風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」 -23ページ目

台風の影響で、日曜の夜は電車も止まってしまったようで、休日で助かった。
いつも通りの仕事だったら帰ってこれないところだった。

朝起きて外を見ると雨もやんでいるようだったので、ダッシュでいつもの公園に出かけた。
そこで猫を見た。キジ猫(キジトラ)だ。一番ポピュラーな猫なんじゃないかな?

獣医さんのところで貰い手が付かなかくて、僕が飼うことになった猫もキジトラだった。
どこに住んでいた頃だっけ……あ、そうだ目黒区青葉台だ。
中目黒にも渋谷にも歩いて行けた。

んーっと思い出してみても、中目黒という土地が、今なぜ人気があるのかよく分からない。まあ、現在の街並みを知らないせいもあるのだろうけど。

そのキジトラがいたのが、ベンチに座る僕から1.5メートルぐらいの距離だろうか、隣のベンチの後ろだ。
ネコを見かけることなんてないから僕はうれしくなった。

そうだそうだ、この街で猫を見かけることはほとんどないような気がする。
うん、そうだ。絶対そうだ。ネコ好きの僕は間違いなくネコに反応するから。

なぜだろう? 猫がいないというより、野良がいないということだろうか。

『世界から猫が消えたなら』という小説がある。まだ読んでいないからそのうち読みたいと思っている。

僕の話は連想ゲームみたいにどんどん飛ぶ。


画像はお借りしました。

野良だろうか、いや、それにしては毛並みがきれいだ。

「チチッ、チチッ」と舌を鳴らした。
無視された。そっけないなあ……。

だけど、しばらく見ていて、僕はおかしなことに気がついた。

猫の耳はレーダーみたいによく動く、でも、この猫の耳はあまり動かない。
僕の出す音にも反応せず、隣のベンチの後ろで背中を向けて座ってしまった。

ひょっとして、耳が……聞こえてない?

とそのとき、雨が落ちてきた。
今日の天気予報は雨時々曇り。そんな中で2時間半読書ができたのはラッキーだった。

文庫本やら眼鏡やらをカバンにしまい帰り支度を終えた僕が自転車越しにその猫の背を撫でられたのは一瞬だけだった。するりと抜け出てしまったから。その毛はすこしザラリとした感触を残した。

飼い猫だったとしても、しばらくは洗ってもらっていない。もしも飼い猫じゃなかったら、連れて帰りたい。

雨脚が強くなる中、自転車のスタンドを立てて、そっとネコに近づき頭を撫でた。
姿勢を低くして僕の手から逃れ警戒している。やっぱり耳は聞こえていないようだ。

辛抱強くチャレンジしたけど、それ以上近づくことはできなかった。
耳が聞こえない猫にとって、僕はストレス以外の何物でもないだろう。

僕は自転車にまたがり公園の出口に向かった。
せめてあの猫が飼いネコで、幸せに暮らしていますようにと願いながら。


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小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、築ウン十年、全六室のぼろアパート木暮荘。

そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の四人が、平穏な日々を送っていた。

だが、一旦愛を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった……。

「BOOK」データベースより


小田急線・世田谷代田駅にあるオンボロアパート「小暮荘」の住人とその周辺の人たちにまつわる連作短編集。世田谷代田はずいぶん昔に行ったことがあるだけなのでどうもイメージがわかないのが残念だった。

最初は、これなんだろ? って感じだったけど、連作が進むにつれてすべての話がゆるやかに繋りをみせ、人々の抱えるものが浮き彫りにされてきて、興味をそそられた。

それぞれに何かが起こっているのだけれど、それは心の奥深くで展開されて、表面上は静かに進んだ物語だった。

僕の好む文体ではなかったけれど、いい小説だった。
その後の展開を、もう一冊、読みたい本だった。


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くさくさするときとか、ちょっと落ち込んだ時とか、僕はよくこのYouTubeを見る。

サビの部分だけ同じダンスを要求されているみたいだね。
とにかく、一瞬何もかも忘れられるパワーを持っている。これを見ると間違いなく元気をもらえる。

ぜひ右下の全画面表示で見てほしい。


Earth, Wind & Fire - "Lets Groove"


みんな笑顔だし、変な顔するし、アメリカ人も悪くないと思ったりする。

あの頃の音楽シーンはファンキーに傾きつつあった。
ああ、これでアースの時代も終わりかなと思った。何しろ前作が振るわなかったから。

そしてふたを開けて出てきたのがこの曲だった。イントロからして震えがくるぐらいだった。

さすがアース! と僕は狂喜乱舞した。

Earth,Wind&Fireの代表的な楽曲の一つであり、ボコーダーを使った特徴的なイントロから始まる。強烈なシンセベースと華やかなホーン、ノリやすいシンプルなメロディが受け後のディスコミュージックの象徴となった。



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まっすぐなものと曲がったもの。
暖かいものとぬるいものと、冷たいもの。

右と左、上と下、前と後ろ。

固いものと柔らかいもの。コンクリートに消しゴムにゼリーにメレンゲ。

風逆らわない落ち葉、風にしなる竹、風を受けて立つ幹。
風が吹き飛ばしていくもの、風を受け流すもの、風に逆らうもの。



それぞれが理屈を持っている。だからこそ、落ち葉は竹を、竹は幹を、幹は落ち葉を、たぶん許容できない。

かほどに、人が人を心底理解するというのは難しい。

だから、否定されたって平気。


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人種的差別撤廃提案(Racial Equality Proposal)とは、第一次世界大戦後のパリ講和会議の国際連盟委員会において、大日本帝国が主張した、人種差別の撤廃を明記するべきという提案を指す。

この提案に当時のアメリカ合衆国大統領だったウッドロウ・ウィルソンも賛成だったが、イギリス帝国の自治領であったオーストラリアやアメリカ合衆国上院などが強硬に反対し否決された。

国際会議において人種差別撤廃を明確に主張した国は日本が世界で最初である。

─Wikipediaより─





Moanin' - Art Blakey



アルバムの中で、「Japanese warm」そう言ったのはジェームス・ブラウンだったろうか。

ありもしないことで頭を下げ、お金を出し、あちらを見、こちらを気遣い……日本はいつから、ものの言えない情けない国になり果てたのだろう。


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足を組み、背もたれに背中を預けてベンチで読書をしているときだった。
バチッと音を立てて文庫本にぶつかってきたものがあった。

カナブンか?

そう思ったのは、それが羽音を立てていたことと、そこそこの重量感をもっていたからでもあるし、出がけにエントランスにカナブンの死骸を見たせいもあるだろう。

見ると、僕の短パン近く、Tシャツの裾につかまってもぞもぞしていたのはクマバチだった。

方言なのだろうか、獰猛そうなクマンバチの別称を持つ蜂だけれど、はちみつ科のころころとした体形をした温厚な蜂だ。

お尻をフリフリしながら二番目の足で黄色いベストを撫で、前足で頭を撫で……右足か左足か、前か後か、当の熊蜂がもう訳が分からなくなっているようなコミカルな動きをしている。

「やれ打つな 蝿が手をすり 足をする」小林一茶の俳句を思い出した。




クマバチは航空力学的に、飛べるはずのない形なのに飛べているとされている。

それがはっきりと解明されたのかされていないのか……確か、空気の粘性みたいな話だったと思うけれど、それが最終回答なのかどうかは知らない。

人間が水に感じる粘性、みたいな話だったはず……クマバチにとって空気は、ねばっこいんだろうね。

そのクマバチを僕は払い落とさなかった。
だって、クマバチがこんな風に人に乗るなんて、それは死期の近さを現しているはずだから。

さっきまで飛べていたのに、もううまく飛べなくなった彼女は戸惑っている。そう、頭に白い三角模様がないから、メスだ。弱いけれど毒針を持っている。

異変は感じていただろうけれど、なんとか飛んでいたはずだ。それが突如失速した。

右手の指先に誘うと、クマバチは僕の腕を這い上った。
それをそっとベンチに乗せると、隙間にはまってもがいた。それを脱出するとベンチから落ちた。



蜂が飛ばずに歩いていく。
時折動かす羽根は歩みを早めるけれど、もう彼女を飛ばすことはない。

嵐が前触れもなく訪れ突然去るように、恋も、人生もまたそうなのかもしれない。

残り少ない命を燃やしながら遠ざかるクマバチを、僕は静かにずっと見ていた。彼女に頑張れなんて念仏は無意味だと知っていたから。

何より、彼女を飛ばしていたのは航空力学ではなく、彼女が失いつつあるパワーだったはずだから。


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世界は、宇宙は、不思議で満ちている。けれど、人の支配するこの世の中は、小さな小さな不条理の洪水で、僕たちは息もできない。

とても大切なことと、どうでもいいようなことの間を僕たちは彷徨う。

その間に横たわるのは、それぞれの価値観。トップに立つ人間の価値観で、僕たちの世界は変わったりする。


人間なんて / 吉田拓郎



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外面(そとづら)はいいのに内面(うちづら)は悪いというのはよく耳にするね。

でも、内面はいいのに外面は悪いというのはあまり聞いたことがない。

内面(うちづら)というのはお分かりのように、家庭内とか内輪のことだ。長く付き合った恋人同士もそれになるのかな。

それが悪いというのはどういうことなのだろう?
それはなんというか、一番大切にしなければならない関係のような気がするのだけれど。

そこでふと、自分の経験に照らし合わせて思い出したことがある。
君が初めてのアルバイトをしたり仕事を始めたときに、割と優しく教えてくれた人がいるはずだ。

それとは違い、この人なんて不愛想で口うるさい人なんだろうと怯えた人もいるに違いない。

それが仕事に慣れてくると、優しかった人が冷たかったりぞんざいだったりしたことはないだろうか。

逆に、うるさく思えた人が意外にいい人だったりしたことはないだろうか。

これに思い当って僕はようやく納得した。そう、外面のいいその人にとって、新人の君は外の人だったのだ。

内面と外面の違う人って、世の中にはいるんだね。数はそんなに多くない気がするけど、そんな人に当たったら災難だね。配偶者や上司だったら最悪だ。

配偶者だったら早めに別れましょう。上司だったら耳と言わず体中に無反応オイルを塗ってスルーしましょう。

その人はきっと自信のない人なのかな。育てられ方の問題かな?

何等の検証もしていないから、何とも言えないんだけどね。
今夜は何かそんなことを考えた。


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以前でいうなら新宿コマ劇場、今でいうなら新宿東宝ビル。
そのすぐ近くにゲームセンターがあった。

いまは、きずな寿司かな、名前に自信がないけど、お寿司屋さんがある。

そこにゲームセンターがあった。行くとジュークボックスでたいていこの曲が流れた。

ジュークボックスを掛けたのかって?
ううん、貧乏学生の頃だからそんなお金はない。

でも、これを聴くためだけに、無駄に使う電車賃なんてない僕ははるばる新宿まで歩いた。

歩いても歩いても着きはしない。それでも歩いた。

な、なんだこの甘ったるい匂いは?
工場みたいな建物だ。



やがてロッテと書いてあるのが見えた。

あの、ロッテか? お口の恋人ロッテか?
それが新大久保だと知るのは僕がだいぶ大人になってからだった。

僕はマジで、この曲を聴きたいがために凄い時間をかけて新宿まで歩いた。
それほど衝撃的な曲だった。

帰り? もちろん歩いた。

音楽は、人間が作り出したもっとも凄い言語だと思う。


Superstition / Stevie Wonder
迷信 スティービー・ワンダー



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まだ完成はしていないけれど、ホテルが建ちつつある。外観はほぼ出来上がって看板までついている。宿泊価格の安さを追求したホテルだ。

ついこの間まで、そこに何があったかと思い出してみる。
ずいぶんと昔に閉めてしまったような本屋があった。
いや、古本屋だったのだろうか。

お琴と書いた看板もあったような気がするけれど、これは自信がない。洗い張りだったかもしれないし、全く違うかもしれない。

とにかく平屋の古い家屋が広がっていたような気がする。
その向こう側にパチンコ屋があった。

それらをすべて壊してホテルが建った。

何かが壊れて違う何かが建った時、そこに何があったかを、僕たちはすっかり忘れてしまう。

明日が今日になるように、今日が昨日になる。
今がさっきになるように、一時間後の世界に僕たちは追いつく。

そうやって時は流れ、僕たちは子供から大人になり、やがて老いてゆく。

たくさんの後悔と、たくさんの言いそびれた言葉と、たくさんの忘れ物に心乱しながら僕たちは生きてきた。

だからといって、僕はどこかへ戻りたいとは思わない。
それが正しい流れだから。

だけど、懐かしい呼び名で僕を呼んでくれる人を恋しいと思う日がある。

それは○○ちゃん、だったり、○○君だったり、お父さんだったりする。

そんなときはチクチクと胸が痛み、なすすべもなく眉をしかめる。


池上線 / 西島三重子





蒲田-五反田間を結ぶ池上線。
旧3000系の緑の三両編成。冷房が効かなくて、夏は暑かった。



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