クローバー(ノンフィクション小説) -97ページ目

死ぬはずだった夜‐33‐


スーッと体が軽くなった。

さっきまでの苦しみはない。

体がフワフワして気持ちいい


この感じ……

高校の頃に事故に遇った時と同じ感覚。


花畑に寝ている自分

まさかまた経験するとは
思ってもみなかった。

前の時は自分が事故したとも
思ってなかったし
死に直面してるとも思ってなかったから
分からなかったけど……

今回ははっきりと分かった。


自分は生と死を
さ迷ってる……

そこには
痛みも苦しみもないんだ。

いっそこのまま……




いや、

だ め だ 。

死ぬはずだった夜‐32‐


段々と意識が遠くなる……


こんな事なら友達なんか
作るんじゃなかった

楽しい事なんか
見つけるんじゃなかった

前向きに生きていこうなんて
考えるんじゃなかった


孤独を通せば良かった……


未練が残るじゃないか



死 に た く な い よ



死 に た く な い






死 に


 た くな い ……





そのまま意識を失った。

死ぬはずだった夜‐31‐


す、す ご い ち か ら……

全体重をかけて
左手に力が集中している。

覆面をしてる男の顔を
じーっと見つめた。


もちろん顔は見えない

でもそれを見透かすように
黙って男を見続けた。


男の力はこんな事をする為に
あるんじゃないだろ?

大切な人を守る為に
あるんじゃないのかよ?

あんたは可哀相な男だよ
でも相手を間違ったね


わたしはあんたが期待してるような
女じゃない。

凄く冷静に
男を分析していた。


でも
それは間違っている

正常では…… 
ない。


自分には人として
大事な感情が著しく欠如している。

だから
こんなに冷静でいられるんだ。


そんな私に
男は明らかに苛立っていた。




更に力が増していく……