しばりやトーマスの斜陽産業・続 -2ページ目

2026年1月予定

1月予定

 

1/22(木)

『旧シネマパラダイス』

会場:アワーズルーム

開演:20:00 料金:500円+1D

解説:しばりやトーマス

 

カルトを研究する若人の会。正月なのでおなじみ名作アクション映画。何がはじまるんです?

 

1/27(火)

『スーパーヒーロートーク』

会場:怪獣シアター

開演:20:00 料金:1500+1D

出演:にしね・ザ・タイガー しばりやトーマス

 

東映・ニチアサヒーローについて語りすぎるトークライブ。

 

1/29(木)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30

料金:500円+1D

解説:しばりやトーマス

※終了後YouTuber配信アリ

 

深夜の映画番組みたいな研究会。年始は富三郎。

 

※アイドル十戒はお休みです

直進あるのみであります!!『WEAPONS/ウェポンズ』

WEAPONS映画ポスター、子供たちが闇へ消える

前作『バーバリアン』がスマッシュヒットしたことで注目されたザック・クレッガー監督の新作『WEAPONS/ウェポンズ』は前作同様、まったく先が読めないホラー映画だ。

 

 小学校で一クラス17人の生徒が突然いなくなる。子供たちは夜中の2時17分に一斉に闇の中に駆け出していく姿が自宅の防犯カメラに映っていた。教室にはただひとりアレックスという生徒だけが残っており担任のジャスティン先生(ジュリア・ガーナー)に疑いの目が向けられるが彼女は何も知らない。行方不明児童の家族からの非難にさらされたジャスティンは酒に溺れ、元恋人で今は既婚者の警官ポール(オールデン・エアエンライク)と不倫関係に。

 アレックスが何か知っているはずだとジャスティンは接触を試みるが「ついてこないで」と拒否される。アレックスの家の窓には新聞紙で目張りがされ、わずかなすき間からのぞき込むとアレックスの両親が押し黙って座り込んでいる。

 この家は異常だと感じたジャスティンは夜通し車の中でこっそりアルコールに浸りながら監視を続け、眠り込んでしまう。その間に家から出てきたアレックスの母親は裁ちばさみで眠っているジャスティンの髪の毛を一房切ってしまう。

 

 

『バーバリアン』同様に映画はまっすぐ進まない。あっちこっちに話が逸れ、延々と遠回りのような描写を続け観客をけむに巻き、最後にしっかりと着地するので圧倒される。『WEAPONS/ウェポンズ』もここから一人息子のマシューを探す父親アーチャー(ジョシュ・ブローリン)の視点になったかと思えば、ヤク中のホームレス、ジェームズ(オースティン・エイブラムス)の視点に切り替わり、ふらふらとさまよう。

 

 この作品、みんな何かに依存して苦しんでいる。ジャスティンは酒に依存し、ジェームズはヤクに溺れ、ポールは署長の娘と結婚しながら自分に自信がなく夫婦関係に苦しむ。アーチャーは息子マシューがいなくなったことで自分が仕事ばかりで家庭を顧みなかったせいではないかと自分で自分を苦しめている(だからジャスティンを責めることで癒しを得ようといている)水野晴郎先生風にいうと「病んだ社会アメリカ」の象徴だ。

 

 建設業者のアーチャーは防犯カメラに映っている子供たちが同じ方向に向かって突き進んでいることを突きとめる。だがその位置はわからない。怪しいと感じていたジャスティンが突然発狂した校長に襲われたところを救ったことで和解した二人は情報をすり合わせると子供たちはアレックスの家に向かっていたことがわかる。

 いよいよ真相編となるアレックスの視点からの話になるが、アレックスが体験したことはジャスティンら以上の地獄だ。家庭にも教室にも安らぎがないアレックスの地獄はアル中やヤク中の苦しみより辛い。すべての黒幕はアレックスの叔母グラディス(エイミー・マディガン)だとわかるのだが、このおばちゃんが映画の後半でこれまで感じた恐怖をすべてかっさらっていく大活躍。さらにクライマックスの衝撃はスクリーンに張り詰めた恐怖感を一掃する大爆笑シーン。僕も映画見ながら

 

「魁!男塾かよ!」

 

 と突っ込んでしまった。絶対笑わせようと思ってるよね。教官どのわしらには直進あるのみであります!

 

 これは『バーバリアン』のオチがあまりにネチネチしていて陰湿だったので監督が反省した結果「最後は笑わせよう」としたのかなーって・・・

 

映画のオチが載ってます

監督の前作

2025年12月予定

12月予定

 

12月11日(木)

『旧シネマパラダイス』

会場:アワーズルーム

開演:20:00 料金:500円+1D

解説:しばりやトーマス

 

カルトを研究する若人の会。南北境界線で事件勃発!

 

12月13日(土)

『アイドル十戒リバース其の8』

会場:アワーズルーム

開演:19:00 料金:1500円+1D

出演:竹内義和 しばりやトーマス

 

サイキックをやってた人と聞いてた人のアイドル談義。

 

12月14日(日)

『地下ニュースグランプリ2025』

会場:アワーズルーム

開演:14:00 料金:1000円+1D

出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ

 

2025年に起きたどうしようもない事件、ニュースの総決算。

本物の流行語大賞はこれや!

 

12月23日(火)

『スーパーヒーロートーク』

会場:アワーズルーム

開演:20:00 料金:1500+1D

出演:にしね・ザ・タイガー しばりやトーマス

 

東映・ニチアサヒーローについて語りすぎるトークライブ。年末記念大会。

 

 

12/27(土)
『大阪おもしろマップ2025事件簿 刑務所からの手紙』

会場:なんば白鯨
開場 / 14:40 開演 /15:00
料金 / ¥2000(D別)
出演 / B・カシワギ、射導送水、縛りやトーマス

激動の2025年をそれぞれが振り返る年末スペシャル。
世間も街も人生も沢山のいい事と悪い事があった。
そんな事件を振り返りながら、刑務所の中のメンバーから届いた手紙もお届けします。
なんとこの日は入場特典として刑務所からの彼の手紙のコピー付き!

予約はこちら
https://tiget.net/events/443921

配信はこちら
https://premier.twitcasting.tv/namba_hakugei/shopcart/406275

 

12月27日(土)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30

料金:500円+1D

解説:しばりやトーマス

※終了後YouTuber配信アリ

深夜の映画番組みたいな研究会。年末時代劇スペシャル。二大剣劇スタア激突!

違和感の向こう側『果てしなきスカーレット』

細田守監督『果てしなきスカーレット』ポスター

 細田守の最新作『果てしなきスカーレット』は中世デンマークの王アムレットの娘、スカーレットが陰謀にはめられて処刑された父の復讐を遂げようとするところから開幕する。

 

 父の仇は弟のクロ―ディアスで兄が周辺諸国との融和ばかりを求めることに我慢できなかったからだった。強い権力を持つ者を欲する王妃にもそそのかされ、弑殺して権力を手に入れたクロ―ディアスは戦争の準備をはじめる。

 スカーレットは日々剣の修練にのめり込み、、ある宴の夜にクロ―ディアスに眠り薬を飲ませ、首を討とうとするが逆に毒を盛られ意識を失う。目覚めたスカーレットは死人の国に迷い込んでいた。そこで出会った男、聖は遥か彼方の未来、日本から来た男だった。復讐などやめろといい看護師として傷ついた人々の治療に励む聖とともにスカーレットの旅は続く。やがてスカーレットの首を狙うクロ―ディアスの配下、コーネリウスやヴォルティマインドに襲われるも生き延びるスカーレットは彼らから聞くことが叶わなかった父の臨終の言葉が「許せ」であったと伝えられる。「許せ」とは何か?その真意を探るため、復讐を果たすためにスカーレットは高い山の頂上にある「果てしなき地」を目指す。

 

 という物語とキャラクター名を見ればわかるけどシェイクスピアの『ハムレット』を下敷きに主人公が地獄めぐりをするというダンテの『神曲』をミックスした作品だ。やたらと陰惨で血なまぐさく、救いようのあるようなないような展開はこれまでの細田守作品らしくなく、別の世界へと羽ばたこうとする決意が見られる。スカーレットの地を這い、泥にまみれ、はいつくばっても復讐を果たそうというキャラクターはアクションのキレの良さはあっても、旅を続ければ続ける程「この復讐に意味はあるのか?」という展開なので爽快感がなくこれまでの細田作品を見なれた人たちは強烈な違和感を覚えるだろう。

 違和感といえば劇中、唐突に挿入される「未来の渋谷でのダンスシーン」は違和感そのもので、なんで入れちゃったの?と首をかしげる。スカーレットの世界は血なまぐさい争いに充ちているけど、未来はこんな平和な時代なんだって言いたいのかもしれないけど、それが渋谷のダンスってのはないだろう。もっとうまく表現できなかったのかと思う。彼女をダンスに誘う聖もダンスが似合うキャラクターではない。またダンスそのものがカッコイイとかいうわけでもなく、そんなことしてる場合か!と訴えたくなる。細田本人が作詞した歌詞もなんだし、『さよならジュピター」でイルカが死んだ時にピーターが突然ギターをかなでて歌いだすぐらいの気恥ずかしさがある。

 そしてこの聖というキャラクターがまた、観客の共感を呼ばないキャラクターで、周りは死に満ち溢れているのに争いを辞めさせようとして(それもただ大声で「やめろ」というだけなの・・・)殴られるわ、「力なき正義は無力」という言葉をかみしめる。

 

 復讐の結末もなんだそれはと言いたくなる肩透かしで、不満が募るのもわかる。本作は細田作品にしては低興行で、果てしなき空席が目立っている劇場は「大コケ」の名にふさわしい。

 不振の原因として考えられるのは、ここ数年の細田作品は「ヒットしながらも感じる違和感」のせいで批判的な意見が目立ち始めており、その否定的な意見を持つ人が一気に噴出してしまったこと、細田作品の持つイメージが変わり過ぎたために従来のファンの気持ちが離れたことなど、また理解するためにシェイクスピアやダンテなど、これまで細田作品を見てきた一般のファンになじみのないタイトルをサブテキストとして読んでいないと理解しにくい構造などが考えられる。もうひとつは「復讐よりも許し合え」「争うよりも融和せよ」といった主張が今時の世間に受け入れにくいからだと思う。

 

 昨今のSNSを見ていたら異なる意見は多数で徹底的に否定して潰してやる!という流れだし、排外主義者が少しでも異なる者の存在自体をなくしたい!と願っているように、この映画について「果てしなきスカーレットは大コケ!と騒いで観てもいないのに決めつけてる人たち、まさにそれでこんな連中にはなりたくねえなあ。

 確かにこの映画、バランスにかけているし歪なんだけど主張そのものは同意できるし嫌いになれない。過去と未来が交錯する『時をかける少女』を思わせるストーリー展開や巨大な災害を竜で表現するなど過去作からのモチーフをちりばめつつ、新しい世界観を構築しようとした試みは悪くないと思う。ただ、しくじっただけなんだ・・・

 

 

 

 

暴風鋭くなって超展開『KILL 超覚醒』

映画『KILL 超覚醒』ポスター、男性と武装集団

 インドで盗賊のことを「ダコイト」というがその言葉には「義賊」という意味もある。カースト制の根付くインドではカースト上位の人間にカースト下位の者が叛逆するために金品を奪い貧しい者に分け与える「ダコイト」の物語がある。映画にもなった『女盗賊プーラン』は世界に名を轟かせた伝説のダコイトだ。

 経済的に発展し先進国の仲間入りを果たした現在のインドでは真の意味でのダコイト的なものはほとんどいなくなり、単に強盗する集団だけが事件を起こしているという。

 

 映画『KILL 超覚醒』はダコイトの流れを組む武装強盗団が寝台特急を襲い、そこに偶然乗りあわせた特殊部隊員の男が互いに復讐の刃をせめぎ合うゴア・バイオレンス。

 

インド国内の対テロ組織部隊NSGに所属するアムリット(これが映画デビュー作の若手俳優ラクシャ)は恋人のトゥリカ(ターニャ・マニクタラ)が父に決められた婚約者と結び付けられそうになっているというメッセージを受け取り、同じ部隊の相棒、ヴィレシュとともに彼女を迎えにいく。トゥリカの父親はインド運輸省のタクール大臣で、すでに豪華なパーティーも開かれた後で婚約破棄も難しいが、家族が自宅のあるニューデリーに戻ろうとする寝台特急の中でアムリットはトゥリカにプロポーズの指輪を贈るのだった。

 

 その寝台特急にはダコイトの長、悪辣なベニ・ブーシャンが率いる武装強盗団が乗り合わせており乗客の金品は強奪される。車内の携帯を使えなくするための妨害電波発生装置を使用し、数十人の強盗を前になすすべもない乗客だがアムリットとヴィレシュは反撃を試み、強盗団の一人ババンを殺害する。ババンの息子ラヴィとベニの息子で強盗団のリーダー格、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は復讐を誓いヴィレシュを人質に後部列車に立てこもる。

 トゥリカと再会したアムリットはタクール大臣からトゥリカの妹、アハナがトイレにいったまま戻ってこないと聞かされる。その頃アハナはファニらが立てこもる後部列車の座席で息をひそめていた。ファニからタクール大臣とその家族が乗りわせていることを知ったベニは大臣を生かしておけば逃げきれない、必ず復讐されると大臣一家の皆殺し、そして「家族」であるババンに手をかけたアムリットの殺害を命じる。

 たったひとりで戦いを挑むことになったアムリットはトゥリカを守り、相棒ヴィレシュを救い出して強盗団に打ち勝つことができるのか?

 

 

 寝台特急を舞台に悪党集団に戦いを挑む一人の男、というとセガールの『暴走特急』(1995)を思い起こさせる。アムリット役のラクシャのキレよりも重さを感じる拳、蹴りの一撃はセガールよりもハードだ。また、セガールのように「無敵のヒーロー」ではないので相手に痛めつけられるし、斬られれば血を流す。流血の量はセガールの100倍!

 

「ハリウッドリメイク決定」の惹句が踊っているがこのすさまじさをハリウッドで再現するのは難しいのでは?何しろ絶対にハリウッドではありえない展開が待っているから。

 アムリットが守ろうとするヒロインのトゥリカは途中でファニの手にかかって死んでしまう!時間的にもまだ中盤のあたりで!ハリウッドならヒロインが助からないなんてありえないだろう。

 目の前で恋人の死を見せつけられた主人公アムリットは「超覚醒」する。復讐の鬼と化したアムリットは強盗団の死体を列車に吊り下げてファニを挑発する。正義のヒーローのやることではない!

 ダコイトは義賊の血の流れを組む強盗団であると説明したが、数十人の強盗団は家族なので主人公に無残に殺された家族の遺体に縋りついて泣き喚く。

「オヤジが死んじまった!」「なんてむごいことしやがるんだ!」「人のやることじゃねえよ」「野郎、絶対に許さねえ。仇をとってやる!」

 正義の側ではない。悪役の強盗団のいうことがこれ!家族はなによりも大事に扱うのに、乗客は容赦なく殴り飛ばして時にはぶっ殺す!

 ハリウッドなら単なるザコがやられただけのシーンを情緒たっぷりに描く。これがインド映画だ!

 

主人公と悪役でこれだから単なる背景でしかない脇役も無茶苦茶で、やたらと強い悪党がでてきてアムリットらを苦しめるのだが、そいつの最期は息子を殺された母親(普通の乗客)に「あんたが息子をひどい目に!許さないよ!」と鉄の棒で頭を何度も叩き割られる!復讐がさらに復讐を呼ぶ因果応報のループ。これがインド映画だ!

 主人公が超覚醒の元暴れれば暴れるほど人の死が吹き荒れ、正義の裁きは全く意味をなさない。ヒロインの仇であるファニですら最後には

「お前は軍人(ラクシャー、防衛の意)なんかじゃねえ・・・鬼神(ラクシャーサ)だろ!」

 と漏らすぐらいの暴れっぷり、暴走特急。超覚醒ならぬ超展開の連続に息もできない。スピーディーな展開ながらインド映画特有のこってり感で104分というインド映画らしからぬタイトなランニングタイムながら3時間見たぐらいの緊張感がある。

 自身もダコイトの被害にあいかけた実話から構想したというニキル・ナゲシュ・バート監督の手腕、お見事。

 暴力映画の新時代を見た気分。