クローバー(ノンフィクション小説) -98ページ目

死ぬはずだった夜‐30‐


男は、何の抵抗もしない事に痺れを切らしたのか
今度は馬乗りになってきた。

やばい……
だけど一切声は出さなかった。

きっと助けを呼んでも
誰も気付かないだろう……

それに
急に泣き叫んで命乞いしたとしても逆効果だ。


いや寧ろ、
それが目的なのかもしれない……

まぁどちらにしろ
男には全て想定内だろう。


何故なら色んなリスクを背負って
今ここにいるのだから。

ただ1つわたしの反応だけが
想定外だったんだ。




男は右手で口を塞ぎ
左手で首を締め上げた。

死ぬはずだった夜‐29‐


男の手は震えていた。

やはり男は動揺している……

この状況で言葉も発さず
抵抗もしない女。


何故なら……
男の力に女は敵わない。

だから抵抗しても
無駄だという事は分かっていた。


そして冷静な理由は
もう一つ

生への執着がなかったから


だけどこの時は
少しだけ怖かった……

今まで同じ様な目には何度か遭ってきた。

九死に一生も経験した。


なのにその時とは違う感情……



わたしは恐怖を感じていた。

何故ならそれは
生きる希望を見つけ始めていたから。





まだ




……死にたくない。

死ぬはずだった夜‐28‐


目覚めたのに気付いたのか
男は腕の力を更に強めた。

……何が目的なんだ?

私は何も言わず外に目を向けた。

綺麗に澄んだ夜空に
月が淡く輝いている。


やっと友達ができたのに……

やっと前向きに生きていこうと
思ったのに


見ず知らずのこの男に
絶命させられるのだろうか……




あと少しで
卒業だったのに。