泳ぐ写真家龍之介 -44ページ目

「顔認証」

顔認証たばこ自販機:少年、顔しかめ購入

タバコ自販機に顔認証があったとは知りませんでした。
自販機の前で、少年が、しかめっ面をしたら、
「この人は、大人だ」と自販機が認証したのでしょうね。
ということは、「しかめっ面=大人」と定義されていたのでしょう。
結構大変な世の中を反映した認証定義だと、
大笑いしてしまいました。

逆に、

60歳の丸刈りの男性が、認証されずに、タバコを購入できなかったそうです。
きっとこの男性、いつも笑顔か笑っている顔なんでしょうね。
「丸刈り&笑顔=子ども」と定義されているのでしょう。
これも、大笑いしてしまいました。

認証を定義した技術者のセンスと、それが原因のハプニング。
久々に笑えた「事件」でした。



「リチウムイオン電池」

リチウムイオン電池と言えば、
携帯電話から、電気自動車まで、幅広く使われている
ハイテク電池の代表的な存在です。
デジカメも、リチウムイオン電池がなかったら、
こんなにコンパクトなボディで、
長時間使えるようにはならなかったでしょう。
このリチウムイオン電池の発明者は日本人です。
旭化成の吉野彰博士です。
旭化成の撮影を長年担当している私は、
過去に2度博士のポートレートを撮りました。
そこで、いろんな面白い話を聞く事ができました。

リチウムイオン電池には、用途によって様々な種類があるそうですが、
基礎特許というものがあって、
いかなるメーカーも、リチウムイオン電池の原理を採用した場合、
基礎特許料を旭化成に支払わないといけないそうです。
基礎特許料収入額を聞きましたが、オフレコなので書けませんが、
中堅企業の年間利益に相当する額でした。

この研究を、吉野博士は約20年前に始めたそうです。
旭化成の製品製造の過程で出てくる廃物を利用するための研究として
始まったそうです。
なかなか結果がでなかったそうですが、
会社は研究を続けさせてくれたと語っていました。

昔のIBMもそうですが、
どうなるか分からないような研究を、研究費を捻出しながら
続けさせる企業の鷹揚さというか、ビジョンの大きさ、時間の観念は、
最近、見られなくなってしましました。

発明の基本は、好奇心だと思います。
好奇心を追求することは、楽しいことです。
「楽しい」と感じながら無意識に熱中することを
仏教用語で三昧(ざんまい)と言いますが、
吉野博士の経験を聞くと、その三昧という言葉がぴったりです。
「努力」とか「苦悩」とか、そのようなイメージは全く感じられませんでした。
そもそも、努力とか、勉強という言葉は、
読んで字のごとく、
自分を追い込んで、好きでもない事や
無理な目標や、利益直結の研究を求めて行う、よくない心的態度だと
私は考えています。

研究はそれが実るのか、結果を見るまで分かりません。
しかし、「三昧」の中からこそ、
大輪の花が咲くのだと思います。


「自動目標追跡装置」

昆虫も、動物も生まれて来たときに、必ず、
3つの「自動目標追跡装置」が備わっています。
それは、
○生きるための食べ物を探すという目標
○生き残るための危険回避という目標(敵から身を守る)
○子孫を残すという目標
です。
これらは、親から教えられなくても、備わっているので
本能という都合の良い言葉で表現されています。
そもそもこれらの目標を求めること=生存ですから、
昆虫も動物も目標をもっていないと、機能しないということになります。

これは人間も同じだそうです。

人間は、動物と違って、目標の質や形が変わって来ましたが、
それでも、目標をもっていないと、肉体、精神ともに正常に機能しないと
研究者たちは、指摘しています。
私もまったくそのとおりだと思います。

多分、痴呆症やアルツハイマー病も、
そのような視点から説明できる部分があると思います。

ペット(犬や猫)のぼけや不自然な病気もそうでしょう。
仮に1匹だけで手厚く、マンションで飼われていると想定すると、
最初の3つの目標追跡からは、全く解放されて、
生きる「目標」が亡くなってしまうからです。
肉体に異常をきたすのは当然だと思います。

目標を求めて追跡しているという本能をもって
正常に生きるようになっているのですから、
そうでないと、いろんな不具合が出てくるのでしょう。
平和すぎて、安定しすぎると、
動物をはじめ人間にとって、大きな危機がやってくる
と言ってよいと思います。

ヨガや仏教の修行者は、
「心の平和」という国の住人ですが、
彼らには、仏に近づく、悟りを開くという
壮大な目標があります。

会社を定年まで勤め上げることが目標で、
それが達成された途端、
目標を設定できなくなって
痴呆症になった知人がいます。

目標設定というのは、
人生において、プライベート、ビジネスに関わらず、
持っているのが、本来の自然な状態なのです。