死ぬはずだった夜‐31‐
全体重をかけて
左手に力が集中している。
覆面をしてる男の顔を
じーっと見つめた。
もちろん顔は見えない
でもそれを見透かすように
黙って男を見続けた。
男の力はこんな事をする為に
あるんじゃないだろ?
大切な人を守る為に
あるんじゃないのかよ?
あんたは可哀相な男だよ
でも相手を間違ったね
わたしはあんたが期待してるような
女じゃない。
凄く冷静に
男を分析していた。
でも
それは間違っている
正常では……
ない。
自分には人として
大事な感情が著しく欠如している。
だから
こんなに冷静でいられるんだ。
そんな私に
男は明らかに苛立っていた。
更に力が増していく……