小学校での読み聞かせ活動記録 -15ページ目

マイク・マリガンとスチーム・ショベル

Virginia Lee Burton, 石井 桃子, バージニア・リー バートン
マイク・マリガンとスチーム・ショベル

48P/24×26cm/童話館/1995年/読み聞かせにかかる時間-15分/季節-スチーム・ショベルの活躍できる時期だから通年。


元々は、福音館から出版されていた絵本です。版権が福音館書店から童話館に移ったのでしょう。福音館では、1978年が初版ですから、かなり長生きをしている絵本ということになります。そういう訳で、働く車である、スチーム・ショベルもかなりレトロな車種に分類されます。スチームを動力にしたショベルカーですから、現代では知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。


マイク・マリガンは、自分のスチーム・ショベルにメアリ・アンと名前をつけて大切に仕事で使っていました。手入れも怠らなかったので、メアリ・アンはいつでもピカピカの状態で仕事をしていました。けれども、時代は移り変わり、新式のガソリン・ショベルや新式の電気ショベルや新式のディーゼル・ショベルが発明されたので、シチーム・ショベルには仕事がなくなってしまったのでした。


マイクとメアリはがっかりしたものの、ポッパビルという田舎町で市役所を作る計画がある事を知り、その街へ行って働く決意をします。街では、市役所の地下室を作ろうとしているところでした。マイクとメアリは大張りきりで、地下室要の穴を掘りました。期限は日暮れまでてす。さて一体どうなる事でしょう。


作者は、あの『ちいさいおうち』『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『はたらきもののじょせつしゃけいてぃー』のバージニア・リー・バートンです。残念ながら、普通に音読をしただけで15分もかかる大作です。朝自習の時間だけでは納まりきらない予感がします。例えば、通常の読み聞かせの時間を延長して頂くとかの配慮をしていただけた時に使用する絵本としてとっておきましょう。


自動車関連の絵本にとても惹きつけられる子が少なくありません。『トラックトラックトラック』『のまなローラ』『しょうぼうじどうしゃじぷた』など、車関係の絵本は枚挙にいとまがありません。その集大成のようなこの作品。旧式のスチーム・ショベルにメアリー・アンという素敵な名前をつけて、いつまでもかわいがるマイク・マリガンからは、旧い友人を大切にする友情とか愛情のようなものを感じます。


1978年というと、オイルショック前後の時代。この絵本、使い捨てが全盛期になりつつある時代に、描かれた作品なんですよね。きっと、作者は、旧き善きモノを使い捨てにしてしまう時代に大いなる危機感を感じて、この絵本を描いたのではないでしょうか。

ひとまねこざる

ひとまねこざるのシリーズは、H.A.レイの絵で6作程あります。

①ひとまるこざるときいろいぼうし
②ひとまるこざる
③じとんしゃにのるひとまねこざる
④ろけっとこざる

⑤たこをあげるひとまねこざる
⑥ひとまねこざるびょういんへいく

H.A.レイ, 光吉 夏弥
ひとまねこざる

47P/28cm/岩波書店/1983年初版/読み聞かせにかかる時間-11分程度/季節-えっっっお話の中でじょーじは、骨折をするんですけど、骨折が治るくらい時間が経過するんですよ。やっぱり通年でしょうか。


動物園に住んでいる猿のじょーじは、とても知りたがり屋さんです。外の様子が知りたくてたまりません。ある日、番人の鍵を盗んで、ついにオリの外に抜け出しました。動物園を抜け出したじょーじは様々な体験をします。無銭飲食をしたり、働いたり、骨折して入院したり、薬物中毒になったり、そして最後には、映画で主演までしてしまいました。


ひとまねこざるは、長いお話ではありますが、読み聞かせの世界では、ほぼ確実に子供達が喜ぶという、失敗の少ない作品なのだそうです。確かに、三年生を対象に『ひとまねこざるときいろいぼうし』という作品を読み聞かせに使ってみたのですが、大評判でした。どんなに長いお話でも、子供達が食いついて離れない作品というのはあるものです。


単純明快。テンポのいいストーリー展開。そして、一番大事なのは、自分が主人公になった時に痛快だと感じるものなのだそうです。確かに、毎日毎日、好きなだけ絵本を読んであげられる家庭とは違って、読み聞かせというのは、特別な場所で行う特別な行事です。めったにない経験だから、心にも残りやすいでしょうし、それだけに暗くて悲しい物語よりも、元気の出る明るい作品を優先的に紹介したいものです。

みるなのくら

おざわ としお, 赤羽 末吉
みるなのくら

36P/22×25cm/福音館書店/1983年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-うぐいすの季節って、春でしょうか?


昔々、貧しい若者が山の中で迷ってしまいました。若者が途方にくれていると、遠くに明かりが一つ見えました。そこは大きな屋敷で、中には美しい女がいました。女は「ちょっと里へ用足しに行きます。この家には十二の蔵がありますが、十一の蔵までは見てもいいけど、十二番目の蔵だけは絶対に見ないで下さい。」と言い置いて出かけてしまった。お約束の通り、若者は、好奇心から全部の蔵を開けて見てしまう。最後の蔵にあったものは・・・。


この昔話は、『うぐいすの一文銭』とか『うぐいすの里』という題名等、色々な語られ方をしている作品です。この絵本では、一の蔵から十一の蔵までが、一ペーシずつの見開きで構成されていて、各月の季節を象徴する行事が描かれています。日本の昔話は、季節感を大切にしていたのだなぁと実感させてくれる絵本だと思いました。

2006.02.24-三年生

長 新太
キャベツくんとブタヤマさん
ジャン・ド・ブリュノフ, やがわ すみこ
ぞうのババール―こどものころのおはなし

この日は午後から、三年生は学年の授業参観と懇談会がありました。ですから、丁度、下校時の三年生とたくさん話をする事が出来ました。せっかくだから、今日の感を聞かなくっちゃねぇ。男女各数人ずつ、しかも色々なクラスの子をつかまえて「ねえ、今日のお話どっちが面白かった?」と聞いてみました。


結果は、圧倒的に『ぞうのババール』でした。内心は、ちょっと意外な感じです。長新太さんの雄大でナンセンスなあの内容よりも、最初にお母さんが銃で撃ち殺されてしまうお話の方が面白いの?何故?子どもの頃に絵本経験のない私は、どうも子ども心を理解するのが苦手です。苦手で、判らなければ正直に聞けばいいんです。「何で、ババールの方が面白かったの?どこが良かったの?」そして帰ってきた返事は「長いお話だったから・・・」


おぉ。三年生をみくびっていました。自分の子どもが幼いので、三年生ってこんなものかなという思いで、選書をしていたのです。そういえば、最近は絵本よりもお話の方が好きという子もいましたし、もう少しレベルをあげるようにしましょう。


ただ、ボランティア活動をしてくださる方に限界が・・・。一年生から四年生までを同時にというと、一時に20人の有志が必要なのです。今までは、15人だったのですが、これでも精一杯でした。新たな会員募集と現会員さんのコレまで以上のご協力をお願いし、来年度は是非、この四年生の子供達に継続して、読み聞かせをしていってあげたいと思っています。

2006.02.24-二年生

ベラ B.ウィリアムズ, 佐野 洋子
かあさんのいす

『かあさんのいす』という絵本は、知らない子が結構多かったようです。家が家事になって、全焼してしまいまった家族の話です。近所の人が色々なものを分けてくれましたが、すごくふわふわで、すごくきれいで、すごく大きい椅子がありません。そこでかあさんが、職場から大きなびんをもらってきて、椅子を買うために、小銭を貯めるのです。家族は協力して、小銭を沢山貯めたので、念願の椅子が買えました。


こんな内容の話なのですが、ちょっと難しかったようです。あくびをしている子やおしゃべりをしている子がいたという報告がありました。反面、とっても静かに、夢中になって聞ける子もいたようで、お話好きの子とそうでない子の差が目立つ作品だったとも言えるようです。

ガース・ウイリアムズ, まつおか きょうこ
しろいうさぎとくろいうさぎ

『しろいうさぎとくろいうさぎ』の絵本は、知っている子もたくさんいましたし、内容が簡単なので、喜ばれたようです。「結婚したんだぁ。」という感想が漏れてきたクラスもあったとか・・・。いくつになっても、感動する心を持つことは大切だと思いつつも、あまりにも思い通りの反応をしてくれて、うれしくなってしまいました。


ところで、二年生の中にも、少し落ち着きがないお子さんがいます。クラスから浮き上がっているような感じで、他の子にちょっかいを出したり、周囲の子に注意されたりして、少々ヤケになっている感じです。今回のお当番の方がそれを知っていて、そのお子さんを近くに呼び寄せてスキンシップを図ったそうです。周囲の子よりも、幼さが目立つお子さんですが、とても素直で、その後はみんなと一緒にお話を聞くことができたそうです。


このお当番の方が、次回もこのクラスに入りたいと、言って下さいました。色々なお子さんに接し慣れていらっしゃる方ですし、子どもたちの気持ちも安定しているようなので、お任せする事にしました。今年度もあと二回です。毎年クラス替えがあるので、残りの二回になりましたが、そのお子さんが、楽しく過ごせるといいなと、思っています。

2006.02.24-一年生

加古 里子
ゆきのひ
『からすのパンやさん』の作者である加古里子の『ゆきのひ』です。だから、面白いかな?と思って一年生に振り分けてしまいました。読んでみてちょっとびっくりです。ちょっと田舎の雪の多い地方の冬の様子を細かく描いた絵本で、初版が1966年ということもあり、出てくる子どもも描かれている街や家庭の様子も古き良き昭和の匂いを漂わせていて、レトロ感たっぷりだったのですから。

これは、もう少し高学年向きだった、と後悔していたところ、意外な事にかなり子供達は真剣にこの絵本の世界に魅入っていた様子でした。ニュースなどでも、大雪の事が話題になったせいでしょうか。途中で、中断して昔話に花が咲いてしまったクラスまであったようです。喜んでもらえてほっとしています。

さとう わきこ
ばばばあちゃんのマフラー

ばばばあちゃんのシリーズに失敗はありません。とは言え、この作品は、初出が、「かがくのとも」ですから、「こどものとも」から出たばばばあちゃんのシリーズとは少々趣が異なっています。ばばばあちゃんの編んだマフラーが、四季折々、色々な所で活躍をしています。季節の移り変わりをテーマにした作品です。


一年生の中で、落ち着かないお子さんが集中しているクラスがありました。補助要因として、ボランティア会員が入っていましたが、ざわつき方がエスカレートしてきたように思うという報告がありました。どうやら、ボランティアだけの力では、どうにもならないところまで、きてしまったように思えました。


内部だけで解決する事は難しいと判断し、教頭先生にお願いして、そのクラスの保護者の方に、見学に来て頂くように要請をすることにしました。あまり大人数だとかえって興奮してしまうと思ったので、二人~三人の方に来て頂いて、絵本に興味のないお子さんの相手を集中的にお願いしたい旨、連絡をしました。


多少、事情をしっていたからでしょうか。すんなりと協力していただける事となりました。早めに対処する事、密に連絡をとること。簡単そうでなかなか難しい基本ですね。

2006.02.24-複式学級


しろいうさぎとくろいうさぎ
ガース・ウイリアムズ, まつおか きょうこ
広い森の中に住んでいる白いウサギと黒いウサギのお話です。二匹はいつも仲良く一緒に遊んでいました。ある日の事です。黒いウサギが考え事を始めました。白いウサギは何をそんなに悩んでいるのかを聞き出します。すると、黒いウサギがいいます。「僕ね、いつもいつも、いつまでも、君と一緒にいたいんだ。」すると白いウサギは「いつもいつも、いつまでも一緒にいるわ。」とこたえます。

そして二匹は、たんぽぽの花を摘んで結婚式をしました。明るい月の光の中で、森の動物たちも集まってきてダンスを踊ります。結婚をした二匹は、いつまでも楽しく暮らしましたとさ。


ちょっと淡々とした内容なので、複式さんにはつらいかも知れないと危惧していたのですが、意外な事にとても静かにお話を聞けたようで良かったと思っています。結婚とかラブラブモードって、子どもでもいい気持ちなんでしょうね。

長 新太
キャベツくんとブタヤマさん

いつもお腹をすかせているブタヤマさん。チャンスがあれば、キャベツくんを食べてやろうと目論んでいます。しかし、今回ばかりは、食べられそうな側に回ってしまいました。食べられそうな立場って、すごく怖い・・・。ブタヤマさんは、大いに反省をしてなみだをポロポロ流してキャベツくんに許しを乞います。


でも結局、危機を乗り越えたら、おなかがぺこぺこで目が回りそうです。がばっと、キャベツくんをつかまえたブタヤマさん。その耳に聞こえたのは、キャベツくんの小さな声でした。「おいしいレストランがあるから、ごちそうするよ。」ですって。

内容は、とっても単純なのですが、ともかく絵が豪快です。びっくりするほど大きな魚。気持ちの悪いへぴやムカデにミミズ、青虫だって超巨大なんです。この絵本の絵と内容は、複式さんたちの笑いのツボにはまってくれたようです。みんな大喜びだったそうです。


そういえば、複式さんの多くは、単純明快で豪快な絵と刺激的な内容が大好きだったんですよね。キャベツくんシリーズが嫌いなわけはないかも知れません。あと何冊か、シリーズがあるので、積極的に取り入れるようにしたいと思っています。




いちごつみ

神沢 利子, 平山 英三
いちごつみ

31P/23cm/童心社/1980年初版/読み聞かせにかかる時間-4分程度/季節-苺と言っていますが、どうみてもこの絵はラズベリー。季節は、夏~秋でしょうか。


小さな女の子が山にラズベリーを摘みに行った時に大きな熊と知り合いになりました。熊は、とても優しくて、女の子の家を直してくれました。熊は、お礼に女の子からは赤い帽子をお母さんからはエプロンをもらって森の中に帰って行きました。


ここに登場する女の子は、とっても誉め上手です。最初は、女の子が勘違いをしていたので、ちょっぴり怒っていた熊も、女の子の話す言葉にいつの間にか相槌を打ってしまうほどです。黄緑色の葉の中に、宝石のように美しい苺の実が沢山なっている絵は、懐かしいようなうれしいような気持ちを思い起こさせてくれるでしょう。

ほんとにほんとにほしいもの

ベラ B. ウィリアムズ, Vera B. Williams, 佐野 洋子
ほんとにほんとにほしいもの

30P/21×26cm/あかね書房/1998年初版/読み聞かせにかかる時間-11分程度/季節-主人公の少女の誕生日の前後のお話なのだけど、半そでだったり長袖だったり・・・。だから冬以外でいいんじゃないだろうか・・・。


『かあさんのいす』の続編です。火事で燃えてしまった立派な尾ながらの母さんの椅子を買うために貯めていたお金が、ちょっぴり残っていました。しかも、残った上にまたお金を溜めて・・・。そこで家族は、私(ローザ)の誕生日のプレゼントを買うことに決めてくれたのです。買い物にでかけようとした時に、おばあちゃんの大きな声。「ローザ、ほんとにほんとに好きなものを買うんだよ!」さて、ローザが迷いに迷って買ったものは何だったと思いますか?


アメリカのちょっと貧しい母系家族のお話ですが、家族同士が思いやりをもって生活している様子がとてもよく判る作品です。モノがあふれている現代社会、あなたの「ほんとにほんとにほしいものって何ですか?」って聞かれたら、即答できますか?思っている以上に難しい問いですよね。

三びきのコブタ本当の話

ジョン シェスカ, いくしま さちこ, レイン スミス, Jon Scieszka
三びきのコブタのほんとうの話―A.ウルフ談

28P/28cm/岩波書店/1991年/読み聞かせにかかった時間-6分程度/季節-ウルフ氏が牢屋に入っているから季節は関係ないかな。


誰だって『三匹のこぶた』の話は知っている。いや、知ってるつもりになっている。ここでみんなにちょっとした秘密を教えてやろう。実を言うと、誰も本当の話を知らないんだ。何故って、オレの言い分を聞いた奴はまだ一人もいないからさ。俺が、あのオオカミ。・・・。


そう、この絵本は、三匹のこぶたに登場したオオカミが、何故、三匹のコブタを殺して食べちゃったかをオオカミの立場から書いているのです。事の発端は、大好きなおばあちゃんの誕生日でした。まるで、「風か吹くと桶屋が儲かる」ということわざみたいですよ。


ちなみに、このことわざの意味は、「風が吹くと砂ぼこりが出て盲人がふえ、盲人は三味線をひくのでそれに張る猫の皮が必要で猫が減り、そのため鼠がふえて桶をかじるので桶屋が繁盛する。」という事らしいです。


モノには、両面から見なくちゃ判らない事もたくさんあるのです。この絵本を読む限りオオカミは極悪非道の人でなしではないようですよ。オシャレな絵で、刑務所の中から話すオオカミの独り言・・・。少し大きめの子ども~大人までが楽しめるお話になっていると思います。