銭湯でのひととき | 非日常的日常ブログ

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日々過ごしていく中であった出来事や、なかった出来事、夢で見た出来事を淡々と綴ったり、綴らなかったりしていきます。



夕暮れ時、銭湯の暖簾をくぐって僕たちは風呂場へと足を進めた。
キャロライン(仮名)と一緒に銭湯に来るのは初めてで、少しの緊張と期待感が入り混じっていた。
静かに湯気が立ち込め、温かな湿気が頬を撫でる。

脱衣所を抜け浴室の扉を開けると、そこには古びた趣のある浴場が広がっていた。
土曜日の夕方とあって、やや賑わいを見せている。
僕たちはゆっくりと歩を進め、湯船の縁までやって来た。

見渡すと、湯船はお爺さんたちで混み合い、なかなかの賑やかさだ。
僕たちが入れそうなスペースを探しながら立ち尽くす。
「あそこに入るべきか…」と一瞬躊躇するが、お爺さんたちの間に飛び込む勇気は少し足りない。

「向こうの方が空いてそうだね」とキャロラインが優しく微笑む。
彼女の声に促され、僕たちは少し離れた場所にある空いたスペースを目指すことにした。

石造りの床をゆっくりと歩き、落ち着いた雰囲気の漂うコーナーへと辿り着く。
湯船に浸かると、暖かさがじんわりと体を包み込み、緊張が溶けていくのを感じた。
湯の中で軽く足を伸ばし、心地よい安らぎに身を任せる。
隣ではキャロラインも穏やかに目を閉じている。

軽く視線を交わし、ひと時の静けさと共に時を過ごす。
ここは日常の忙しさから離れ、ただただ湯と共にある、癒しの時間だ。

天井を仰ぎ見れば、古い造りの銭湯ならではの木目が優しく目に映る。
ポツリポツリと響く滴の音が、日々の喧騒を忘れさせてくれる。
この特別な時間がゆっくりと進んでいく感覚は、まるで時が止まったかのようだった。

やがて日も傾ききり、風呂場の時間は静かに流れていった。
僕たちはゆっくりと湯から上がり、心地よい疲労感と共にまた暖簾をくぐって日常へと戻っていった。
この穏やかな時間は確かに心に染み渡り、癒しを与えてくれたのだった。