
長岡弘樹『群青のタンデム』
警察学校での成績トップ争いの戸柏耕史と陶山史香。彼らは卒配後も手柄を争い出世をしていくが――。
なぜ二人は張り合い続けるのか? ベストセラー『教場』につづく異色の連作短篇警察小説。
「BOOK」データベースより
警察学校でトップ争いをした戸柏耕史(とがしこうじ)と陶山史香(すやまふみか)の交番勤務時代から始まる短編集。
各短編では時が飛び、互いに階級が上がり立場が変わっていくなかで様々な事件に関わっていく。
エピローグは衝撃的というのだろうか……読後感が良いとは言えない。
ストンでも余韻でもなく、僕の頭に浮かんだのは「は?」だった。これを……書きたかったの? なんで? と。
場面の転換は唐突だし、最後まで読むと20年の歳月が流れている。だから短編(事件)ごとに急速に時間が飛んでいる。
やがてそれはつながるのだけれど、読者を置き去りに走りすぎた感は否めない。
痛快で、爽快で、ちょっぴり恋愛模様も絡む物語?
そんな僕の期待した方へとは、残念ながら進まなかった。
ベストセラーの『教場』は読んでいないけれど、『群青のタンデム』は一般受けはしないだろうと思う。
分かりにくいし、読んだ後でも理解できていない僕がいたりするから、人にお勧めはできない。
これを分かりやすくおもしろくするためには、ものすごく分厚い本になりそうだ。
けれど読み返してみれば、作者がこれを書いた意図もわかるかもしれない。そこは僕の読み込み不足だ。
読書の合間、いつもの公園のベンチで眼鏡をはずし、缶コーヒーを口に運び、煙草に火を点ける。
八重桜だろうか、遊ぶ子供たちの足元を薄桃色の花びらが風に転がされてゆく。
ふと横に視線を転じると、いっときの風に桜吹雪が舞っていた。
賛否は両論だろうけれど、僕は三度、「うーん、この人上手いな」と呟いた。
場面の転換が唐突と書いたけれど、いったい何が始まるのか予測のつかない書き出しの言葉。その紡ぎ方がなんとも魅力的だ。
この人、かなり本格的な物書きだ。
それを実感した小説だった。
佐藤正午の文章力は抜きん出ている。
伊坂幸太郎の伏線と回収は見事だ。
誉田哲也の多彩さは天才かと思う。
長岡弘樹──久々に出会った、意外性に満ちつつ、文章に厚みを感じる作家だ。
それを実感できたのが、ベストセラー本でなかったことがなんだか嬉しい。
おすすめ度★★☆☆☆
個人的評価★★★✪☆
作家期待値★★★★★
複雑なことになった(;'∀')
✪は0.5です。
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