死ぬはずだった夜‐33‐
さっきまでの苦しみはない。
体がフワフワして気持ちいい
この感じ……
高校の頃に事故に遇った時と同じ感覚。
花畑に寝ている自分
まさかまた経験するとは
思ってもみなかった。
前の時は自分が事故したとも
思ってなかったし
死に直面してるとも思ってなかったから
分からなかったけど……
今回ははっきりと分かった。
自分は生と死を
さ迷ってる……
そこには
痛みも苦しみもないんだ。
いっそこのまま……
いや、
だ め だ 。
死ぬはずだった夜‐32‐
こんな事なら友達なんか
作るんじゃなかった
楽しい事なんか
見つけるんじゃなかった
前向きに生きていこうなんて
考えるんじゃなかった
孤独を通せば良かった……
未練が残るじゃないか
死 に た く な い よ
死 に た く な い
死 に
た くな い ……
そのまま意識を失った。
死ぬはずだった夜‐31‐
全体重をかけて
左手に力が集中している。
覆面をしてる男の顔を
じーっと見つめた。
もちろん顔は見えない
でもそれを見透かすように
黙って男を見続けた。
男の力はこんな事をする為に
あるんじゃないだろ?
大切な人を守る為に
あるんじゃないのかよ?
あんたは可哀相な男だよ
でも相手を間違ったね
わたしはあんたが期待してるような
女じゃない。
凄く冷静に
男を分析していた。
でも
それは間違っている
正常では……
ない。
自分には人として
大事な感情が著しく欠如している。
だから
こんなに冷静でいられるんだ。
そんな私に
男は明らかに苛立っていた。
更に力が増していく……