小学校での読み聞かせ活動記録 -17ページ目

ぞうのババール

ジャン・ド・ブリュノフ, やがわ すみこ
ぞうのババール―こどものころのおはなし

48p/26.8×19.4/評論社/1974年初版/読み聞かせにかかる時間-7分程度/季節-通年


ババールは、大きな森の国で生まれました。ババールをとても可愛がっていたお母さんは、狩人に打たれて死んでしまいました。狩人につかまったら大変と、ババールは大きな森の国を逃げ出し、町で暮らす事にしました。

ぞうの気持ちの判るお金持ちのおばあさんと暮らすうち、すっかり都会の生活に慣れたと思ったババールでしたが、やっぱり故郷が恋しくて時々は、涙が出るのでした。


そんなある日、二頭の小象がやって来るのを見つけました。いとこのアルチュール(♂)とセレスト(♀)でした。二頭は、大きな森の国からこっそり抜け出してきたのでした。そこで、二頭と共にババールも国に帰ることにしました。

さて、国ではぞうの王様が毒キノコを食べて死んでしまい、新しい王様を選んでいる最中でした。丁度そこへ、人間の世界で沢山の知識を持ったババールが帰ってきたのです。皆は、ババールを王様にすることに決めました。ババールはセレストと結婚して、象の国の王様とお后様になったのです。二頭は、立派な気球に乗って新婚旅行にでかけましたとさ。おしまい。


この絵本は、10冊のシリーズになっています。


1.ぞうのババール
2.ババールのしんこんりょこう
3.おうさまババール
4.ババールとこどもたち
5.ババールとサンタクロース
6.ババールといたずらっこアルチュール
7.ババールとりのしまへ
8.ババールのはくらんかい
9.ババールとグリファトンきょうじゅ
10.ババールのひっこし

ゆきのひ

加古 里子
ゆきのひ

28p/20×27/福音館書店/1966年初版/読み聞かせにかかる時間-7分位/季節-冬(の雪の多い地方)


ちょっと田舎の雪の多い地方の冬の様子を細かく描いた絵本です。初版が1966年ということもあり、出てくる子どもも描かれている街や家庭の様子も古き良き昭和の匂いを漂わせていて、レトロ感たっぷりです。


この作品は、こどものとも傑作集ですから、発売当初は幼稚園児向きだったと思われますが、今となっては、少し昔を学ぶ小学校三年生あたりにの教材としても役に立つ絵本のように思われます。


少し前の雪国の様子の描写もさることながら、雪国で生きる事の厳しさもしっかり描かれていて、家族を案じる気持ちは、今でも通ずるものがたくさんあるように思えます。


同じ題でエズラ・ジャック・キーツの『ゆきのひ』はとても有名ですので、比較するつもりで手に取ったのですが、そんな必要は全然ありませんでした。どちらも良いところがたくさんあり、同じ題材を使ってもこれぼと違うものが出来上がるとは、絵本の世界って無限に広がっているんだなと思いました。

しろいうさぎとくろいうさぎ

ガース・ウイリアムズ, まつおか きょうこ
しろいうさぎとくろいうさぎ

30p/32×24/福音館書店/1965年初版/読み聞かせにかかる時間-6分前後/季節-ひなぎく・きんぽうげ・たんぽぽの咲く季節なので春


広い森の中に住んでいる白いウサギと黒いウサギのお話です。二匹はいつも仲良く一緒に遊んでいました。ある日の事です。黒いウサギが考え事を始めました。白いウサギは何をそんなに悩んでいるのかを聞き出します。すると、黒いウサギがいいます。「僕ね、いつもいつも、いつまでも、君と一緒にいたいんだ。」すると白いウサギは「いつもいつも、いつまでも一緒にいるわ。」とこたえます。


そして二匹は、たんぽぽの花を摘んで結婚式をしました。明るい月の光の中で、森の動物たちも集まってきてダンスを踊ります。結婚をした二匹は、いつまてせも楽しく暮らしましたとさ。


この作品も、非常に優れた絵が特徴の絵本です。白と黒のコントラストで描かれた精密なウサギや森の風景。そして、時々描かれる野の花の黄色。この絵本、内容的に結婚祝いに差し上げるというのも素敵何時やないかと密かに思っています。誰かにブレゼントしようと思ったものの、身近なところには結婚しそうな年齢の人がいないんですよね。

2006.02.06-三年生-

シビル ウェッタシンハ, Sybil Wettasinghe, 松岡 享子
ねこのくにのおきゃくさま

海を越えた遥か彼方に猫の国がありました。猫の国の住人は、皆働き者でした。ある日、この国にお客様がやってきました。お客様は、音楽と踊りをもたらしたのです。猫の国の王様は、このお客様を大歓迎しました。そして、これからも大切な友人として付き合いたい、だから、お面を外して素顔を見せて欲しいと申し出ました。しかし、お客様たちは、命の危険があるから、お面は外せないと言うのです。お客様にはどんな秘密があるのでしょう。 それは、読んでからのお楽しみです。


ともかく絵の美しい絵本です。絵というのは、文章だけでは表現しきれない独特の雰囲気を一気に解消できる視覚的な表現方法ですね。想像力の豊かな子ども達の、より豊かな想像を掻き立てる種のような絵だと思います。絵本というからには、文章のみならず絵の美しさにも注目したいものです。

そうは言っても、三年生ももう少しで終わりです。実は最近、三年生の児童からは「絵本を読んでもらうのは楽しいから好きだけど、お話はもっと好き!」という感想を良く聞くようになってきました。驚いた事に、図書館に絵本を借りに行ったら、三年生の女の子二人に会いました。「どうしたの?」と聞いたら、「土曜日は図書館でお話があると聞いたから、聞きに来たの。」と言うではありませんか。その日は、一日ちょっといい気分でした。

2006.02.06-二年生-

谷川 俊太郎
いつもちこくのおとこのこ―ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー

ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー君がお勉強をしようと学校へ向うと、途中でワニが出てきたりライオンに会ったり、津波に襲われたりして、遅刻してしまいます。理由を正直に先生に話すのですが、先生は信じてくれません。


ある日、めずらしく何も起こらずに学校に着いたら、先生がゴリラに襲われていました。助けを請う先生にジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは答えます。「大きな毛むくじゃらのゴリラなんてものは、このあたりの屋根にはいませんよ、先生。」と。


各ページに出てくる、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー君のフルネームの繰り返しと奇想天外な展開とリアリズム。この不思議な組み合わせが、シュールな世界を醸しだしています。


大人にはちょっと理解がてきない世界でも、子ども達はこういう不可思議な絵本の世界を好む傾向があるみたいですね。どのクラスに行ったお母さん達もびっくりするくらい、静かに聞き入っていたという報告が入りました。

小出 保子
おなべおなべにえたかな?

きつねのきっこは、おおばあちゃんにおなべの番を頼まれました。「おなべおなべにえたかな?」そう言いながら試食をするきっこと友だち。おいしく煮えた時には、おなべは空っぽになってしまいました。おなべばジュージュー言いながら「こげつく。お水を入れて。」と叫びました。お水の次はお豆。煮えたら塩・こしょうで味付けして、仕上げにたんぽぽいれて、春の味のする春のスープの出来上がり!

内容的には、こちらの方がよほど判り易いと思うのは、音の感覚なんでしょうね。勿論、静かにお話を聞いていましたが、『いつみちこくのおとこのこ』の方が断然、集中していましたよ。とお当番のお母さん達が口を揃えて言っていました。子ども達が喜ぶ絵本を選ぶというのは、本当に難しいと思います。

2006.02.06-一年生-

松居 直, 赤羽 末吉
こぶじいさま
福音館から出ている『こぶじいさま』は、ほとんどの図書館の蔵書になっているので、子ども達にはよく知られている日本昔話です。

昔あるところに、ひたいにおおきなこぶのあるおじいさんがいました。ふとしたことから、山の中で鬼に出会ってしまい、鬼どもと楽しく踊り明かしてしまいました。鬼はこぶじいさまを大層気に入り、「明日も来い。」と言い「約束を忘れないようにお前のこぶを預かっておく。」と言ってこぶをとられてしまいます。


家に戻ったじいさまを見て、隣のこぶのあるじいさまも、自分のこぶをとってもらおうと、山へ分け入ります。けれども、鬼が恐ろしくて思うように踊れません。上手に踊れないじいさまを見た鬼たちは、怒って「昨日預かったこぶは返す。」と言って、こぶを返されてしまいました。隣のじいさまは、こぶが二つになってしまいましたとさ。 というお話です。


最近は、昔話を聞く機会が少なくなってきたように思います。けれども長い間語り継がれてきた昔話は、初めて聞いても不思議と心に染み入ります。教訓的な内容のものも多いのですが、無理やりな道徳性もなく、さらりと勧善懲悪を推奨しているところも良いですね。


この日は、インフルエンザの流行で休みの児童が多く、どのクラスも数人のお休みがいたので、各教室はいつもよりも静かだったように思われます。人数が少なくって静かなくらいなら、多少雑然としていて、ざわついていてもみんな元気で、学校に出てきてくれている方が全然いいですね。早く元気になって欲しいものです。


パット ハッチンス, Pat Hutchins, つばきはら ゆき

きれいずきティッチ

もう一冊は、パット・ハッチンスの『きれいずきティッチ』です。


ピートとメアリーとティッチの三人兄弟のお話です。ピートの部屋もメアリーの部屋もおもちゃや道具が一杯でごちゃごちゃです。お母さんが、「ティッチの部屋はとってもきれいですよ。お部屋をキレイにしなさい。」とピートとメアリーに言いました。ピートとメアリーは、早速部屋を片付け始めます。「これ、もういらないや。小さい頃に充分遊んだから。」「壊れているから、もう捨てなくちゃ。」そう言って処分しようとするおもちゃを見てティッチは「ぼくはそれを持っていないんだ。捨てるんなら、僕にちょうだいよ。」かくして、ピートとメアリーの部屋は、すっきりしたもののティッチの部屋はガラクタだらけで足の踏み場もなくなってしまいました。


子どもって、本当にガラクタが大好きですよね。キラキラ光るビー玉やスーパーボール。削ると赤い砂になる石ころ。特別大きなどんぐり・・・。だけど、子どもにとってはどれも大切な宝物。ガラクタを沢山持っている子どもは、感動する心を沢山持っているって事なんですよ。ティッチは、少し前まで赤ちゃんだったので、これからたくさんの感動を経験するのでしょう。限度を超えない限り、子ども達の集めてきた宝物には、敬意を払わなくっちゃいけませんね。


デルトラ・クエスト-第3部-

エミリー・ロッダ, 上原 梓, はけた れいこ
デルトラ・クエストIII (1)

1.竜の巣
2.影の門
3.死の島
4.最後の歌姫

第二部で、影の王国から人質を奪い返したリーフ達ですが、影の王を滅ぼしたわけではなかったので、デルトラの大地はやせほそり作物が実らず、人々の苦境は続いています。リーフ達は、それが影の王の「四人の歌姫」計画のせいと知り、地図の断片を手がかりに新たな旅に出ます。4冊構成で一巻毎に4人の歌姫と呼ばれる敵を倒し、4冊目で、大団円を迎えるという構成です。

予想通り、一冊に一つの課題をクリアしておりまして、今回は、ベルトに嵌め込まれた七つの宝石に因んだ種族と竜までが、登場し非常に読み応えのある作品になっていました。一応、完結編となっていますが、影の王を倒したわけでもなく、影の王国も存在も残っているので、続編を書こうと思えば、ここからまた作品を作り始める事ができるような終わり方になっています。


『ゲド戦記』のように二十年近くの時を経て完結する作品や時代を縦横に行き来しながら物語を進める『ナルニア国シリーズ』のような作品もあります。デルトラのシリーズが、今後これらの作品に負けないような成長を遂げて欲しいと思うのは、私だけではないでしょう。


もう少し時代を超えた壮大なストーリーの展開がなければ、長く読み継がれる作品として残るには、少々難があると思います。そういう意味でも、第4部・第5部と新たな展開の作品の発表を待ち望みたいと思います。

2006.02.06-複式

中川 ひろたか, 村上 康成
みんなともだち

絵本は、中川ひろたかの『みんなともだち』読みました。幼稚園の卒園に合わせて作った作品のようですが、はっきりした絵。簡潔な文章。複式さんを飽きさせない長さでした。「みんないっしょにプールにはいった?」と聞くと「入ったぁ。」という返事。「みんないっしょにかけっこをした?」「した。した。あのね、私が一番だったんだよ。」と話がはずみました。でも・・・「みんなと一緒にロボットを作った」というところでは、「作ってないよ!」って言っている子がいました。本当に素直に、絵本の世界に入り込んでいるのが判ります。会話型、参加型の絵本は、飽きずに一緒に楽しめてとても良い感じです。


パット・ハッチンス, いしい ももこ
ティッチ

次にパット・ハッチンスの『ティッチ』を読み、アニマシオンを行いました。アニマシオンとは、新しい読書教育の方法でその作戦は何十種類もあります。今回の作戦では、これ、だれのもの?というものです。画用紙に登場人物それぞれに関係ある服や持ち物の絵を、画用紙1枚にひとつずつ描いておきます。ティッチの風車とかピート(お兄さん)の太鼓とかメアリー(お姉さん)のとんかちとか・・・。一枚一枚、絵を見せて「これは誰のだったでしょう?」と質問をする訳です。


本番前に、お母さん方を対象にやってみました。意外と難しかったのが自転車です。ティッチのは、特別小さい三輪車なので、すぐに判るのですが、ピートとメアリーの自転車は、ちょっと区別がつきません。他の品物も同様で、ピートとメアリーの持ち物は大人でも判別が難しく、赤ちゃん向けの絵本が、急に高度な作品に見えたのは不思議でした。そして、すべての絵の推理が終わったら、もう一度絵本を読み返します。「当たった。」と喜んだり「あっ、そうだったぁ。」と反省したり。大人でも、かなり集中するのです。


今回は、複式さん相手ということで、本当に少ない枚数の絵を見てもらう事にしました。最初に出てきたのは、ピートの凧です。「さあ、これは誰が持っていたのでしょうか?」そういう質問に子ども達は「凧!たこ!!タコ!!!」と叫び続けます。見た目そのままの反応をしてしまうのですね。初めてなので無理はありません。そこで、「そうだねぇ。誰の凧だったっけ?」と聞くと「ティッチ?」と応える子が出てきました。「う~ん。惜しい。絵本には、ティッチの他にもお兄さんのピートとお姉さんのメアリーがいたよね。誰だろう?」ここまで誘導をすると、何人かの子が「ピート!ピート!ピート!」と叫び出します。質問の意味が判らなくて「ティッチ!凧!」と叫んでいる子もいますが、皆、とっても真剣です。


朝から大きな声を出して、大いに集中をしてとても良い時間が持てました。子ども達からも「面白かった。」という声が挙がってきました。これからは、少しずつ色々な形式のアニマシオンを取り入れるのも良いかもしれないな。と思いました。でも、しっかり勉強しないとお披露目もできません。頑張って、勉強しないと子ども達に飽きられてしまいますね。

キャベツくんとブタヤマさん

長 新太
キャベツくんとブタヤマさん

28p/26.3×21.4/文研出版/1990年初版/読み聞かせにかかる時間-3分程度/季節-通年


いつもお腹をすかせているブタヤマさん。チャンスがあれば、キャベツくんを食べてやろうと目論んでいます。しかし、今回ばかりは、食べられそうな側に回ってしまいました。食べられそうな立場って、すごく怖い・・・。ブタヤマさんは、大いに反省をしてなみだをポロポロ流してキャベツくんに許しを乞います。


でも結局、危機を乗り越えたら、おなかがぺこぺこで目が回りそうです。がばっと、キャベツくんをつかまえたブタヤマさん。その耳に聞こえたのは、キャベツくんの小さな声でした。「おいしいレストランがあるから、ごちそうするよ。」ですって。


内容は、とっても単純なのですが、ともかく絵が豪快です。びっくりするほど大きな魚。気持ちの悪いへぴやムカデにミミズ、青虫だって超巨大なんです。絵本の世界でもこんなに雄大な絵で表現できるなんて、長新太さんは本当に偉大な方でした。もう少し長生きをして、もっとたくさんの素晴らしい絵本を作って欲しかったですね。他にも、キャベツくんシリーズとして、以下の絵本がありますよ。


長 新太
キャベツくん
長 新太
つきよのキャベツくん
長 新太
キャベツくんのにちようび

かあさんのいす

ベラ B.ウィリアムズ, 佐野 洋子
かあさんのいす

32p/21×26/あかね書房/1984年初版/読み聞かせにかかる時間9分前後/季節-通年


かあさんと買い物に出かけて、家に帰ったら、家が家事になっていました。おばあちゃんは無事でしたが、家は全焼してしまいました。近所の人が色々なものを分けてくれましたが、すごくふわふわで、すごくきれいで、すごく大きい椅子がありません。


かあさんは、食堂から大きなびんをもらってきました。椅子を買うために、小銭を貯めるのです。そして、びん一杯に溜まった小銭で、とうとう椅子が買える日が訪れました。昼間は、おばあちゃんが座り、かあさんは仕事から帰ってきて、椅子に座ってテレビのニュースを見ます。晩御飯が済むと、私はかあさんと二人で一緒に椅子に座り、いつの間にか眠ってしまいます。


絵本にしては、めずらしく現実的なお話です。おばあちゃん、かあさん、私という母子家庭が、火事に遭ってしまい、貧しいながらもつましく暮らしている様子を描いているのです。最後のページに描かれた三人で椅子に座っている姿を撮った写真の絵は、現実的だけれども私服のひと時を焼き付けたように見えます。容赦ない現実の中にも、幸福が至るところにあるという証明のように思えてなりません。