鈴木 彰の ミドル・シニアランナーのためのランニングブログ -44ページ目

鈴木 彰の ミドル・シニアランナーのためのランニングブログ

@runnerのCEO、e-Athletesヘッドコーチの鈴木彰が、なるべくプライベートな部分は避けつつ、主に概ね40歳以上のミドル・シニア(中高年!)ランナー向けにランニング関係のあれこれを綴ってみようかなってとこです。

 木崎良子選手~


 ロンドン五輪でまったく通用せず、そのままバーンアウト気味!?という話もありましたが、見事に復活どころか、一回り大きくなって戻ってきましたね。


 日本女子長距離界の構造的な問題として、<高校で競技的に叩かれ、大学で社会的にスレるか身体的に太る>…という消えていくパターンがあるのですが、それをすり抜け、大学→実業団→マラソン進出~という、そうなりゃ、たいしたもんだという理想形を実現した極めて数少ないエリート選手の1人です。


 ずっと順調過ぎたので、オリンピックの惨敗から立ち直れないのではないか~とか、もともと競技的にクールなので、これでおしまいと考えてもおかしくない~とか、彼氏がいると公言しているくらいだから、寿引退も…とか、いろいろ言われていましたが、どうしてどうして、、、


 国内屈指のスピードランナーでしたが、男子もそうであるように、スピードをマラソンに使えない・スタミナがないので、スピードを生かせない~という日本勢全般の課題を打破しての2時間23分台~ラスト勝負で競り勝つ!というのは大きく評価できます。あのスパートは、学生時代、トラックや駅伝でブイブイ言わせてた頃を彷彿させるものでした。


 

 野口みずき選手~ 


 <高校で競技的に叩かれ、大学で社会的にスレるか身体的に太る>…という困ったちゃんパターンの対応策として、<高校であまり叩かれていない選手を、大学に送らず、実業団で箱入りで育てる>というパターンが確立しており、その代表格で世界の頂点に立ったのが彼女です。


 オリンピック金メダリストですから、もう、そこまでしなくても、、、と思くらい故障と闘い続け、復帰を目指し続け、昨年のこの大会でも大きな見せ場を作ってくれましたっけね。

 

 今年も、大阪欠場、名古屋シフトで暗雲が漂いましたが、実に見事な復活ぶりでした。もう、あとちょっとかな~。


  

 TVで、Qちゃんの「お疲れ様~」に、「ビミョー!」の一言が笑えましたが、国内2位の24分台というのは、確かにほんのちょっと微妙な結果だったかも。ただ、それだけまだ課題を残し、上値も残っているということでしょう。世界陸上、ぜひ選ばれて欲しいですね。



 


 低温・強風と、ちょっ可哀想なくらいのコンディションでしたね。。。

 

 私も現役時代に4回走っている想い出の大会ですが、暑さを警戒することはあっても、寒さを気にすることはなかったかと思います。風は、出る時は出るのですが、、、


 条件が悪くてペースが遅いというか、条件の悪さにペースメーカーが先に参っちゃって、どうにもペースを作れなくなってしまったようです。主力選手が皆、「おいおい、どーすんだよ、、、」みたいな顔をしていましたね。。。 


 そういうことで、30Km以降は、東京マラソン以上の「よ~いドン!」状態になるかと思いきや、あまりにコンディションが悪すぎて、それも出来ず~と、今シーズンの主要大会ではいちばん厳しい&難しいレースになったかと思います。



 そんな中、国内選手トップは、藤原正和選手!

 ここ数年内に走り始めたり、マラソンに興味を持った方はご存じないかもしれませんが、ちょうど10年前、このびわ湖で、初マラソンで2時間08分ソコソコの学生新記録をマークし、日本の次世代

エース!と、とんでもなくデカく期待された選手です。


 が、実業団入り後、鳴かず飛ばずで、時々、復活の兆しが見えたかと思えばまた萎んでいく…という繰り返しで、正直、今日、ここでこれだけやってくれるとは思いも寄らないことでした。


 中大出身ですので、山本亮選手とは先輩・後輩の間柄ですね。後輩に先にオリンピックに行かれちゃったのが悔しかったんだろうな。。。


 また、石川末廣選手ー 東洋大で地味に活躍していた選手ですね。

 5000mとハーフマラソンのベストタイムを出したのが、やはり10年前ですので、けっこうな遅咲きです。


 藤原選手といい、石川選手といい、今回、ホンダ勢は、遠回りしてきた選手が、いるべき場所に戻ってきた~という感じで、なんとも感慨深いです。。。



 さて、世界陸上代表選考が、面白く&難しくなってきました。


 今回の藤原選手の2時間08分51秒は、数字上は、悪くはないものの、他の選手に比べて、やや見劣りはします。


 が、とにもかくにも今回はレース条件が悪く、しかもペースメーカーが先にヘタりやがったおかげて、20~30Kmの間にかなりのタイムロスが生じています。そういうことを考慮すると、逆に、今シーズンの日本選手の中ではいちばん良いくらいかもしれません。


 すんげえ問題なのは、まだ4月海外レースが選考対象として残っている~ということです。


 世界と闘えるかどうかは別として、国内選考レースでは、堀端、川内、中本、前田、藤原~の5人で決めてもぜんぜん問題ないと思うんです。


 が!もし、海外で、誰かが2時間07分台で走ったら?

 国内選手間の順位のしがらみもなく、たまたま好条件が揃ってタイムが出た場合、その選手を選ぶのか~その場合、国内組5人のうち誰を落とすのか~。


 もし、もし、2時間07分台で2人走ったら!?


 2時間07~08分じゃあね…とはいいつつも、何年かぶりに、選考が盛り上がって来ましたね。


 

 2月26日の朝日新聞朝刊「わたしの誌面批評」に内田樹先生がスポーツ界の体罰についてご批評されていました。


 内田先生のご専門はフランス現代思想という、私達とはマラソンと砲丸投げくらい違う(もっと違う?)分野なのですが、ご著書も拝読させていただいていますし、武道家である上に、以前、自由が丘界隈にお住まいだったとのことで、勝手に親近感を持っています。


 さて、本題。ご批評の中味は、片山杜秀氏の「体罰、近代日本の異物」(2/19朝日新聞文化面掲載)に対するものですが、片山氏の―


 <体罰は、軍隊のしごきに淵源を持つ。しごきは、戦闘能力を短期間のうちに向上させる>

 <今日の学校体育やスポーツ界に蔓延する暴力は、そのしごきの伝統によるものである>


 という説にご賛同されています。


 つまりは、戦時には、ゆっくり育てている暇がないから、短時間で「効率の良い?」しごきが行われてきたってことですね。



 さてさて、更に本題に奥深く突っ込みますが、内田先生は、この短期養成を、時間がない=「待ったなし主義」と名付けられています。


 次の試合まで、次のシーズンまで、次のオリンピックまで~と、時間的リミットから逆算する思考習慣を持つ人にとって、常に時間は絶対的に足りない。だからこそ、短期で成長を遂げる促成プゴグラムが為されるのだと~。


 促成プログラムは、心身の負担が大きく、身体も壊れれば、心も疲れる~ということがあります。一定期間内に最大の効果(=パフォーマンス)を発揮するためだけには有効かもしれないが、その後が続かない~てなことになるわけですね。


 一定期間内=「苦しみの期限」があるから、そこまでは頑張れるものの、そのあとはプッツンする~。これを先生は、スポーツの実績のある高校生のほとんどが、大学進学後にその競技を続けないことを例にあげられていますが、これは私も大学生の指導経験から大いに賛同できます。一般に「焼き切れ現象(バーンアウト)」と言いますが、促成であればあるほど、身も心も早く焼き切れます。



 そういうことが市民ランナーに関係あるのか?~というと、けっこう大アリですね、、、


 高校生の場合、促成とは2~3年とかいう単位での急成長をいうわけですが、市民ランナーにも「寿命3~5年説」という、短期で成長を遂げた後、精神的に燃え尽きるか、タイムが頭打ちから下降に転じるか、大きな故障をするかして、走る世界から事実上、去っていく~ということがあります。中高年ランナーの加齢による影響だけでは説明出来ない現象です。てか、勝手にそのせいにしている人も大勢いますが。

 「次のレースでサブスリーを達成する!」とか、「何が何でもフルマラソンを完走する!」とか、それぞれのレベルに応じ、けっこう時間的リミットを自分で区切り、その間だけ、集中してハードなトレーニングに取り組み、自分を追い込む~~。要は、自分で自分をしごいているわけです。


 もちろん、目標を掲げ、頑張ること自体は非常に素晴らしいことなのですよ。ただ、後先のない、短期集中型であったり、あまりにも先を急ぎすぎる目標設定やトレーニング内容であったりすることがどうなのか~ってことです。


 「早く、マラソンを完走したい」「早く、自己ベストを更新したい」「早く、サブスリーを達成したい」~そういう、早く、早く、早く!~という意識から、効率の良さとはまた違った、促成=叩き上げを求めてしまっているようなことはないか。。。私達には、もっと長い時間があるのに。


 既にお気付きの方も多いかと思いますが、 BEST RUN! の方でしばらくやっていた「スロー・グローイング」~ゆっくり成長する~つまりは、時間的リミットを設けたり、そこから逆算したりしない~ということにつながるものですね。



 足元の1段をきちんと丁寧に踏み越えていけばいい。多少後戻りしても、またやり直せばいい。前に進むことだけではなく、前に進むための準備を周到に整えることも大切。


 その方が、目先の目標はともかく、はるか遠くにある最終到達点にはより確実に届きます。



 自分で自分をしごいてしまうのも、そもそもが子供の頃から、しごきの伝統に毒されているからなのかも知れませんね。




 男子のフィニッシュを自宅でテレビで見たあと、ビッグサイトに向かいました。



 前田和浩選手~このブログでも以前から触れているように、私のイチオシ選手です。


 きっとやってくれる!…というよりも、やってくれないと困る!…という、ジュニア時代から活躍する、日本陸上界のやや伸び悩み気味のエリート!!って感じでしょうか。


 日本式システムの正統派である彼のマラソン進出を楽しみにしていた人は陸上界には少なくないと思うのですが、川内選手、藤原選手のような異色ランナーの活躍に押され、実際勝てず、危機的な状況にある中、今日は、本当によく頑張ってくれました。


 30Kmまでスローペースで展開したことで、そこからケニア勢を中心に「よ~いドン!」状態になることは火を見るよりも明らか。お約束のように崩れていく日本選手の中で、唯一、次の5Kmを14分39秒だかでカバー!

 

 その後、やや失速するも、粘って順位を上げて行ったことも高く評価出来ます。タイム的には、あと1秒!が残念でしたが、世界陸上代表はほぼ当確でしょうから、これから更に頑張ってもらいたいところです。


 別大の川内、中本選手が、「まずまずのペースで失速せずに押し切った」ことに対し、今回の前田選手は、ケニア勢に臆せず30Kmからペースアップしたことが評価ポイントです。そのまま失速をもうちょっと抑えて07分40秒くらいで入れれば満点でしたが、風の影響もありましたので、まあ総合90点というところでしょうか。

 


 

 ビッグサイトでは、待ち合わせエリアで、会員の皆さんのお出迎えです。風が出たことで、タイムが非常に心配されましたが、何十人出たのか掌握していないものの、けっこう自己ベスト更新者もおられました!!よかった、よかった。。。


 女子の部では、ピーちゃんコーチが2時間42分台で17位!~今回は45分が目標だったので、上々も上々!来シーズンは、2時間40分突破ってとこかな~。


 レースシーズンたけなわ~。


 目標レースを前に、胸がドキドキ、バクバク~。追い込み練習でもないのに心拍数が上がってくる。。。 私自身はもう、何年もそういうことはありませんが(闘争心ゼロ)、そういう状態、心境の方も少なくないことでしょう。


 レースに気持ちが行けば行くほど、ドキドキしてくるわけですが、この時の状態には、「緊張」「集中」「興奮」の違いがあります。


 「緊張」は、肩に力が入り、気持ちは舞い上がり、落ち着きがなくなります。


 「集中」は、リラックスでき、冷静な判断が出来、落ち着きがあります。


 「緊張」と「集中」は、その状態自体は紙一重で、周囲はもちろん、本人もどちらか分からなくなることがありますね。

 てか、本当に「集中」していると、自分が集中していると分かるのですが、本当に「緊張」すると、何がなんだかぜんぜん分からなくなるので、どっちがどうもこうもなくなってきます。


 「興奮」は、「緊張」にも「集中」にも伴いますが、必要な場合とそうでない場合とがあります。格闘技や激しいボールゲーム、それにハンマー投げのようなパワー競技などは、「集中」した上で「興奮」し、アドレナリン出まくりみたいな状態で挑んだ方が力は出しやすくなるでしょう。


 一方、体操やフィギアスケートなんかは、集中度はかなり求められるものの、「興奮」しちゃうと失敗しやすくなるでしょうね。」


 それではマラソンは~というと、まず「緊張」してしまうと余計な力が入り、フォームも崩れればエネルギー消費も多くなり、ダメダメです。

 距離表示が分からなかったとか、ウォッチを見る余裕がなかったとかいうのも、「緊張」の現れでしょう。


 また、「興奮」してアドレナリンが出てくると、妙にスピードに対する余裕が出てきて、速いペースにも対応出来るようになります。が、それもどれだけ持続出来るのか、ということを考えると、ハーフマラソン以上の距離の場合はどうかな、という感じもありますね。意外とそれが後半の失速の大きな要因になっていることも少なくないのではないでしょうか。


 長丁場で、基本的には常に全力を出すわけではなく、力の配分をコントロールする必要のあるマラソンの場合、いちばん必要なのは「集中」です。ペースキープに対しても、周囲の状況判断に対しても、そして、自分自身の身体と常に対話し続けるにも、常に「集中」し続けていること~。

 

 「落ち着け、落ち着け…!」と自分に言い聞かせているうちは、まだまだ「緊張」状態だということですが、やるべきことをすべてやって、自信を持ってスタートラインに立てれば、不思議と自然に落ち着いてくるもので、そこで「集中」状態がやってきます。


 やはり最後は「自信」=自分を信じることですね。自分のやってきたことを信じれば、失敗の恐怖や、練習不足に対する後悔から、不安な気持ちを持つことはありません。


 気持ちのどこかに何らかの逃げ道を用意しておくとダメですよ。