台風の影響で、日曜の夜は電車も止まってしまったようで、休日で助かった。
いつも通りの仕事だったら帰ってこれないところだった。
朝起きて外を見ると雨もやんでいるようだったので、ダッシュでいつもの公園に出かけた。
そこで猫を見た。キジ猫(キジトラ)だ。一番ポピュラーな猫なんじゃないかな?
獣医さんのところで貰い手が付かなかくて、僕が飼うことになった猫もキジトラだった。
どこに住んでいた頃だっけ……あ、そうだ目黒区青葉台だ。
中目黒にも渋谷にも歩いて行けた。
んーっと思い出してみても、中目黒という土地が、今なぜ人気があるのかよく分からない。まあ、現在の街並みを知らないせいもあるのだろうけど。
そのキジトラがいたのが、ベンチに座る僕から1.5メートルぐらいの距離だろうか、隣のベンチの後ろだ。
ネコを見かけることなんてないから僕はうれしくなった。
そうだそうだ、この街で猫を見かけることはほとんどないような気がする。
うん、そうだ。絶対そうだ。ネコ好きの僕は間違いなくネコに反応するから。
なぜだろう? 猫がいないというより、野良がいないということだろうか。
『世界から猫が消えたなら』という小説がある。まだ読んでいないからそのうち読みたいと思っている。
僕の話は連想ゲームみたいにどんどん飛ぶ。

画像はお借りしました。
野良だろうか、いや、それにしては毛並みがきれいだ。
「チチッ、チチッ」と舌を鳴らした。
無視された。そっけないなあ……。
だけど、しばらく見ていて、僕はおかしなことに気がついた。
猫の耳はレーダーみたいによく動く、でも、この猫の耳はあまり動かない。
僕の出す音にも反応せず、隣のベンチの後ろで背中を向けて座ってしまった。
ひょっとして、耳が……聞こえてない?
とそのとき、雨が落ちてきた。
今日の天気予報は雨時々曇り。そんな中で2時間半読書ができたのはラッキーだった。
文庫本やら眼鏡やらをカバンにしまい帰り支度を終えた僕が自転車越しにその猫の背を撫でられたのは一瞬だけだった。するりと抜け出てしまったから。その毛はすこしザラリとした感触を残した。
飼い猫だったとしても、しばらくは洗ってもらっていない。もしも飼い猫じゃなかったら、連れて帰りたい。
雨脚が強くなる中、自転車のスタンドを立てて、そっとネコに近づき頭を撫でた。
姿勢を低くして僕の手から逃れ警戒している。やっぱり耳は聞こえていないようだ。
辛抱強くチャレンジしたけど、それ以上近づくことはできなかった。
耳が聞こえない猫にとって、僕はストレス以外の何物でもないだろう。
僕は自転車にまたがり公園の出口に向かった。
せめてあの猫が飼いネコで、幸せに暮らしていますようにと願いながら。
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