泳ぐ写真家龍之介 -107ページ目

「写真のクオリティが落ちている」

フィルムで納品していた時代は、雑誌のカメラマンは
みな、6×7とか4×5フィルム用の中大型カメラを使って仕事をしていた。
印刷されると、それは鮮やかなものだった。

現在はほぼ100%デジタル納品の時代になった。
かつての6×7とか4×5フィルムの画質に相当するデジカメを購入しようとすると
日本では300万円~500万円する。
それでも、まだフィルムの画質には及ばない。
500万のデジカメのメーカーでさえ
「4×5フィルムに迫る画質」なんて言っている有様だ。
しかし、冗談のような価格だ。
予備カメラまで購入するとポルシェが買える。
おまけに、
それを約3年以内に償却しないといけない。
フィルム時代は、どんな大型カメラでも100万出すと買えていた。
だから、ふつうに稼いでいたら
どんなフィルムカメラも買えたのだ。
それに酷使しても5年は使えた。

300万円~500万円するデジカメを買えるカメラマンは
ほんの少数だ。
けっこうな売り上げを定期的に出さないと購入できないだろう。
ざっと計算して、年の売り上げが3000万円は欲しいところだ。

普通のカメラマンが使っているニコンやキヤノンのハイエンドデジカメなんて
画質的には、フィルムの6×7にはるかにおよばない。
そんな画質のカメラで仕事をしないといけないので、
写真のクオリティはどんどん落ちてくる。

なんだか、変な世の中になったものだ。
利便性を追求してクオリティが落ちる。
何の世界でも、そんな感じがする。


「子供が泣く?」



「平成22(2010)年に開催される平城遷都1300年祭のマスコットキャラクターに対し、地元のデザイナーらでつくる市民グループが反発し、近く、独自キャラクターの公募に乗り出すことが11日、分かった。JR奈良駅前(奈良市)の商店街振興組合なども、新キャラクターへの“相乗り”をさっそく決定。異論を呼ぶオリジナルのマスコットに対し、ついに市民が「ノー」を突き付けた格好で、今後もこうした“包囲網”は広がりそうだ。(産経新聞)」

だそうだ。

それにしても、

この、平城遷都1300年祭のキャラは不気味だ。

子供が泣く!

というのも頷ける。


聞くところによると、奈良市は、

東京の広告代理店に発注(コンペ)したらしいが、

できあがったのがこれだ。


「奈良のシンボルである鹿と、仏様、親しみやすさ、

これらをうまく表現してください」

と担当者が頼んだのか頼まなかったのか知らないが、


それらのファクターを無理やり、安直に一緒にした

という感じがしてならない。


コンペだったので

他にもっとできのよいものがあったかもしれない。

それらを市民に公開して

選んでもらうというのも手だったろう。


これを発注した奈良市の担当者の

非常識と傲慢さが伝わってくるような騒動だ。









「ローライフレックス」

2眼レフカメラは、祖父と父と私をつなぐ一本の線だ。

祖父はローライコード、

父はリコーフレックス

私はローライフレックス。


今日、ふとローライフレックスを手にして、

ファインダーをのぞいてみた。


ファインダーを覗き

シャッターを巻き上げて

ピントを合わせて

空のシャッターを切ってみた。


デジタルと比べ、えらく手間がかかる。

昔はまったく、そうは感じなかったのだが、

デジタルになって、せっかちになったのだろう。


この手間暇がたまらない。

このテンポとリズムで撮った写真は

デジタルのそれとはまったく違うはずだ。


同じ被写体でも、撮った写真は違うものになると思う。

それが写真の不思議なところだ。

デジタルはとにかくすべてに軽い

便利だけど。