非日常的日常ブログ

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日々過ごしていく中であった出来事や、なかった出来事、夢で見た出来事を淡々と綴ったり、綴らなかったりしていきます。

本日某所で秘密のポーカーが開催されました。

備忘録ということで、その記録を残しておきたいと思います。
秘密のポーカーである為、参加者の氏名はすべて仮名となっています。
ここでは書けないことも多々あるので、理解が難しい箇所があるかもしれませんが、構わず進めていきます。



参加者は以下の10名
 
カッパドキア千夏(蟹)
コロンビア春陽(水瓶)
ロシアン紗知(蠍)
マレーシア義経(射手)
ルーマニア優香(水瓶)
リオデジャネイロ朝陽(山羊)
ヨーロピアン亜梨須(牡羊)
ムー太郎(獅子)
エチオピア瑠美(天秤)
ンゴロンゴロ誉(山羊)




第1戦
                 
不参加 エチオピア瑠美
     
勝者 ヨーロピアン亜梨須(牡羊) ツーペア Q.5



第2戦
     
不参加 エチオピア瑠美
      
勝者 ルーマニア優香(水瓶) 2ペア 6.2 



第3

     
不参加 エチオピア瑠美
     
勝者 ムー太郎(獅子) フルハウス 8.J
勝者 コロンビア春陽(水瓶) フルハウス 8.J
(同ハンドによる勝利でドロー)



第4戦
     
ムー太郎 オールイン
     
勝者 ムー太郎(獅子) オールダウン(ストレート J.10.9.8.7)



第5戦
     
勝者 ムー太郎(獅子) 2ペア A.Q



第6戦
      
手札2枚を自分では見ず、他のプレーヤーに公開
     
ディーラー てのひらを太陽に(小夏/ひとみ/レイナ) 86.095 ハイカード
     
勝者 エチオピア瑠美(天秤) フルハウス A.Q チャンスタイム+100



第7戦
     
3枚配られたカードを見ずに2枚を手札に残し、1枚を場に戻してオープン
    
マレーシア義経 オールイン
     
勝者 マレーシア義経(射手) オールダウン



第8戦
      
手札を配られた後、最大2枚まで交換
     
カッパドキア千夏 オールイン
コロンビア春陽 オールイン
     
勝者 コロンビア春陽(水瓶) ツーペア A.7



第9戦
     
場札を2組作る
      
不参加 カッパドキア千夏
     
リオデジャネイロ朝陽 オールイン
     
カッパドキア小夏(蟹) ちょうちょ(童謡・唱歌) 91.667 ワンペア
リヴァイ カッパドキア千夏 1回目 +500
     
勝者 リオデジャネイロ朝陽(山羊) オールダウン



第10戦
     
場札を2組作る
     
不参加 ンゴロンゴロ誉
     
ンゴロンゴロ誉(山羊) 勇気100%(光GENJI) 92.329 ツーペア
リヴァイ ンゴロンゴロ誉 1回目 +1000
     
勝者 カッパドキア千夏(蟹) オールダウン チャンスタイム+1000



第11戦
      
3枚配られたカードを見ずに2枚を手札に残し、1枚を場に戻してオープン
     
勝者 ルーマニア優香(水瓶) オールダウン



第12戦
     
手札2枚を自分で引く
     
不参加 ヨーロピアン亜梨須
     
勝者 ルーマニア優香(水瓶) スリーカード 3



第13戦
     
場札の最初の3枚のうち1枚を伏せて、最終ベット後にオープン
     
不参加 ヨーロピアン亜梨須
     
エチオピア瑠美 オールイン
      
勝者 ルーマニア優香(水瓶) ワンペア 2



(お茶タイム)



第14戦
     
場札を5枚すべて公開後、手札を最大2枚まで交換し、その後ベット
      
不参加 ヨーロピアン亜梨須
不参加 エチオピア瑠美
      
エチオピア瑠美(天秤) キラキラぼし(童謡・唱歌) 76.910 ハイカード
リヴァイ エチオピア瑠美 1回目 +100
     
勝者 ルーマニア優香(水瓶) オールダウン(フルハウス A.Q) チャンスタイム+100



第15戦
      
手札2枚を自分では見ず、他のプレーヤーに公開
     
ヨーロピアン亜梨須 オールイン
     
勝者 ンゴロンゴロ誉(山羊) ツーペア K.8



第16戦
     
手札を配られた後、最大2枚まで交換
      
不参加 ヨーロピアン亜梨須
     
リオデジャネイロ朝陽 オールイン
     
ヨーロピアン亜梨須(牡羊) ズルい女(シャ乱Q) 92.691 ワンペア
リヴァイ ヨーロピアン亜梨須 1回目 +500
     
勝者 エチオピア瑠美(天秤) フルハウス J.K



第17戦
     
3枚配られたカードから2枚を手札に残し、1枚を場に戻してオープン
     
不参加 リオデジャネイロ朝陽
     
ロシアン紗知 オールイン
     
リオデジャネイロ朝陽(山羊) 地上の星(中島みゆき) 88.006 ツーペア
リヴァイ リオデジャネイロ朝陽 1回目 +1000
     
勝者 コロンビア春陽(水瓶) フルハウス 8.K



(最終リヴァイ)
カッパドキア千夏 x1
コロンビア春陽 x2
ロシアン紗知 x2
マレーシア義経 x2
ルーマニア優香 x2
リオデジャネイロ朝陽 x1
ヨーロピアン亜梨須 x1
ムー太郎 x2
エチオピア瑠美 x1
ンゴロンゴロ誉 x1



第18戦
     
(手札2枚を自分で引く)
手札を配られた後、最大2枚まで交換
     
マレーシア義経 オールイン
     
ディーラー アタックNo.1(大杉久美子) 90.270 ワンペア
     
勝者 コロンビア春陽(水瓶) フルハウス 8.5 チャンスタイム+500


マレーシア義経 破産 



第19戦
     
(手札2枚を自分で引く)
手札2枚のうち1枚をオープン
     
不参加 マレーシア義経
     
マレーシア義経(射手) 君が代(日本国国歌) 85.789 ワンペア
敗者復活 マレーシア義経 +500
     
勝者 ヨーロピアン亜梨須(牡羊) オールダウン(ツーペア J.10)



第20戦
     
手札を配られた後、最大2枚まで交換
      
ヨーロピアン亜梨須 オールイン
エチオピア瑠美 オールイン
     
勝者 エチオピア瑠美(天秤) フラッシュ クラブ



第21戦
     
(手札2枚を自分で引く)
3枚配られたカードを見ずに2枚を手札に残し、1枚を場に戻してオープン
場札を5枚すべて公開後、手札を最大2枚まで交換し、その後ベット
     

マレーシア義経 オールイン

ヨーロピアン亜梨須 オールイン
     
ディーラー アパッチ野球軍(林恵々子) 88.735 ワンペア
     
勝者 ヨーロピアン亜梨須(牡羊) スリーカード A チャンスタイム+500
(勝者の賭けチップが少なかった為、2位もチップ獲得)
2位 ロシアン紗知(蠍) ツーペア A.K





総合順位
     
優勝  9000  コロンビア春陽(水瓶) 21戦4勝(フルハウス・ツーペア・フルハウス・フルハウス) 2連勝
     
第2位  6850  ルーマニア優香(水瓶) 21戦5勝(ツーペア・オールダウン・スリーカード・ワンペア・オールダウン) 4連勝
     
第3位  5625  エチオピア瑠美(天秤) 17戦3勝(フルハウス・フルハウス・フラッシュ)
     
第4位  4375  ヨーロピアン亜梨須(牡羊) 17戦3勝(ツーペア・オールダウン・スリーカード)
     
第5位  2550  ロシアン紗知(蠍) 21戦0勝
     
第6位  2325  ンゴロンゴロ誉(山羊) 20戦1勝(ツーペア)
     
第7位  2100  リオデジャネイロ朝陽(山羊) 20戦1勝(オールダウン)
     
第8位  1525  カッパドキア千夏(蟹) 20戦1勝(オールダウン)
     
第9位  1450  ムー太郎(獅子) 21戦3勝(フルハウス・オールダウン・ツーペア) 3連勝
     
第10位       0  マレーシア義経(射手) 20戦1勝(オールダウン)
      



今日は気まぐれに「1962年2月5日」生まれの人のホロスコープを出してみました。

出生時刻は便宜上、お昼の12時に設定しています。

するとですね…、出てきたホロスコープを見て、思わず目を疑いました。

なんと太陽から土星までの主要な7天体(太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星)がすべて水瓶座に集中していたのです。


これ、占星術をご存知の方ならその凄まじさが分かるかと思います。

1つのサインに3つ以上の天体が集まることを「オーバーロード」と呼びますが、個人+社会天体7つが全て同じサイン、しかも水瓶座に集まるというのは本当に珍しい、かなり強烈な配置と言えます。


まさに水瓶座のエネルギーがギュッと凝縮されたようなホロスコープ。
この日に生まれた方は、良くも悪くも(?)非常に個性的で、常識に囚われない、独自の価値観を持った方が多いのかもしれませんね。

改革精神にあふれていたり、博愛精神が強かったり、クールで論理的な思考の持ち主だったり……と色々想像が膨らみますが、詳しい解釈は専門家にお任せします(笑)


ちなみに1962年2月5日生まれの方は今年で63歳になられていますね。
有名人だと、お笑いコンビ「ピンクの電話」の竹内都子さんがこの日がお誕生日だそうです。

もしホロスコープを読める方がいらっしゃいましたら、ぜひこの配置を読み解いてみてください😊

どんな解釈になるのか、とても興味深いものがあります。

すみよは3歳の女の子。

彼女はアニメーションの世界に住んでいる。

そこはあたかも昭和の昔ながらの街並みが広がる不思議な場所。

石畳の道路にぽつんと立つポスト。

どこか懐かしい雰囲気の建物たち。

日差しが柔らかく、風に揺れる木々がまるで生き物のように息づいている。


ある日すみよはひとりで外へ出かけた。

好奇心旺盛な彼女は色とりどりのアニメの世界で新しい冒険を探しに歩き始める。

通りには古びたバスが走っている。

通りの一角にある小さなお花畑には、そこかしこにマーガレットの花が咲いていた。

その花々はまるで小さな太陽のように輝き、すみよの目を引いた。


小さな手でそっと一輪のマーガレットを摘むと、ふと遠くで低い機械音が響いた。

すみよは驚いて空を見上げる。

そこには道路沿いに佇む巨大なミサイルが、まるでロケットのように堂々とそびえていた。

夢と現実が入り混じるこの街でミサイルはただの模型かと思われたが、今そのスイッチがONになったらしい。


「ぴゅーん!」とミサイルは空へ向かって放たれ、空一面に光の筋を描く。

すみよは一瞬目を見開き、そして不思議な笑みを浮かべた。

まるで冒険の始まりを告げる合図のように感じられたのだ。

恐怖よりも好奇心と興奮が彼女の心を満たしていた。


ミサイルが消えた後も街はいつも通りの昭和の温もりを保っていた。

ポストに手紙を書きたくなるような、そんな懐かしい日常。

しかしその日、すみよはただの花摘みが予測不可能な奇跡を引き起こすことを学んだ。

アニメーションの世界で何が起こるかは分からない。

小さな花びらが時に巨大な冒険の扉を開くのだと、すみよは心に刻んだ。


そして彼女はまた穏やかな笑顔を浮かべ、街角に消えていくミサイルの軌跡を見送りながら、次の冒険へと足を踏み出していった。




(オープニングテーマ)花びらひらり、空にロケット
(挿入歌)すみよの冒険のうた
(挿入歌)小さな花びらの冒険
(エンディングテーマ)夢見町のすみよちゃん

昼下がり、高級ホテルの中にひっそりと佇む店の前で、私はスジャータ(仮名)とカーリー(仮名)を待っていました。


店までの距離は入口から約10メートル。しばらくすると二人がホテルの入口から姿を現しました。

ホテルのスタッフが二人に黒い布を渡し、目隠しをするよう促しました。
この店では目隠しをして香りと味だけを楽しむことができるという趣向でした。
二人は最初こそ戸惑っていましたがすぐに目隠しを受け入れ、スタッフの案内で店の前までやってきました。

そこで私たちは軽く挨拶を交わしました。扉の向こうから芳醇な香りが風に乗って漂ってきていました。
調理の匂いなのか、あるいは何か新たな体験の予感なのか。
二人は目隠しをしたまま、この香りをどう感じているのか、私も想像を巡らせました。


店の正面にはスタイリッシュなディスプレイがあり、メニューが表示されています。
しかし目隠しをしている二人には見ることができません。
そこで私が代わりにメニューを説明しました。

「うどん、そば、中華そばがあるよ。」

スジャータは落ち着いた声でそばを選び、続いてカーリーも同じ選択をしました。

そしてカーリーが「ごはんの小」を追加すると、スジャータもまた同じ物を選びました。

その小さな同調の様子につい笑みがこぼれます。
それに合わせて私は中華そばの大盛りを選びました。

静かに笑い合いながら、私たちは店の前でのひと時を共有しました。

目に見えないものを感じながら、これからの食事への期待で胸が高鳴ります。
まだ店内には一歩も入っていないのにその香りと雰囲気が、まるで未来の一瞬を映し出しているように思えました。
今日はお茶会に参加。
いつものメンバーでリラックスした雰囲気の中で会話を楽しんでいると、自然とゴルフの話題に移る。

話の流れで俺がビアンカ(仮名)に「そういえば最近俺、ゴルフのパットを全然外してないなぁ」と言うと、ビアンカも「そういえばそうかも〜」と同意する。

カーリー(仮名)やスジャータ(仮名)も「確かに」と口々に同意し、みんなで同じような印象を共有していた。


今日もここに来る前にみんなでコースを回ってきたが、パットを外した記憶がない。
一体なぜだろう?
いつの間にか、そんなに俺のゴルフの実力がアップしていたのか。
全てのホールで一発でカップインさせていたのだろうか?
それともピンそばに寄せていた?
もしくはロングパットを決めていたのだろうか?

いろんな可能性が考えられる。



みんなであれこれ言って首を傾げていると、スジャータが突然、全然違う話をし始めた。

スジャータはよく話の流れを無視して、思いついたことをすぐに話し出す傾向がある。


その時、みんなハッ!と気がついた。
すべてが繋がった気がした。

つまりゴルフの時もスジャータが急に話題を変えるせいで、そのホールがうやむやになって、最後のパットを打つ前に次のホールに行ってしまうので、俺がパットを外したことがないように感じるんだと。


これには全員が納得。
お茶会は笑いの渦に包まれた。

実にスジャータらしいエピソードだ。


結局、ゴルフが上達したわけではなかった。
まあ、それはそれで良しとしよう。
こんな些細なことが楽しい時間を生んでくれる。

こうやってちょっとした機転が、新しい発見に繋がるのも人との交流の醍醐味だと感じた一日だった。

夕食の材料を買うために近所のスーパーマーケットへ。
買い物を終え、レジを済ませて出口に向かいました。

外に出ると小雨が降っています。。
雨の予報ではなかったので傘を持ってきていません。
「仕方ない、濡れるのは覚悟しよう」

と歩き出した時、足元に違和感が。
その時、靴を履いてないことに気がつきました。
黒い靴下だけが濡れた床に触れています。

家を出た時の記憶はなく、靴を履かずにここまで来たという事実が信じられませんでした。
しかしいつまでも考えていても仕方がありません。
家までの遠い道のりは遠い。
濡れた道を靴下で歩くのは辛すぎる。
反対側の出口近くに靴売り場があったことを思い出し、急いで店内に戻りました。

靴売り場で安価なスニーカーを購入し、店員さんに事情を説明しました。
すると、彼女は「よくあることですよ」と驚くほど平静に言いました。
私は安堵したと同時に、奇妙な感も拭えませんでした。
「よくあること」って、どういうこと?
一体、どんな人が、どんな理由で、靴を履かずにスーパーに来るんだろう?

新しいスニーカーを履き、駅へ向かう道中、頭の中は疑問でいっぱいでした。
なぜ靴を履かずに家を出たのか?
なぜ気づかなかったのか?
あの店員さんの言葉は何を意味しているのか?
そして、家に帰ったら玄関先にいつもの革靴が置いてあるのだろうか?…

自宅に到着し、玄関のドアを開けました。
いつも置いてあるはずの革靴が見当たらない。
代わりに、濡れた足跡が廊下へと続いていました。
「誰か…入ったのか?」と心配になりながら、恐る恐るその足跡を追って居間へ向かいました。

テーブルの上には、見覚えのあるメモ帳が開かれていました。
そこにはこう書かれています。
『靴を忘れた。スーパーで買う。雨が降ってきた。』
自分で書いた記憶は全くありませんが、間違いなく自分の筆跡でした。

混乱したまま眠りについた私は、奇妙な夢を見ました。
靴を履いていない人々が行き交う街の中で、誰もがそれを当然のように受け入れています。
そして「靴なんて必要ない」と屈託なく笑う店員の顔が印象的でした。

目覚めたのは午前5時37分。
薄明るい部屋の中、私は飛び起きてベッドから出ました。
玄関に急いで行くと、床に昨日買ったはずのスニーカーが置いてありました。
しかし、よく見ると左右で微妙に形が違っているのです。
試しに履いてみると、右足は少しきつく、左足は少し大きい。
明らかに私が買ったものとは違いました。
「あれ?昨日買ったのは…?」
頭の中は混乱しています。昨日の出来事は夢だったのでしょうか?

朝食もろくに喉を通らず、私はスーパーマーケットへ向いました。
昨日、あの奇妙な言葉を告げた店員さんに会いたかったのです。

開店直後の静かな店内。
昨日の靴売り場に行くと、あの店員さんがいました。
私を見るなり、彼女は静かに微笑み、そしてこう言いました。
「やはりお戻りになりましたね」と。

「あの…昨日のスニーカーですが…」
私が口を開くと、彼女は穏やかに言いました。
「皆さん、最初は混乱されます。でも大丈夫、徐々に理解できるようになります」。

「何を理解するんですか?」
私は更に混乱します。
すると、彼女は
「あなたが靴を忘れてきたのではなく、靴そのものを忘れていることを」と答えました。

その言葉の意味が分からず首を傾げていると、彼女は店の奥へ案内してくれました。 従業員専用の扉を開けると、そこには広大な空間が広がっていました。
無数の靴が棚に並び、何人もの人が自分の足に合う靴を探しているのです。
皆、靴下姿でした。



「ここは『忘却品回収所』です。人々が忘れてしまったものを保管している場所です。
あなたは昨日、自分が靴というものの存在を忘れていることに気づいたんです。それはとても珍しいことですよ」

「でも、家には革靴が…」
と私が言うと、彼女は
「それはあなたの記憶の中だけです。あなたは、この一週間、靴なしで生活していました。周りの人も同様です。街を見渡してごらんなさい」

窓の外を見ると通りを行き交う人々は皆、靴を履いていませんでした。
スーツ姿のビジネスマンも、制服の学生も、皆靴下や素足です。
そして、誰もそれを不思議に思っていないようです

「なぜ私だけ…」
と混乱したまま問いかけると、彼女は
「時どき忘却の網から抜け出す人がいるのですよ。あなたはその一人。でも心配はいりません。明日には元通りになります」
と教えてくれました。

その夜、私はメモに『靴を履くことを忘れないで』と大きく書き、枕元に置きました。

翌朝目覚めると、そのメモは消えていました。
玄関には一足の革靴が並んでいます。
しかし、やはりどこか違和感が…。
右足だけが微妙に色あせているような…。

出かける途中、とある靴屋の前で足を止めた私は、ショーウィンドウに並ぶ靴を眺めながら考えました。
皆が忘れているものが、まだ他にあるのではないかと。

その時、ふと右足の裏に異物感を感じて靴を脱いでみると、そこには

『次は傘です』

と書かれた小さな紙切れが。


空を見上げると、雲一つない晴天でした。



アジアンな装飾がどこか異国情緒を漂わせるカラオケルーム。

煌びやかなライトに照らされて、中央には銀色のポールが天井までのびている。

私はサラ、ビアンカ、エミリー、クラリス(すべて仮名)と向き合っていた。

ポールダンスができるというこの店を選んだのは、ちょっとした悪ふざけのつもりだった。


「ねえ、エミリー、あれ見て」

クラリスが、エミリーに何かを囁いている。

その視線の先を追うと、ボックスの奥に設置された大きな鏡が見えた。
サラとビアンカと私は言葉少なに了解のアイコンタクトを交わし、並んで手早く用意していたポールダンスの衣装へと着替え始めた。
緊張と興奮が交じる中、鏡越しにちらりと自分たちの姿が映る。

まるでエミリーとクラリスの視線の中に、自分たちの新たな一面が表れているかのようだった。


衣装に袖を通すたび、心臓は高鳴り、体中に熱い鼓動が走る。
サラの笑顔は今にも舞台に立つ決意を秘めており、その隣でビアンカもまた現実と幻想が交錯するこの一瞬に身を委ねていた。
目の前の鏡には私たち三人の変貌した姿が映っていた。
衣装の煌めき、そして心に灯る情熱はまるで別人にでもなったかのようだ。

店内の音楽が一層盛り上がる中、エミリーたちの視線がふと、私たちの方向へと向けられる。

もしかすると彼女たちはこの鏡越しの一幕を捉え、自分たちの内面に潜む隠れた勇気と情熱を認識していたのかもしれない。

ポールがそっと輝きを増し、三人のシルエットと鏡に映る姿は、この夜の特別なパフォーマンスの予兆となっていた。
私たちは静かな決意を胸に、次なる瞬間に向けて深呼吸をする。
躊躇いと期待が交錯する中、ポールに触れるその手は今までの私たちを超えた新たな可能性を感じさせた。
今日この瞬間すべては、鏡の中の反射と互いに交わす信頼の証として、永遠の一頁に刻まれることだろう。

そして、もしもエミリーがこっそりと見ていたなら、クラリスが驚いた表情を見せたのなら、その視線は私たちと同じように、新たな挑戦への扉を開く鍵となるのだと信じた。

こうして夜は、鏡の中の二つの世界が交わる奇跡の瞬間として、静かに幕を開けた。

音楽が流れ始めた。
サラが最初にポールに手を伸ばし、優雅な動きで体を回転させる。
続いてビアンカも緊張した面持ちながらもポールに近づいていった。
二人の動きは初々しく、それでいて不思議な魅力を放っていた。

そして、私もそれに続く。


エミリーとクラリスはもはや会話を交わすことも忘れ、鏡越しに映る私たち三人の姿に見入っていた。

その視線には驚きと共に、どこか羨望のような感情が垣間見えた。

「あなたたちもやってみる?」

サラがエミリーとクラリスに囁くと、彼女たちは少し躊躇いながらも頷いた。


五人は次第に打ち解け、笑い声が部屋に満ちていく。
ぎこちない動きや失敗を重ねながらも、誰もそれを気にする様子はなかった。
むしろその不完全さがこの夜をより一層特別なものにしていた。

最後は全員でポールに触れ、記念写真を撮った。
鏡に映る五人の姿は、どこか解放されたように輝いていた。
普段の自分を少し超えて、新しい一歩を踏み出した瞬間の喜びが、その表情に表れていた。

カラオケボックスを出る頃には夜も更けていた。

都会の喧騒は相変わらず続いていたが、私たちの心の中では何かが確かに変化していた。


「また来よう」
誰かがそう言うと、全員が笑顔で頷いた。

この夜は鏡に映った見知らぬ自分との出会いであり、同時に互いをより深く理解するきっかけとなった。

そして何より些細な冒険が、時として人生に思いがけない彩りを添えることを五人は心に刻み込んだ。


街の灯りが私たちの帰り道をやさしく照らしていた。



夕暮れ時、銭湯の暖簾をくぐって僕たちは風呂場へと足を進めた。
キャロライン(仮名)と一緒に銭湯に来るのは初めてで、少しの緊張と期待感が入り混じっていた。
静かに湯気が立ち込め、温かな湿気が頬を撫でる。

脱衣所を抜け浴室の扉を開けると、そこには古びた趣のある浴場が広がっていた。
土曜日の夕方とあって、やや賑わいを見せている。
僕たちはゆっくりと歩を進め、湯船の縁までやって来た。

見渡すと、湯船はお爺さんたちで混み合い、なかなかの賑やかさだ。
僕たちが入れそうなスペースを探しながら立ち尽くす。
「あそこに入るべきか…」と一瞬躊躇するが、お爺さんたちの間に飛び込む勇気は少し足りない。

「向こうの方が空いてそうだね」とキャロラインが優しく微笑む。
彼女の声に促され、僕たちは少し離れた場所にある空いたスペースを目指すことにした。

石造りの床をゆっくりと歩き、落ち着いた雰囲気の漂うコーナーへと辿り着く。
湯船に浸かると、暖かさがじんわりと体を包み込み、緊張が溶けていくのを感じた。
湯の中で軽く足を伸ばし、心地よい安らぎに身を任せる。
隣ではキャロラインも穏やかに目を閉じている。

軽く視線を交わし、ひと時の静けさと共に時を過ごす。
ここは日常の忙しさから離れ、ただただ湯と共にある、癒しの時間だ。

天井を仰ぎ見れば、古い造りの銭湯ならではの木目が優しく目に映る。
ポツリポツリと響く滴の音が、日々の喧騒を忘れさせてくれる。
この特別な時間がゆっくりと進んでいく感覚は、まるで時が止まったかのようだった。

やがて日も傾ききり、風呂場の時間は静かに流れていった。
僕たちはゆっくりと湯から上がり、心地よい疲労感と共にまた暖簾をくぐって日常へと戻っていった。
この穏やかな時間は確かに心に染み渡り、癒しを与えてくれたのだった。
黄昏どきの公園へ続く道のりは、張り詰めた糸を歩くようだった。
敵と味方、二つの群れが静かに、しかし確実に距離を詰めていく。
我々のグループの先頭を歩くのは、カリスマ的存在のヘッド、六助。

その背中に続くのは、和服をまとい静かでありながらも、強いオーラを放つ佳織さんだった。

ほのかな夕日が、二人の姿をシルエットに変え、時の流れを凍らせたかのように感じられた。

そんな中、俺はスマートフォンを手に取り、SNSにひと言書き込もうと指先を躍らせた。

『佳織さんの姐さん感ハンパねえ』

しかし、その願いは叶わなかった。
無情にも、公園が目の前に現れてしまったからだ。
俺はためらいもなく、送信前にその行為を断念した。
今はただ、この決闘の景色を自分の中に刻み込む時だから。

グループはその後、二手に別れて散らばる。
俺は激戦の只中に混じるのではなく、少し距離を取り、背後の柵に寄りかかった。
不意に薄暗い影の中に黒幕らしき男女が姿を現した。
彼らはどこか高笑いを交えながら、遠くから低く呟いた。

「0に1を足したくらいで10に勝つことなどできぬ。」

その静かな煽りの言葉は、我々こちら側グループの実力が数字の如く無価値だと示唆しているかのようだった。

だが、その言葉に俺は一縷の期待と逆に燃える闘志を感じた。
おもしろい。
彼らが我々の潜在能力を卑下するかのようなその言葉の裏側に、隠された可能性があるはずだ。

俺は胸中で決意を固めるとひとつの行動に出た。
顔を覆う覆面を静かに装着し、正体を隠しながらも影から決闘の行方を見守る。
奴らはこの隠された存在の存在すら計算に入れていなかった。
数字や策略だけでは計り知れない、人間の不思議な力がここにはあるのだ。

こうして、静かなる決闘の前奏曲が始まった。

六助の威厳と佳織さんの凛とした佇まい、そして覆面の影が、暗い公園の中でひときわ濃い光を放ち始める。

誰にも予測できなかった予期せぬ一手が、この夜に新たな伝説を刻むことになるだろう。



夕焼けに染まった公園はまるで戦場のように静まりかえっていた。
空には燃えるようなオレンジが広がり、最後の光が闇へと溶け込むその瞬間、我々は決戦の時を迎えた。

六助が咆哮と共に敵陣に斬り込み、佳織さんが流麗な動きで敵の攻撃をいなしていく。

覆面の男――俺は、静かに背後の柵に手をかけ、内に秘めた計算外の一手を狙っていた。


戦いは予想通り、敵の集団が我々に向かって激しい攻勢をかけ始めるところから始まった。
数においては敵側はこちらを何倍も凌駕している。
敵の先鋒は高笑いを上げながら、
「0に1を足したくらいでは、10には決して勝てん!」
と嘲笑を放ち、鋭い斬撃を振るった。

六助はその猛攻に屈することなく、一歩も引かず前進。

佳織さんは木刀や懐剣を手に、華麗かつ確実に敵の隙を突いていく。

彼女のしなやかな動きが、まるで秋風になびく和服の袖のように、敵の攻撃をかわせる。
だが、敵は数で押し寄せ、集団の力で我々の防御を上回ろうとする。

そのとき、俺は静かに決意した。
敵は数の優位に頼り、計算された戦法に自信を持っている。
しかし、彼らは知る由もなかった。
俺には、ただの数式を超えた真の力――仲間の潜在能力を増幅させ、結束の掛け算で戦局を逆転させる力が宿っていることを。

激闘のさなか、六助が不意に膝をついた。
かつての闘いで負った左脚の古傷が、灼熱のように疼いたからだ。
しかし、俺が覆面の下から声を上げたとき、事態は一変した。

「六助!佳織さん!俺を信じろ!」

そう叫ぶと、俺は全身に秘めた力を解放する。
途端に淡い光が仲間の周りに漂い始める。
「なっ...何なんだ!?」
黒幕らしき男が叫ぶ。
まるで数値の壁を越えたかのように、こちら側の動きが研ぎ澄まされていく。

六助の拳が風を切る速度が倍増し、佳織さんの動きはまるで舞踏のようしなやかに。

敵の先鋒ががその変化に驚愕する。
その様子を眺めながら、俺はニヤリと笑う。
「計算違いだったな」

しかしまだまだ敵の数がこちらを圧倒していることには変わりがない。

敵の視線常に六助と佳織さんに集中している。

好都合だ。
俺は静かに動き出す。
覆面の下の正体は誰にも知られていない。
それこそが、計画の鍵なのだ。
六助が敵の先鋒と激突する中、俺は音もなく敵の背後に回り込む。

六助と佳織さんが作り出した隙を縫うように、一人、また一人と急所を打ち抜き、戦線を崩壊させていく。

その動きは幻神と形容しても過言ではなく、手に汗握る一騎打ちの場面では、敵の先鋒と六助とが互いに刃を交え火花を散らす。

佳織さんは舞踊のような優雅な身のこなしで敵の攻撃を翻弄しながら、次々と決定的な一撃を放った。


薄明かりの中、戦況は次第にこちらに傾き出した。
敵は数の優位や先の計算に頼っていたが、仲間たちの絆と俺が秘めた特殊な能力―仲間の潜在能力を引き出す力が、数字では表せない可能性となって現れたのだ。

六助の豪快な一撃、佳織さんの静謐な動き、そして私の密やかな奇襲が、完璧にシンクロし敵を圧倒する。

そして遂に、六助は見事な一撃で敵のヘッドを打ち倒し、夕闇の公園は勝利の雄叫びに包まれた。



柱を失った敵グループに、もはや戦意は残っていなかった。
黒幕の男が怯えたような表情を浮かべ、そしてついに膝をついた。
女が恐怖に顔を歪めながらも何かを訴えたが、もはや時既に遅し。
俺は男に近づき、ゆっくりと覆面に手をかけた。
夜風が吹き抜ける中、私の素顔が月明かりに照らし出される。
「まさか…お前が…」

「そうだ。俺が、お前らが計算に入れていなかった、すべての0を1にした男だ」

と、冷たい声で宣言する。


その瞬間、静寂が広がった。
敵は数字の論理に固執し、人間の可能性を計算に入れていなかった。
俺たちの戦いは、単なる肉体衝突ではなく、信念と絆、そして無限の可能性が証明された瞬間だった。

私は背を向け、仲間たちの元へ戻る。

「見事だったぞ、相棒。お前のおかげで楽勝だった。」

六助が笑いながら肩を叩く。

「あなたのおかげで退屈せずに済みましたわ。」

佳織さんが微笑みながら近づいてくる。

私は、夕陽が沈み切る寸前の空を見上げ、静かに頷いた。

そして、夕闇が深い藍色に変わり、街全体が夜の帳に包まれたとき、公園にはまだ俺たちの戦いの痕跡が残っていた。
傷つきながらも、勝利の余韻を感じ取る仲間たち。
しかし、俺はヒーローとしての栄光にとどまらず、自分自身の力―人間が内に秘める無限の可能性―を証明したかっただけだと、そっと心の中で呟いた。

「人は、計算された数字ではない。
 誰もが、0を超え、1になり得る――そう、掛け合わせれば、奇跡は無限に生まれる」

そして、俺は勝利の宴に加わることなく、ひとり静かに公園を後にする。
覆面を握りしめ、闇夜に溶け込む。
俺の正体は、今夜もまた謎に包まれたまま…



広い原っぱになった空地には硝煙の匂いが漂っていた。
組の者と見られる男たちが6、7人、拳銃を手に走り回り、銃撃戦を繰り広げていた。
銃口が一瞬ごとに閃光となり、乱れた足音が砂埃を立てながら消えていく。
弾丸が土埃を上げるたび、俺の鼓膜が痺れる。
逃げ惑う男たちを追う銃撃手が、突然こちらの存在に気付いた。

「やばい!」
俺が叫んだ瞬間、隣の女性が爪先で砂利を蹴る。
男たちの影が蟻地獄のようにこちらへ伸びてくる。
並走してきた男の拳銃がこちらに向けられた瞬間、俺は体を硬直させた。
しゃがむか?止まるか?意識が閃くより先に、足が止まった。

標的を失いバランスを崩した男は滑稽なほど大きくのけ反り、転がる小石の上で不格好に崩れた。
俺たちはその隙を逃さず、絶体絶命のの危機から逃れ、何とかあの原っぱから身を隠すことに成功した。



工場の薄暗い休憩室で、俺は隣に座る女性、美咲に話しかけた。
「映画みたいだったな、マジで」

美咲は苦笑いを浮かべた。

「本当にね。こんな危険な仕事だなんて聞いてなかったわよ」

今回の仕事はある荷物を指定された場所に運ぶだけのはずだった。
報酬は成功報酬で、事前に説明された金額は決して安くなかった。
だが、まさか組同士の抗争に巻き込まれるとは思ってもみなかった。


机の上に無造作に置かれた、税金のかからない三百万円の札束を前に、俺は美咲に向かって話しかけた。

「他の奴らはどうしてるかな?報酬は貰えたのか?」
美咲は首を横に振った。
「アケミさんは今回参加してないわ。
確か、お金に困ってたはずなのに」

アケミは確か、シングルマザーだったはずだ。
心配になった俺は彼女がどれくらい貯金があるか、美咲に尋ねた。
「七万円くらいはあるみたいよ。まあ、何とかなるんじゃない?」
美咲の言葉に少し安心したものの、胸騒ぎは消えなかった。

その時、部屋に別の女性が現れた。
化粧の濃い、いかにもやり手の女性だ。
「ご苦労様。マージンを頂くわ」
マージン、つまりピンハネだ。
組の取り分ということだろう。

「美咲、ちょっと待っててくれ」
俺は女性に三万円を渡した。
女性は無言で札束を奪い取り、踵を返した。

残った札束を美咲に渡そうとすると、彼女は首を横に振った。
「いいわよ。三万で十分よ」
「でも…」
「いいの。あなたも大変だったでしょ?それに、私、そんなに必要ないし」

美咲はそう言って微笑んだ。
その笑顔は、先ほどの銃撃戦の恐怖を忘れさせるほど、優しかった。

沈黙がしばらく続き
「実はね」
美咲がそう言いかけた時、工場の裏口から物音がした。
振り向くと、さっきの原っぱで見た男たちだ。
全員が拳銃を構えている。
「金を置いて行け」
リーダーらしき男が低く唸る。

「違うの!」
美咲が叫ぶ。
「私たちは関係ない!」
「うるせえ」
引き金が引かれる直前、美咲が俺の前に飛び出した。
「やめて!私が全部...」

銃声が轟く。
が、弾は放たれなかった。
警察の踏み込みだった。
原っぱでの銃撃戦を目撃した通行人の通報で、警察が張り込んでいたのだ。

「お疲れさま」
逮捕された男たちの中から一人の刑事が現れた。
美咲の上司だった。
「潜入捜査、ご苦労さん」
彼は美咲に告げる。
彼女は小さく頷いた。



工場を出た後、俺と美咲の関係は予想外の展開を迎えることになった。
「実は警察の潜入捜査官なの」
彼女の告白にあの日の不可解な出来事の断片が一つずつ繋がっていく。
原っぱでの銃撃戦、三百万円の現金、そして彼女が「三万でいい」と言った真意も。

証拠品として押収された現金。
しかし、一週間後に届いた彼女からの手紙には商品券が同封されていた。

『あの日はありがとう。
あなたの機転のおかげで長年追っていた組織を摘発できました。
これは私からのマージンです』

合法的な三万円分の商品券。
それはあの危険な一日の、最後の清算だった。

その後、俺たちは時々会うようになった。
カフェで未来を語り合ったり、あの原っぱに足を運んだり。
かつての混沌とした空間は今では静かな草地に戻っている。

「不思議よね。
時が経つとただの空き地になるんだから」
美咲がそう言って笑う。
「でもここに来ると全てを思い出す。
あの日が確かにあったって」

俺たちが手に入れたのは、結局のところ現金じゃなかった。
予期せぬ出会いと、新しい物語の始まりだった。

税金のかかる正当な三万円と引き換えに、俺たちは静かな日常という贈り物を手に入れたのだ。