何かを置き去りにしながら、季節は巡る。
忘れてしまったものや、思い出したくないもの。
忘れてしまいたいものや、思い出せないものたち。
人は思い出に励まされたりもするけれど、嫌なものを忘れるからこそ生きていける。
忘却が人を正常たらしめる。
ところが、水底に沈めたはずの記憶がぷくりと浮上して、心を乱すことがある。
「消えなよ」
僕の苦悶のつぶやきは、闇に吸い込まれて同化する。
切ない思いも、苦い思いも黒になる。
黒は喪の色、宇宙の色、始まりと終わりの色。
痛みが去るまで、ゆらりゆらりと、黒に漂う。
ボビー・コールドウェル 風のシルエット
Bobby Caldwell/What You Won't Do for Love
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