ならぬ猿の帝国だ!)を建設しようとし、人間の英知が結集された宝物庫をこじあけようとしていた。

 

 プロキシマスはどこかにノヴァ(人間名はメイ)以外の人間たちが生きており、まだ猿インフルエンザによって退化していないと信じており、人間たちより先に宝物庫の英知を手に入れようとするが、メイはそれは人間のものであり、猿たちに渡すことはできないとしてノアたちとともに英知を封印しようとする。

 プロキシマスの側近に人間のトレヴェイサン(ウィリアム・H・メイシー)がおり、知識と人類の歴史をプロキシマスに教えていた。彼は人類の未来に絶望しており猿に従うことで生き延びており、人類の復興を目指すメイと対立する。そしてメイは計画を邪魔するトレヴェイサンを殺してしまう。猿は猿を殺さないが人間は人間を殺せる。高度な知能を持つ人間は同族を殺せるのだ。これが果たして猿より進化した生き物だといえるだろうか?

 第一作目『猿の惑星』で人間のタイラーが「人は猿より優れている。原爆だって使った」というと猿のザイアス博士は「技術的に優れていても精神的にはどうだろうか?」というやりとりを思い出さずにいられない。

 

 宝物庫は人類が戦争のために用意した兵器庫だった。そこでかつて猿たちが動物園で見世物にされていた絵本を目にするノア。メイはひとつのHDDを手に入れる。それは世界中に散らばっている人類の軍勢と交信するために必要なものだった。メイは爆弾を起動させプロキシマスの王国を大量の海水で崩壊させる。ノアは共存の可能性を探っていたがメイはそんなこと考えてなかった。ノアは父親の復讐を果たし(猿が猿を殺す)集落に帰るがメイとはわかりあえないまま別れる。共存は果たせないのか、新たな猿と人類の戦いが幕をあけるかのようなラストシーンは旧シリーズ、新三部作に匹敵する衝撃的な結末で、アメリカでも大ヒット中なのでこのまま新シリーズが開幕するだろう。

 

 人間は地球を滅ぼすほどの武器を持ち、未知のウィルス(まるでコロナ)によって退化させられながら、それでも戦うことがやめられない。

 猿はあらたな地球の支配者となるために同族を殺す。そうしないと人間以上の存在にはなれないから。『猿の惑星』シリーズが60年を経て何度もつくられるのは「人類という種の存続」に関するテーマで、いつ何時も古びないからだ。毎日どこかで戦争が起きて人が死に、「いつか人間は滅びるぞ!」と警鐘されてもやめない。100年経っても『猿の惑星』は作られてると思う。人間が滅びない限りは。

 

 

 

 

 

 

2024年6月告知

6月予定

 

6月8日(土)

『アイドル十戒 キングダム2』

場所:アワーズルーム

開演:19:00  料金:¥1500(1d別)

出演:竹内義和 しばりやトーマス

 

再スタートを切るアイドル考現学。実際はアイドルに捉われず雑多なネタをやってます。

 

6月9日(日)

『アニつるVol.29』

場所:なんば紅鶴

開演:13:00

料金:\1800(1Drink別)

原曲系アニソンDJイベント

 

 

6月13日(木)

『スーパーヒーロートーク』

場所:なんば紅鶴 

開場:21:15

料金:¥1500(1d別)

出演:にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 しばりやトーマス

 

ニチアサ系のイベントの報告会。

 

6月18日(火)

『旧シネマパラダイス』
会場:アワーズルーム 
開演:20:00  料金:¥500+1d別
解説:しばりやトーマス

カルトを研究する若人の会。

今月はTV放送がズタズタにカットされたSF映画。

 

6月27日(木)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30 ¥500+1d別

解説:しばりやトーマス

※終了後にYouTube収録アリ

 

深夜の映画番組みたいな大研究会。今月はオカルト密室殺人ミステリーを大研究。

 

6月29日(土)

『大阪おもしろマップ』

開場:なんば白鯨
開場 / 18:45 開演 / 19:00
料金 / 2000(D別)
出演 / 射導送水、縛りやトーマス、B・カシワギ